■ 柘 榴 の 間 ■
 
 
 
   

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†倣岸な女神 II †
私の手を取って
優しい人よ
君の眼差しは刺さる
架空の肖像の上
10月31日

†倣岸な女神†
君その杯を飲み干してしまえ
許される限り
倣岸な女神が
君を飲み尽くしてしまう前に
10月30日

†行程†
空を飛ぶ想念は
とどまるところを知らない
恥知らずな空想
冷えた体にまとうこの温もり
10月30日

†目覚まし時計†
過ぎ去ってしまった
激しい香水の匂いも
今は手がかりにはならない
時計の音だけが聞こえる
10月29日

†道路†
退屈な振動が吐き気を催させた
物憂いウードに音楽が変わる
まるで緩やかな歌声が
車を運んで行くかのように
10月28日

†既視感†
見たこともない風景を思い出す
画像に取り込まれた経験
見慣れつけた未完成が
いつか虚像となるように
10月27日

†書物の宮殿†
全ての王侯より幸福な
黄金宝玉真珠の輝き
夜更けの図書室には小さな灯り
言葉は誘う 天上の宮殿
10月26日

†杯に垂らす蜜†
思念から浮かぶ影
甘味よ甘味よもう一匙
杯はもう空っぽ
飲み干してしまえその虚空を
10月25日

†再会†
夢の中で孤独だった人に会い
何事か語って別れた
硝子瓶の酒はもう腐っていた
鍵のない箱を捨てに海へ行こう
10月24日

†孤客†
激しい雨と風が扉を叩きつける
嵐と共に彷徨する狂喜に魅惑される瞬間
永遠の旅人家なき人
一切を捨てよ一切を捨てよ
10月23日

†無力の人†
明白な謎が空中に架かる
鍵を捨て耳を塞ぐ
太陽の光で目を焼いて
破れた腐敗の袋を包む
10月22日

†悦楽の園†
朽ち果てることのない
不滅の住人
自ら称えるその天国の名
汝正義よ偽善の人よ
10月21日

†夕べの祈り†
夕暮れのアザーンが流れている
ミナレットに白熱灯が燈る
人は過ぎ東から西へ
風は去る通りを抜け広場へと
10月20日

†比較の時†
無瑕は無垢
沈黙は試みに走る塩酸
穿たれた疑問は
哀れな宝飾に挑む
10月19日

†日記†
夜眠らないものは罰を受けるだろう。
訳もなく夜目覚めているものは。
きっと太陽の妬みでこんなことになったのかもしれない。
夜眠らないと、扉が開きやすい。
10月18日

†輪廻する宴†
キッチンで踊る愛のダンス
二匹の蝿が絡み合う
Allah Akbar 神は偉大なり
喪の声をまとい宴を支度する
10月18日

†沈潜†
深海の重みは体にしみいるだろう
騒がしくきしんだ螺子も
砕かれて流されれば軽くなる
魚の鱗が煌くように自由
10月18日

†迷夜†
月は幻を誘い記憶は惑う
軽薄な犬の鳴き声を頼れば
影に怯えるものは
いつしか行方を見失う
10月17日

†密会†
響きを引きずる長い声は弔鐘
享楽の人生も終わるならば
偽りの呼び掛けを振り捨てよ
密やかな時に静かに身を浸して
10月16日

†目覚め†
味気ない夢が告げる
冷たく濡れた手
時計の硬い針に刺された
朝こそ全てが閉じられる
10月14日

†弔い†
城門でなる骨の音は
夜のしじまを破り
腐肉を啄ばんだ鳥が
眼窩の闇すら毟りとる
10月13日

†視線†
額縁の中の情熱
乾いた情交
わずかな紅を求めて
視線は飢える
10月12日

†落花†
唇は花びら
開けばこぼれる
こぼれた花弁は風に
そして忘れ去られる
10月11日

†生命の泉†
静かな泉も
罪あるものには逸楽の酒
甘味は生命を蝕む
渇きは癒されぬ呪縛
10月11日

†放縦†
風よ、呼び寄せるその声に問う
海を渡り大陸を越えあてなく
全ての岩陰と泉を覗き込んだ後
今と同じく倦み果てるのかと
10月10日

†葡萄†
裏切りに満ちた甘い匂いで葡萄
蔓は果てしなく私の庭に伸びる
見たこともない氷柱の中の炎を
絡めとり引き出そうとしている
10月9日

†白昼夢†
饐えた日々の腐臭を手で払う
幾杯もの苦い酒を飲み干す
青銅の杯には蜜を垂らし
あの甘いまなざしを呼び寄せて
10月8日

†ヴァカンス†
鐘は鳴って響きは飛び立つ
水には豊かな藻がなびく
風は芳しい五月の海辺
それでも私の時は去る
10月7日

†欲望の翼†
夢は腕(かいな)を優しく慰撫し
甘い囁きすら耳には熱く
さりとて一夜の明けぬれば
独りさまよう欲望の翼
10月6日

†非情†
騒音が耳に入るともかまいはせぬ
目前に流れる血潮は誰のものか
簡潔な問いにすら答えられぬ
倒れ伏し待つべきものを待つ
10月5日

†重い扉†
熱い名を叫ぶとも
唇は閉ざされている
扉を叩く音が響くとも
重い鍵は回りはしない
10月4日

†日記†
ぽたり。
と重みのある滴が落ちるのを待つように、詩が落ちるのを待つ。
今日は雨の後の冷涼な空間。
全ては雨のように流れ去っていくのだ。
10月3日

†時計の淵†
時計が知らず知らずのうちにずれている。
危うい眠りが呼びかける
全てを失わんとする
脈絡なき泥炭の道のうちに
10月3日

†眠り†
痛みは全てを奪い去る
聴覚は閉ざされて
繰り返す波の淵では
躊躇いもなく眠りへ身を投げる
10月2日

†炎†
混乱の港に鬱屈は舫う
透明な波の飛沫を
目にもせずうち濡れそぼり
小さな火を放つのは欲望そのもの
10月1日

 
 

 
 
 
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