■ 柘 榴 の 間 ■
 
 
 
   

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†オマージュ†
音楽こそ全てではないか
誰のためにと死んだ歌手が歌っている
弾丸と永遠
君は愛の歌のために
12月31日

†真昼の輝石†
乞われるままに語りはじめていた
乞われれば手のひらさえ与えただろう
何を差し出せばいいのか
飢えてもいない琥珀のために
12月25日

†大海†
そして、もう、押し寄せるものに
抗おうとは誰もしないのだった
風にあおられて花が飛んで行った
息を呑む間もない、全てが
12月24日

†狩猟日†
熱がある休日には行こう
あの狩りに出掛けて行こう
緩やかにゆられながら追う
蜜の流れる草原の奥地へ
12月23日

†夢を見る曜日†
声が、水を含んで樹上から滴ったのだ
それはある曜日のことだった
夢を見る、とは
告げられぬほどの高みから
12月23日

†目の記憶†
わたしたちが何故そこで
出遭えなかったのかは分からない
あなたの目は黄金の色だと
それだけを今も憶えている
12月21日

†銀の鎖†
泥の中に身を投げ出すのを
厭う筈などないではないか
彫刻された神々は沈黙している
それでは引き裂かれた叫びの色は
12月20日

†清めの儀式†
雲の鱗の剥がれるあいまに
ばら色の島は燃えて浮かぶ
降り注ぐ灰を拾う
純粋なる水で目を洗う
12月18日

†おとづれ†
不意打ちする夜よ
眠りに間近い中の誘いよ
とまどった獣が戸を叩いたので
呼び入れようとしていた
12月17日

†めざめ†
夜更けの銀の声の雨にめざめ
貝殻は水に浸されてゆれる
中央にある痛み
傍らに光る一滴の宝玉
12月16日

†水の杯†
私は何を飲んでいるのか
繰り返し水差しから注がれる
尽きせぬ泉はどこにあったのか
夕暮れの問いかけの囁きのうちに
12月15日

†炎を導く†
落ち着きのない魂に光を
翼のある声がやってきた
途絶えてはならないこの炎は
空の片隅を切り開いて昇る
12月14日

†窓の格子に冬の薔薇†
喉の奥に時計がし掛けられている
今日は叫びの日だ
一枚の紙を丁寧に引き裂いていった
剥がれた爪の痛みがあった
12月13日

†今宵の祈り†
果汁を絞るようなものだ、
この歓びと言うもの
身を投げ出している道路のただ中
目の中に燃えている冬
12月12日

†苦い石蹴り†
戸惑いのうちに苦汁は漂っていた
待ての身振りが既に哀れみを残す
置いてゆくのがよいのか
この石蹴りの遊びの最中
12月12日

†圧死した魂†
積み上げられた本からは
ふとした折りに滴るものがある
圧死した昆虫は魂を
どこへ残していったのだろうか
12月10日

†夜明けの庭†
微睡みのうちから絞りだすように
生まれる夜明け
の炎は流れてゆく
花びらの奥の諦念
12月10日

†実りを摘む日†
今日も私は取引をした
過ちの多い日であった
声は囁きに近かった
誰にも渡すつもりなどないこの花
12月10日

†懇願†
銀に手を染めたものが
還ってくる筈などないことは
疾うにもう知っているのだから
目の泉には咎め立てなどしないでいて
12月8日

†昼間のための嗜好品†
ヒエラルキーの上をのたうつもの
順列を息遣いが乱そうとしている
ああ、幻覚剤に自家中毒する
薄く剥がして食べ続けながら
12月7日

†琥珀の夜†
輝きは手のひらのうちにこもり
冬の夕暮れがさしこんでいた
目は琥珀
この黄金の時針は何を貫くのか
12月7日

†水面下の道行き†
望んで行くのだから、何を躊躇おう
足には薄いサンダルがあった
金の鈴を腕に鳴らして歩く
それでも鈴は付いてお出でと歌っていた
12月7日

†賜物†
それは滑らかな手にまとわりつく
革の甘い香りであって
道端に落ちていた鈴なりの枝を拾うのと
何も変わりはないのだよ
12月7日

†困惑†
憐れみは根深く根付いているので
今更に取り出して埃を払えとは。
無情な神が、支配する苦しみに嘆くように
紙と線の王国を支配するのは困難だ。
12月6日

†間食†
かもしかを追いかけて
今日は舌なめずりをして
指に柔らかいページをめくる
時にはソースのない皿もよい
12月5日

†水の霊へ†
何故かは知らないが、水の中には
炎が息づいているので
目を閉じて身を差し伸べる
全てを、全てを、全てを
12月3日

†踊りの時間だ†
何故こんなにも燃えているのだろうか
星が毎晩を縁取っている
硝子など履くつもりはない
炎の周りを踊るのだから
12月3日

†否†
何故こんなにも大きな花束が薫っているのに。
スカートを揺らして踊っていた娘は
否という答えしか与えなかった
子供騙しの遊戯だとは言わないでおくれ
12月3日

†午睡†
さざなみだっている青い瞼の中を
カンパンゴの群れがゆく
指差して言う、ごらんよ
雲が吹き寄せてくるだろう
12月3日

†花占い†
アイロンが熱を帯びるまでの間
夢の残りをまぶたに押さえても
朝は全てを洗い流す時
淡い花びらを剥がしてゆく
12月2日

†擬装†
何故だ、と甘い爪に問う
ヘーゼルナッツの匂いがしていた
笑い声が応えた
これは一つの冗談に過ぎないと
12月1日

†短い感傷†
サヴァンナの動物が目の前を行くとでも言うのか
こうして流れ去る車の河を見下ろして
空から電話がかかるのを待っている
光が差してもう雲に隠れようとしている
12月1日

†雨期†
夜半の物売りが通りを行きすぎる
呼び声が祈るように降りかかってくる
今夜は冬の雨が始まるのだ
枯れ枝の中にのぞくは青のイルミネーション
12月1日

 
 

 
 
 
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