■ 柘 榴 の 間 ■
 
 
 
   

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†狩の角笛†
鐘を叩いて
吸血鬼を狩り出そうとしている
疾れ、と言う
もう間に合わないと
2月28日

†空腹†
悲しい歌を歌いながら道路を下る
誰に聞かれることもない声を
惜しげもなくばら撒いて
それよりも一片のパンをお食べ
2月27日

†誓約†
カーテンの模様が
悪魔に見える時
憎悪と嘲笑に満たされて
蒼い炎を買いに行くと誓う
2月26日

†正午の祈りT†
このペンの先に焔を灯してください
青いインクを燃やしてください
魂を燃やしてください
太陽にペン先を浸して祈る
2月25日

†勧告†
行きなさい行きなさい行きなさい
朝が光の中を訪れて言ったのだ
あの車をつかまえてこのまま
この手を離してこのままと
2月24日

†声が聞こえる†
悲しみを数える夕暮れ
夜が来るのを待っているから
過ぎ去ったものを愛するから
通りで呼ぶ声が聞こえているから
2月23日

†空洞†
慰めておやり
石榴の木が死んだのだ
鳥が無心に啄ばんで
魂を食べ散らかした
2月22日

†春の踊り子†
もう、問いは棄てておくれ
身軽になって踊る空気
春の手紙は未だ届かない
裸足になってダンス
2月21日

†公衆電話†
冷たいタイルに身をもたせかけ
ヴェールの影で待っている
冬が去ってしまうのを
自分の番がやってくるのを
2月20日

†幸運†
グラスを手にして
話に興じる
黄金の盃が回されるのを
待ちくたびれながら
2月19日

†甘味料†
陶酔を覚ます一杯の
カフェノワール
角砂糖の代わりには
蕩尽された嘆きを掬う
2月18日

†聖典†
時刻表に啓示を見出す
誰の聖典でもない行列の一点から
この光点の向こうに在る絶対
未だ知らぬ絶望を信仰して
2月17日

†絶望を慰めるもの†
絶望を慰めるに欲望をもってする
置換可能な愛の病状
裏切られた空想にさらに
炎を点し続ける
2月16日

†夜の淵†
痛いと叫んでも
一つの血も流れなかった
あれは夜の悪夢
叫ぶ声さえ絞め殺されていた
2月15日

†沈黙を契約する†
千切られた便箋は沈黙
死んだ桜の花びら
切り取られた心臓を投げ捨て
目を背けてこのまま去るがいい
2月14日

†獲得†
さあ、この宝物箱の中を分かち合おう
貴方にはあの秋の日の微笑
貴方には黄金の盃に一杯の生命
私には鉛のコツプに苦い血と叫びを
2月13日

†遠くまで†
冷たい雨の日にはまた
この傷が痛むだろう
癒すつもりなどなく
繰り返す彷徨の遠さ
2月12日

†鎖†
思い出は零れる水銀滴
転がり散らばる欠片
拾い切れぬ時の全てを繋いで
指輪をまとうこの今こそ
2月11日

†飛翔†
春鳴き鳥が飛んでいった
銀の日差しを横切って
南を探して飛び去った
冬は残る 記憶のクレバスに
2月10日

†午後の詠唱†
線路を流れてくるクルアーン
午後の陽光が止まる
空一杯の聖句に共鳴する魂
歓喜歓喜歓喜
2月9日

†午睡†
もぎ取られた時刻
惧れも疑いも忘れて果てる
陽光に全てを費やす
黄金は午睡から目覚めはしない
2月8日

†約束†
何を待っているのかと訊ねられ
時計の音に耳を傾ける
開かれた扉の向こうを過ぎる
言葉の訪れるのを待っている
2月8日

†小春日和†
黄昏にならぬ空の白い月
誰彼かまわぬ呼び声
冬は沈黙して去ったのか
雑踏は何を求めて来るのか
2月7日

†異邦人†
惑乱した同情と混線した言葉
流れ去って海へ落ちよ
異邦人より猶見知らぬ
その人の名を国と呼べ
2月6日

†疾風†
炎と燃える文字を想起して
風の行く手を瞼のうちに
豪奢な広間も消え失せる
疾風は夜の孤独な思考
2月3日

†午後の呼びかけ†
午後の日差しと風のざわめき
聖典の朗唱が途切れて
呼びかけはやってくる
雲の切れ間の陽光のように
2月2日

†如月†
待ちわびて触れる指先は
あなたの蜜に溺れる
誘う月の果実
如月のときめき
2月1日

 
 

 
 
 
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