■ 柘 榴 の 間 ■
 
 
 
   

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†水の中の火†
水の中に燃えているものを
うつしとる
揺らぎと、記憶の芳香
よみがえるものはまた消える
11月30日

†時鐘†
その名を叫んだか
何を待っていたのか今、知ったのだ
音楽の告時
刻まれた到来
11月29日

†脱走†
夏を越えると
奪われてしまったものがあるのだ
抜け落ちてすりかわった
磨耗して鈍く光る鉛
11月29日

†ミルフイーユ†
手鏡にうつる人型に合わせる
足拍子 踏み鳴らす
目の受信する鼓動に合わせて
折り畳んだ襞に塗りこめたものは
11月27日

†伝言†
教えてあげよう
紙と紙の間に埋もれた
化石の渦巻きが
トランペットの形に花開いていたよ
11月26日

†洗濯機の中の果物†
ポケットの中を探り言葉を
救い出そうとすると
手のひらに溢れる 果実と
洗濯機の中で溺れていた蜜蜂と
11月25日

†諾足†
銀貨一枚分の雲に乗る
逃避行の伴走をする
漆黒の馬一頭
ゆるやかに丘へ駈けてゆく
11月24日

†彷徨という名の飲み物†
夜の泉の傍ら 身を潜め
名前のない味を舌に受けている
眩暈
そして指には火が燈る
11月23日

†百合の独語†
薄闇でゆりが開いていった
触れられることのない過去が
変質して香りを放つ
ゆりが溜息を落とすごとに
11月22日

†傾向†
これは一つの液状の
有効ならざる言明
青い光源のもとの分析
薔薇の芽の蜂起
11月7日

 
 

 
 
 
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