聲 - 漢字私註

説文解字

聲
音也。从聲。殸、籒文磬。
十二耳部

説文解字注

聲
音也。下曰、聲也。二篆爲轉注。此渾言之也。析言之、則曰生於心有節於外謂之音。宮商角徵羽、聲也。絲竹金石匏土革木、音也。『〔禮記〕樂記』曰、知聲而不知音者、禽獸是也。从耳殸聲。書盈切。十一部。殸、籒文磬。見《石部》。

康煕字典

部・劃數
耳部・十一劃
古文

『唐韻』『集韻』『韻會』書盈切『正韻』書征切、𠀤聖平聲。『說文』音也。『書・舜典』詩言志、歌永言、聲依永、律和聲。《傳》聲謂五聲、宮商角徵羽也。『禮・月令』仲夏之月、止聲色。《註》聲謂樂也。

又凡響曰聲。『張載・正蒙』聲者、形氣相軋而成。兩氣者、谷響雷聲之類。兩形者、桴鼓叩擊之類。形軋氣、羽扇敲矢之類。氣軋形、人聲笙簧之類。皆物感之良能、人習而不察耳。『韻會』韻書平上去入爲四聲。

又聲敎。『書・禹貢』東漸于海、西被于流沙、朔南曁聲敎、訖于四海。『左傳・文六年』樹之風聲。《註》因土地風俗、爲立聲敎之法。

又聲譽。『孟子』故聲聞過情、君子恥之。《註》聲聞、名譽也。

又宣也。『孟子』金聲而玉振之也。《註》聲、宣也。

又『諡法』不生其國曰聲。《註》生于外家。『春秋・經傳集解』繼室以聲子、生隱公。《註》聲、諡也。

又姓。

又『韻補』叶尸羊切、音商。『韓愈・贈張籍詩』嬌兒未絕乳、念之不能忘。忽如在其側、耳若聞啼聲。

部・劃數
士部・四劃

『字彙』同上𡔝。『正字通』俗字。

音訓

セイ(漢) シャウ(呉) 〈『廣韻・下平聲・清・聲』書盈切〉[shēng]{sing1/seng1}
こゑ。おと。

解字

白川

の會意。殸はケイ(磬石)をつ形。その鼓つ音を聲といふ。声は磬石を懸けた形。

『説文解字』に音なり。耳に從ふ。殸聲。といふ。

卜文に声、殸に作り、ときに祝禱を收める器の形を加へることがあり、磬聲は神を招くときに鼓つものであつた。もと神聽に達する音をいふ。

藤堂

の略體との會意。声は、石版をぶら下げて叩いて音を出す磬といふ樂器を描いた象形字。は磬を叩く棒を手に持つ姿。聲は、耳で磬の音を聞くさまを示す。廣く、耳をうつ音響や音聲をいふ。

落合

声の部分は樂器である石磬を吊した形であり、それにばちを持つた手の形のや音色を聞くを加へた會意字。異體字には祭祀を象徵するや家屋の象形であるを加へたもの、あるいは殳をに替へたものなどもある。字源としては石磬の音色を意味する字であるが、後に人の發聲などにも轉用された。

甲骨文での用義は次のとほり。

  1. 祭祀名。《合補》6808戊子卜戴、婦伯亦侑聲。戴占曰、亡聲。
  2. 地名。《合集》18894叀聲田、亡災。
  3. 施設名。祭祀施設か。《甲骨拼合集》285…亘貞、翌丁亥、晹日。丙戌、雹…亥、宜于聲…。

は殸の部分から分化したものであり、篆文で意符としてが加へられた。

【補註】漢字多功能字庫は甲骨文の磬・殸と聲を辧別してゐるが、落合は一字の異體としてゐる。

漢字多功能字庫

甲骨文はに從ふ。磬は亦聲符。簡帛文字、小篆は耳に從ひ殸聲。殸は磬の初文で、手に棍棒を持つて懸けられた石磬を打つさまに象り、耳は石磬の樂音が耳に屆くことを表し、本義は樂音。後に廣く一切の音を指す。『說文』聲、音也。(後略)《段注》音下曰、聲也。二篆爲轉注、此渾言之也。析言之、則曰生於心有節於外謂之音。宮、商、角、徵、羽、聲也。絲、竹、金、石、匏、土、革、木、音也。『樂記』曰、知聲而不知音者、禽獸是也。「宮、商、角、徵、羽」の五つの音階を聲と呼び、絲、竹、金、石、匏(瓢簞)、土、革、木の八種の材料で作られた樂器を演奏して出るものを音と呼ぶ、の意。

古くは聲と音に區別があつた。聲には比較的廣い意味があり、凡そ耳に屆くものをみな聲と呼び、人の話す聲、歌聲、鳥獸の聲、音樂などを包括する。音は多く音樂を指す。旋律と節奏(リズム)を有し、各種の樂器を調和し演奏することによるものを音と呼ぶ(王鳳陽)。『禮記・樂記』聲成文謂之音。後に聲音の二字は常々續けて用ゐ、その分別は段々と曖昧になつた。

甲骨文では疑ふらくは馨香の馨を表す(于省吾)。《合集》27632聲(馨)黍其登は、芳香のある黍を進獻するの意。

戰國竹簡では名譽を表す。《睡虎地秦簡・法律答問》簡52廣衆心、聲聞左右者、賞。能く士氣を奮ひ起こし、將軍に彼の名聲を理解させる人は、賞賜を受けるべきである、の意。

戰國竹簡ではまたを用ゐて聲となす。《郭店簡・老子甲》簡16音聖(聲)之相和。(『老子・第二章』相當)

漢帛書ではまた聲を用ゐて聖となす。《馬王堆帛書・老子甲本》第96行是以聲(聖)人居无為之事。(『老子・第二章』相當)

聲はまた現在では比較的稀に見える姓氏で、今の浙江省余姚市、山西省運城市などの地に分布する。鄭樵『通志・氏族略』姬姓、蔡大夫聲子之后也。公孫歸生、字子朝、為朝氏、謚聲子、故又為聲氏。

屬性

U+8072
JIS: 1-70-65
U+58F0
JIS: 1-32-28
當用漢字・常用漢字