■ 柘 榴 の 間 ■
 
 
 
   

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†卵†
粒上の記憶が緑色に光っていた
反射は繰り返し、尖った葉先に
ぶらさがっている
目の中の目、目の中の目
10月24日

†緩やかな日没†
冷たく硬く息が落ちていく
オレンジが温めてくれますように
抱いて薬の匂いをかいでいる
突き刺した仙人掌
10月23日

†呪文†
水に手を浸して洗いなさい
泥が染みついてしまったではないか
何故呪いにかかってしまうのか
何もないと繰り返し洗い流す
10月17日

†歌手に II†
あなたの面差し それは
疾走する車のけだるい振動の向こう
不機嫌な沈黙によく似ている
白い建物が海へなだれ込むその彼方へ
10月12日

†歌手に†
夜を あなたは手引きして
秋の夜の長く伸びた片端に
炎 血の色の 糖蜜色の一筋
静かな鼓動で燃えている
10月12日

†奇襲†
それは初めてのことで
押しつけられたローズマリーと
冷たい予感を秘める土の匂い
夜に打ち倒されていたのだ
10月12日

†盗掘者†
あなたは胸に黄金の棺を抱いて
永遠の眼差しが地中に開かれている
石灰に封じ込められた虫の屍骸を掘り出して
千切れた貴石の針を腕に縫いとめる
10月9日

†庇護†
酒に酔ってはいけません
夕暮れの聖域で腰掛けて夢見る
無情な嵐が来ませんように
緑の森で眠れますように
10月8日

†地底旅行†
カメレオンの顔が一瞬
走りすぎていった地底
水栽培の乗客を乗せた鉄道
背広があぶなかしく揺れている
10月8日

†ある時†
それはひび割れた女王の治める王国
アンチモンと砒素に引きつる
羽毛が舞うインデックス
大音声で呼びたてられる死神
10月8日

†狩りの角笛†
狩りの季節だと人はいうのだ
口伝えの祝詞を掲げて走らせる奔馬
従わせ引き連れ引き摺る鶉の血
髪に飾った白い布を掲げなさい
10月6日

†夜を浚う人†
あなたは鉤のある針を投げて
あなたは毛羽立つ網を投げて
血塗られた夜を攫いに来る者
水底のひかりは青色に燃える
10月5日

†模造記憶の夜†
それが水底の耳鳴りであって
それが潮騒の打ちつける冷たい飛沫で
暴風が止む時全てが静寂に変わるとも
群がり咲く赤い花は止められぬ
10月3日

 
 

 
 
 
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