聽 - 漢字私註

説文解字

聆也。从𡈼聲。
十二耳部

康煕字典

部・劃數
耳部十六劃
古文
𦕢

『廣韻』『集韻』『韻會』『正韻』𠀤他定切、音侹。『說文』聆也。『釋名』聽、靜也。靜、然後所聞審也。『書・太甲』聽德惟聰。『儀禮・士昏禮』命之曰、敬恭聽、宗爾父母之言。

又『廣韻』待也。

又受也。『左傳・成十一年』鄭伯如晉聽成。《註》聽、猶受也。

又從也。『易・艮卦』不拯其隨未退聽也。《疏》聽、從也。『左傳・昭二十六年』姑慈婦聽。

又斷也。『禮・王制』司寇正𠛬明辟、以聽獄訟。『周禮・天官・大宰』凡邦之小治、則冢宰聽之。『前漢・𠛬法志』一曰辭聽、二曰色聽、三曰氣聽、四曰耳聽、五曰目聽。

又任也。『前漢・景帝紀』其議民欲徙寬大地者、聽之。

又𠋫也。『戰國策』請爲王聽東方之處。《註》聽、偵𠋫之。

又『唐韻』他丁切『集韻』『韻會』湯丁切『正韻』他經切、𠀤音㕔。『集韻』聆也、聽受也。中庭曰聽事、言受事察訟於是。俗作㕔。毛氏曰、漢晉皆作聽、六朝以來始加厂。

又『韻補』叶儻陽切、音堂。『蘇轍・讀道藏詩』昔者惠子死、莊子笑自傷。微言不復知、言之使誰聽。

部・劃數
耳部六劃

『集韻』、古作𦕢。註詳十六畫。

異体字

初文の隸定形。

いはゆる新字体。

音訓

(1) チャウ(呉) テイ(漢) 〈『廣韻・下平聲・靑・汀』他丁切〉
(2) チャウ(呉) テイ(漢) 〈『廣韻・去聲・徑・聽』他定切〉
(1) きく。ききいれる。したがふ。をさめる(聽政)。さばく。ゆるす(聽許)。まかせる。
(2) きく。ききうける。

解字

初文はの會意で𦔻につくる。あるいは耳と口とまたは𡈼の會意で、後の聖に當たる(聖は耳と口と𡈼に從ふ)。

現用字は耳と𡈼とに從ふ。

白川

𡈼の旁の會意。𡈼は人の挺立する形。挺立する人の上に、大きな耳を加へ、耳の聰明なことを示す。聰明の德をいふ字。

金文には耳と祝詞の器の形のとに從ふ字があり、神に祈り、神の聲を聞き得ることをいふ。

聖は、聽字の德に代へて祭器を表す口を加へたもの。神の聲を聽き得るものを聖といふ。

説文解字に𡈼聲とするが、𡈼は人の挺立する形で、聲ではない。

神の聲を聽き得る者が聖であり、その德を聽といつた。聖は概ね神瞽であつた。

藤堂

と音符𡈼の會意兼形聲。悳は直と同系で、眞つ直ぐなこと。𡈼は人が眞つ直ぐに立つたさま。聽は眞つ直ぐに耳を向けて聽き取ること。

落合

甲骨文はの會意で𦔻の形。口から發せられた言葉を耳で聽く形。甲骨文では不吉な物音を聞く意で用ゐられてをり、口は祭祀に関聯することを表すものかも知れない。異體字には、口を二つにしたものや耳の下にを加へたの初文に從ふ形などがある。

甲骨文での用義は次のとほり。

  1. 聽くこと。甲骨文では主に不吉の前兆の物音を聽く意に用ゐられてゐる。《合集》5298貞、王聽、不惟禍。
  2. 地名。《甲骨綴合集》312戊子卜貞、翌庚寅、延聽、企朿。十二月。

𦔻と、耳の下に人を加へた形[⿰⿱耳人口]が後代に繼承されたが、前者は篆文以降には使はれなくなつた。後者は金文で耳、口と人の形から變はつた𡈼を合はせて、聖の形がつくられた。上古音では𡈼は聖、聽と同音か近い發音であつたと推定されてをり、亦聲符とされる。但し聖は祖先を顯彰する意で用ゐられてゐる。

聽の形は篆文で現れ、聖の口を聲符のに置換したもの。

漢字多功能字庫

甲骨文はあるいは二口に從ひ、聲が耳から入るさまを象り、聽聞を表す。金文は多く耳と口に從ひ、隸定して𦔻につくる。商代の族徽に二耳二口に從ふ形があり、聽の初文にあたる。𦔻にあるいはを加へ、あるいはを加へ、聖の形と近く、土は壬の變形したもの。古く聖、聽、聲は同じ字で、主に耳と口に從ひ、聲が口から出て耳に入るさまを表す(參・郭沫若)。金文では多く聖を聽聞を表すのに用ゐる。説文解字に壬聲。とあるのは、聖字の耳の下の人が變形して壬の形になつたもの。(補註: 本段中の壬は𡈼と讀むのが妥當か。)

甲骨文での用義は次のとほり。

金文での用義は次のとほり。

屬性

U+807D
JIS: 1-70-69
人名用漢字
𦕢
U+26562
𦔻
U+2653B
U+8074
JIS: 1-36-16
當用漢字・常用漢字