■ 柘 榴 の 間 ■
 
 
 
   

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†夜の水源†
夜半に一人目覚めている者は
ただ無音の風を窓の外に求め
鉱脈は灯りの狭い円の内側に
冷涼な瞬間の星の輝きを飲む
8月31日

†埋火†
これは灰だとあなたは言った
指先の焦げているのを責めるでなく
煙は立ち昇ると定められたまま
心は心と流れるまま
8月30日

†瓦礫論†
自由があることを知るだけで充分だ
輝点、星の名前を好きなだけ数えるがいい
全ての名前が意味不明となる地点で
失われた論理を飛翔する翼よ
8月19日

†運命の恋人†
夜の煌きが散るように
虚しく引き裂かれた紙が散る
瞼の輝きが曇るのは定め
波に流されることだけが望み
8月17日

†夜を拾う†
お前は捨てられた眼差し
お前は無知の不具
夜に灯りは砕けた欠片
拾う素振りで意味を装う
8月14日

†生まれ来る鳥の†
痛みなど何ほどでもないだろうに
流れ出た血よ
清らかな声で歌う
鳥を探していたのだから
8月14日

†廃園†
夜の炎が昇る時は
湛えられた懐かしい微笑と
捨て去られていたあの蜜の川と
苛むものには事欠かぬ
8月13日

†彼の夢†
夢の中で石を拾っていた
音楽が押し流す
この船に乗って行こう
青い川の流れを
8月13日

†時間的凝固体†
退屈は空虚な壷を模る
密度は薄れて冷める
固定された感覚
鎧戸の内側の静寂
8月12日

†道端†
陽光は全てを奪い尽くすもの
行き交うものは影となり
澄み渡る空気に耐え得るものはない
この果てが見えていてる道
8月10日

†糸巻き唄†
色とりどりの絹糸巻いて
手玉をついて
解けた糸が絡まるままに
唄が巻きつくそのままに
8月8日

†川辺†
転がり落ちた果実を割る
もう失われてしまった
水のない川が目の前を流れた
熱風が何もかも奪う
8月8日

†行進する象†
それは騒乱の予告
なり響く音にもしきたりはある
道路を下る婚礼の車は導く
止まりはしない運命の流れ
8月7日

†楽園†
誰かの落とした血に
直ぐと蟻が群がっている
夏の夜から生まれるもの
湧き出でる泉は止め処もない
8月7日

†鳥籠の宇宙†
鳥籠の名を求めてさまよう宙
丸屋根に吊るされたランプに
ともる焔の色は見えざるもの
言葉は二重映しのフィルム
8月4日

†宴の最中†
毎夜ごと指を焼く
窓を夜に開け放つたびに
季節を数える数珠を繰った
祈祷は回転し蒸留される
8月4日

†桃の午睡†
夏の午後が搾り取る
黄金の桃の果汁は皿に溢れる
苦痛な呼吸の滴りが
空白に覆われたデザートに沁みる
8月2日

†義眼†
眼球代わりの痛みを押し込む
毒の回った手足では
行く先なぞはどこにもない
それは無色透明丸硝子
8月1日

†新しい日†
天空の窓が割れている
降り注ぐ灰の雨
窓辺に立つ人は
緑の枝を振るって硝子を落とす
8月1日

 
 

 
 
 
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