■ 柘 榴 の 間 ■
 
 
 
   

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†呪縛†
亡者が扉を叩いている
飢えた屍が呼び求めている
魂を持たぬ肉体は横たわりながら
揺れる窓枠の音を聞いた
4月29日

†埋葬†
虚ろな魂を埋めにやってきた
草原に火を放ち
凍りついた微笑を瞼に落としていた
これを満たすのは絶叫だ
4月27日

†終わり†
晴天に消える魚の姿
どんな言葉も虚偽に帰る
一瞬を繋ぎとめようとするならば
ワジ(枯れ川)は窪みに戻る
4月26日

†記念日 II†
象徴と儀式
純粋理想の為の投身
流れさる岸辺から目を離すな
諦念と清らかな絶望から
4月26日

†記念日 I†
導くものの声に従おうと
虚空に意味を見出そうと
諭す者に耳も貸さず
目を閉じ落下しつづけた
4月26日

†誘惑の形†
呼応するように
猿と子供は鏡
蜜を飲んだ酔漢だけが
呼び声を知っている
4月24日

†惑溺†
覆われた唇から零れる名前
森に残してきた残骸
満潮には耳を塞いで叫ぶものが
引潮に攫われ流されてしまう
4月23日

†虜†
果実をもいだ指先と
もがれた果実の痛みと
残るのはいずれか
強烈な香気の残像に酩酊する
4月23日

†孤独†
朝は孤独の目覚めを目覚め
夜は孤独の眠りを眠る
眼差しを投げられる者の幸福
読むことの哀しみ
4月16日

†眼差し†
不意に訪れて息の根を止めるもの
時間のラインを混濁させるもの
これは賜りもの 唯一度の
沈黙の裂け目から漂うアロマ
4月15日

†裁断†
剣によって。
腐敗した糸の切断を目論む
自暴自棄か
清浄な自決か
4月13日

†到来†
いつかは全てを終わらせることが出来る
春が来るように夏が失われたように
時計、嘆き、時計、蝋燭と数え上げ
約束も散らばってしまう
4月13日

†眠れない杯†
毒の後には甘味をと
失われてゆくのみの
酔いにまかせて求める飛翔
猶も大声でその名を叫ぶ
4月12日

†消音†
今すぐ耳を塞ぐことを
手を洗い流して扉を開き
風を呼ばなければならない
この纏わりつく油に溺れる前に
4月12日

†春雷†
春雷が鳴って思い出す
泡立つ血液の流れに
果たされない約束を
未だ見ぬ欲望の虜となる
4月8日

†遠隔操作†
切断されたのではないか
時間と空間によって
再接続の希望は虚しく生き延びるが
蔦の絡んだ廃墟は風に曝されて朽ちる
4月7日

†習癖†
それが名前ならば何故拒むのか
注がれたものを受けよ
未だ巡られぬ夜の迷宮の扉
開こうか開くまいか甘い逡巡をして
4月7日

†くびき†
白昼の石畳に散らばる疑問
拾い上げ再構成した過去
繋がれた玻璃の首飾りをまとい
乱反射する白黒の世界を歩む
4月5日

†長い眠りから†
大きな寝台に花を捧げ
香水は皮膚を変化させる
失われた言葉を求めはしない
蜜の一滴が瞼を濡らすだろう
4月3日

†月光を戻る†
誰も見上げない月光
誰も聞かぬ木々の騒めき
夜の道に帰る
永遠の声に帰る
4月3日

†甘い歌†
蜜花に触れる触れる度に
立ち昇る香気
歌が繰り返されれば
聴く耳は溺れるだろう
4月3日

†名前†
最期の鍵に閉ざされるように
綴りを読み上げて唱えて
未だ見ない時間を予約する
愛の言葉を招き寄せたように
4月3日

†情欲†
待ちつづけている
求めつづけている
絶え間ない羽音を立てて舞う
瞑目する隙を窺っている
4月2日

†夜と夜明け†
夜は追憶の時
甘美さを取り戻そうと藻掻く
夜明けは夢想の時
蜜の滴りを手にかざして待つ
4月1日

 
 

 
 
 
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