或 - 漢字私註

説文解字

或
邦也。从、以守。一、地也。
十二戈部
域
或又从

康煕字典

部・劃數
戈部四劃
古文
𢈿

『集韻』越逼切、音閾。『說文』邦也。从口从戈、以守一。一、地也。通作

又『廣韻』胡國切『集韻』『韻會』『正韻』穫北切、𠀤音惑。疑也。凡或人或曰皆闕疑之辭。『易・乾卦』或躍在淵。『朱子・本義』疑而未定之辭。

又與惑通。怪也。『孟子〔告子上〕』無或乎王之不智也。

○按六書有假借、或本是邦或字、借爲疑或字、後人加土爲域、加心爲惑。而於或字、止作或人或曰之用、幷其本義而忘之矣。

部・劃數
广部八劃

『玉篇』古文字。註詳戈部四畫。

音訓

(1) コク(漢) ワク(呉) 〈『廣韻・入聲・德・或』胡國切〉
(2) ヰキ 〈『集韻』越逼切、音閾〉
(1) ある。あるいは。まどふ。うたがふ。あやしむ。
(2) くに

音義(2)はに通ず。

解字

白川

の會意。囗は城郭の象。これを戈を以て守る意で、國の初文。國は或に更に囗を加へた形。金文に或を國の意に用ゐる。

説文解字に邦なり。囗に從ひ、戈に從ひ、以て一を守る。一は地なり。とし、を重文として擧げる。は境界の意。

、國はもと一字。或がのち域と國とに分化したと見てよい。

或はまたとも聲義が通用し、有が一般的にある意であるのに對して、或は限定的な有であるため、「あるいは」の意となり、不特定の意となる。『論語・爲政或謂孔子(或るひと、孔子に謂ふ)は不特定の人、『詩・豳風・鴟鴞或敢侮予(敢へて予を侮ること或らんや)は有の限定的用法。

惑と通用し、『孟子・告子上』王の不智なるをうたがふこと無かれ(上揭)とあり、疑惑の意に用ゐる。

藤堂

と囗印の地區の會意。また囗を四方から線で區切つて圍んだ形を含む。ある領域を區切り、それを武器で守ることを示し、や國の原字。

但し一般にはに當て、或る者、或る場合などの意に用ゐる。

漢字多功能字庫

甲骨文は柲(柄)を納める「管銎斧」あるいは「柲帽」の形に象る。武器の一種(李學勤、謝明文)。商代晩期の金文と甲骨文は同じ。後に柲の形と輪形が分離した。謝明文は、輪形(員の初文)は或の聲符となつたとする。輪形の周圍にはあるいは飾筆を加へ、柲の形は變形しての形となり、『説文解字』の小篆のもととなつた。後の人は變形した字體を根據に、疆域、國家の類の假借を或の本義あるいは派生義とし、附會して一個の會意字とした。

(補註: 漢字多功能字庫が或とする甲骨文を、落合は戉として擧げる。)

甲骨文、金文では多く人名、國名あるいは族名に用ゐる。

また假借して副詞とし、再、又と訓ずる。

また區域、疆域を表す。

黃金貴は西周金文の或はすべてと讀むと指摘する。大西克也は一步進んで春秋金文から郭店楚簡、楚帛書に至るまでの資料中の或、䧕、[宀或]などはすべてと讀み、地域、領域を表すが、國家を表さないとする。《上博竹書一・緇衣》簡7亖(四)或(域)川(順)之。《郭店簡・緇衣》簡12作四方[川心](順)之。四或と四方はいづれも天下を指す。

屬性

U+6216
JIS: 1-16-31
人名用漢字
𢈿
U+2223F

關聯字

或聲の字