■ 柘 榴 の 間 ■
 
 
 
   

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†傍点†
勿論、それは泥の一滴に過ぎないのだ
跳ね飛ばされて変化する
蛙は潰れて息を止めた
私は名前を忘れてしまった
4月28日

†置換†
待っていなかった人が来る休日
眩しい皮膚に目は耐えられない
刺青を入れそこなった額に
太陽の落とす一滴の染みが浮かぶ
4月28日

†伝染†
垣根の中に棘が潜んでいる
恐れることのない者たちが
鍬を持って通りすぎた
そしていつの間にか災いを連れ帰った
4月27日

†失われた叫び†
今すぐ息の根を止めてやるから
エスカレーターの途上の叫び
氷漬けの記憶を温めて溶かす
木釘を差し込んでこじ開ける
4月26日

†児戯にも等しく†
扉は開いています、どうぞ
招き寄せる手に誘われたと言い訳
花を投げ入れた瓶からは汚水
もう合言葉を忘れてしまったの
4月26日

†夢†
流れの果てに失われたものを悼み
夜は姿を現して告げる
全てはわたしの内奥に収められた
覗きこむ目の偏光水晶体に
4月21日

†休息†
階段の隅に吹き寄せられた
チョコレートウェハースの包み紙
銀色の表面だけを啄ばむ禽
抜けた羽毛を集めて横たわる
4月18日

†停滞した灯火†
ランプを掲げていつかは
辿りつかなければならないのに
今、ともしびは消えている
水に満ちた大気が息を止めた
4月15日

†希求†
月の影を求めていた
朧な色、染み透るひかり
それは一つの形に過ぎなかった
湿潤な空気に霞む太陽すら見誤った
4月15日

†等価交換†
この鉛を変化させるだけのために
身の穢れる儀式を行う
交換の無意味な繰り返し
鉛には鉛 重りには汚れた血
4月15日

†営巣†
ただ、この暗い地下で花を摘む
陽の当たらない騒がしさを貫き
この青い実は生る
目を閉じて埃を食べる蜘蛛
4月12日

†液状言語†
湯の中に溶けてしまった塩の言葉
貝殻の湯船の内側は輝く
女王の飲んだ真珠の一杯
取り止めのない描線が浮かんでいる
4月12日

†古代†
血液に溶けこんでいるものを
とどめることが出来ようか
沸点の低い液体がもう
泡立っている、銀が、銀が
4月10日

†除草†
百合ならばいいのだ
片隅から生えているものが
何も答えずにすむ
蠢いているものを取り除かなければ
4月7日

†重量計測†
壁に埋め込まれた時計の音が
時刻を告げると水が揺れる
沈んでいた眠りから甦る
沈めた錘と等量の夜半
4月7日

†乞食†
林檎を売り尽した後も
道路の端で座ったまま
呼び声だけは残る
風はいらんか空はいらんか
4月5日

 
 

 
 
 
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