■ 柘 榴 の 間 ■
 
 
 
   

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†通行許可証†
青い女神が腰元を引き従えてゆく
迫り来たるものは森の奥の城
ためいきは許容の外だった
何が溶けて行くのはもう判らない
11月29日

†聖歌†
夜の中に騒がしく鳴り響いた
歌い上げようとして言葉のないまま
耳は冷たく 夜は冷たく
自らの所属しないものの歌
11月27日

†逃走†
アイロンの焦げる匂いにかき乱されて
冷たい指が布に刺さり
鐘の音のような不意打ち
時計が駆け足で腕から逃げてしまう
11月26日

†疾風の名において†
あなた方が失われた門を叩くように
空気がそのたびに響いているのを聞きながら
けれども開くことができないでいる
鍵を召し上げるあの黒い風の名において
11月24日

†黄金の夢†
みずみずしい黄金の雨が空にかかる
空はひらかれて橋は端緒と終端を繋ぐ
すべる光の流れに打たれて
時刻の輝きが神の目に宿るのを見る
11月24日

†伝染†
蒸留された悪意が空気感染している
あまりの退屈さに卒倒
昨日のことをもう忘れてしまったらしい
あれだけ呪っておいたのに
11月19日

†扉を閉める†
赤々と灯りのともった家に戻ると
鶏のようにうなだれて
何もかもを失わなければならないのだ
この灰が風に舞ってゆくだろう
11月18日

†夏の思い出†
石畳に散った花びらの陰で
視線は出会うことはなかったのだ
耳は何も聞きとがめようとしなかった
街路に敷かれた国境線のうちで
11月17日

†器に水を満たしなさい†
壷を頭に乗せた娘が行きすぎた
踊るように河へと向かって行く
戻り来た娘は水をあけた
壷はいつでも口をあけてるのが良い
11月16日

†バス停†
下水道の味のする日常を飲み
剥がれた爪で夜空に傷をつける
偽物の屋根が息を詰めている
苛立った足はもう待ってはいられない
11月11日

†冬の草†
夜の中を走って行くと
道路のアスファルトを破る若草が
冬の始めを彩ろうとしている
裸足で触れて走れ
11月10日

†偽紫†
かりそめに紫の布を縛る夢をみるようなものだ
ひらめいた時針
かちりと鳴らされて
窓の角からほどけてゆく
11月8日

†夜の波†
ああ、うめき声
ああ、叫び
足音、踏み鳴らす
呼び交わす腕は揺れる波のようだった
11月6日

†遊戯†
いと高きものの告げた言葉のために
この本を貸してあげましょう
何の答えもないだろう
次の環には片足で跳び入れ
11月4日

†海月†
海月が棲みついていた球体の
揺らいで流れて行くように
滴る音が溢れて落ちてゆくように
歌も星の中に紛れていくのだ
11月4日

†風の吹く日†
オリーヴの林を抜けてくる
砂埃ときらきら舞う千切られた
チョコレートの銀紙に星の王子様
その時が来たと告げる筈だった
11月4日

 
 

 
 
 
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