石 - 漢字私註

説文解字

石
山石也。在之下。、象形。凡石之屬皆从石。常隻切。
石部

説文解字注

石
山石也。或借爲大字。或借爲字。䄷、百二十斤也。在厂之下。囗象形。常隻切。古音在五部。凡石之屬皆从石。

康煕字典

部・劃數
部首
古文
𥐘

『唐韻』『集韻』『正韻』常隻切『韻會』常亦切、𠀤音碩。『增韻』山骨也。『釋名』山體曰石。『易・說卦傳』艮爲山、爲小石。『楊泉物理論』土精爲石、石氣之核也。氣之生石、猶人筋絡之生爪牙也。『春秋・說題詞』石、隂中之陽、陽中之隂、隂精補陽、故山含石。

又樂器、八音之一。『書・益稷』擊石拊石。《註》石、磬也。

又樂聲不發揚亦曰石。『周禮・春官・典同』厚聲石。《註》鐘太厚則如石、叩之無聲。

又堅也。『前漢・揚雄傳』石畫之臣。《師古註》言堅固如石。亦作碩。

又星亦稱石。『左傳・僖十六年』隕石于宋五、隕星也。

又量名。十斗曰石。『前漢・食貨志』夫治田百畮、歲收畮一石半、爲粟百五十石。又官祿秩數稱石。《師古曰》漢制、三公號稱萬石、以下遞減至百石。

又粗布皮革之數亦稱爲石。『唐書・張弘靖傳』汝輩挽兩石弓、不如識一丁字。

又水亦稱石。『水經注』河水濁、淸澄一石水六斗泥。

又酒亦稱石。『史記・滑稽傳』臣飲一斗亦醉、一石亦醉。

又衡名。百二十斤爲石。『書・五子之歌』關石和鈞。《註》三十斤爲鈞、四鈞爲石。『禮・月令』仲春鈞衡石。『前漢・律歷志』石者、大也、權之大者。

又州名。『廣韻』秦伐趙取離石、周因邑以名州。

又姓。『左傳』衞大夫石碏。又複姓。孔子弟子有石作蜀。

又叶常義切、音嗜。『宋玉・高唐賦』勢薄岸而相擊兮、隘交引而却會。崪中怒而特高兮、若浮海而望碣石。

又叶石若切、音杓。『楚辭・惜誓』方世俗之幽昬兮、眩白黑之美惡。放山淵之龜玉兮、相與貴夫礫石。又『招魂』長人千仞、惟魂是索些。十日代出、流金礫石些。

又叶七各切、音錯。『郭璞・爾雅贊』鰒似蛤、有鱗無殻。一面附石、細孔雜雜、或七或八。

部・劃數
石部・二劃

『集韻』古作𥐘。註詳部首。

音訓・用義

(1) セキ(漢) シャク(慣) 〈『廣韻・入聲・昔・石』常隻切〉[shí]{sek6}
(2-1) コク(慣)
(2-2) [dàn]{daam3}
(1) いし

音(2)は以下に用ゐる。漢語ではの音(dàn)で讀む。本邦では容量の單位を斛の音(コク)で讀む。

解字

白川

の會意。厂は崖岸の象。口は祝禱を收める器の形。

『説文解字』に山石なり。厂の下に在り。口は象形なり。と口を石塊の形とするが、嚴、巖の從ふところも口の形であり、嚴は敢(鬯酌の形)に從つてをり、儀禮を示す字。

宕は廟、祏は祭卓のの形に從ひ、宗廟の主、いはゆる郊宗石室の神主。

啓母石の神話をはじめ、石に對する古代の信仰を傳へる資料が多い。

藤堂

象形。崖の下に型の石のあるさまを描いたもの。

落合

初文はで、石磬の形に象る。石磬を祭祀に用ゐることから、祭器の形のを加へた字形があり、現用字の口の部分に當たる。

甲骨文での用義は次のとほり。

  1. いし。石製の。《合集》376貞、甲子垔乙丑、王夢牧石麋、不惟禍、惟祐。三月。
  2. 祭祀名。《合補》6865余曰、貞、我其禦石。
  3. 地名またはその長。《合集》6952雀不其以石。
  4. 人名。第一期(武丁代)。婦石とも呼ばれる。石の出身かも知れない。《合集》22099戊午卜貞、婦石力。十三月。
石甲
祖先名。殷王ではない。《殷墟小屯中村南甲骨》462丙寅卜、禦于石甲彘。
【補註】落合は見出し、用例とも合文で示してゐる。
有石
占卜用語。吉祥か。有石一橐ともいふ。

や席の上部は石から分化した形。

漢字多功能字庫

甲骨文のは石磬の形に象り、本義は石。石の形は表現して傳へるのが難しく、磬は典型的な石を用ゐて製造する樂器であるから、石磬の形で表す。後にを加へるが飾筆であり義は無い。甲骨文での用義は次のとほり。

金文は甲骨文を承け、厂と口に從ふ。金文での用義は次のとほり。

『説文解字』の小篆は○に從ひ口に從はず、○を以て石の形に象るとし、古文字と合はない。『康煕字典』の小篆は口に從ふ形に改め、古文字に同じ。《段注》或借為碩大字、或借為䄷字

戰國秦漢文字では、石は同音のに通じてなす。『漢書・律歷志』石者、大也。『馬王堆・易』石果不食を、傳世本『易』に「碩果」に作る。

重量單位となす。その後、『説文解字』にに作り、䄷、百二十斤也。といふ。桂馥『義證』に䄷、今省作石、讀為擔。といふ。『楚辭・九章・悲回風』重任石之何益王逸注石、一作秙。洪興祖補注秙、當作䄷、音石、百二十斤也。

屬性

U+77F3
JIS: 1-32-48
當用漢字・常用漢字
𥐘
U+25418

關聯字

石に從ふ字を漢字私註部別一覽・厂部・石枝に蒐める。