説文解字私註 亼部

三合也。从入、一、象三合之形。凡亼之屬皆从亼。讀若集。
合口也。从亼从口。
皆也。从亼从吅从从。『虞書』曰:“僉曰伯夷。”
思也。从亼从冊。
是時也。从亼从乁。乁、古文及。
市居曰舍。从亼、屮、象屋也。口象築也。

亼部 (舊版)

を參照のこと。

を參照のこと。

説文解字
皆也。从从从。『虞書』曰、僉曰伯夷。
康煕字典
人部十一劃
《古文》𠑲
『廣韻』『集韻』『韻會』『正韻』𠀤千廉切、音籖。皆也、咸也。衆共言之也。『書・堯典』僉曰、於鯀哉。
『揚子・方言』自山而東、五國之郊曰僉。
連枷亦曰僉、打穀具也。
『總要』亼部僉从亼从吅會意。合集衆口、詢謀相从之義。
セン
みな。ともに。ことごとく。
解字(白川)
コンの會意。亼は令、の上部と同じく、神事に從ふものが用ゐる禮冠の形。㒭は二兄。兄は祝告の器を捧げて祈る人。二人相竝んで祈る。故に「みな」「ともに」の意となる。
一人祝禱して神意を待つを令といひ、その神託を命といひ、二人相祝禱するを僉といひ、二人舞踏して神意を樂しませることを巽、選といふ。
解字(藤堂)
金文は、垂れた飾りを纏めたさま。篆文は(集める)と(二口)と从(二人)の會意、複數の人やものを寄せ集めることを示す。
解字(漢字多功能字庫)
金文、篆文はと二人が口を上に向けて開く形(二兄の形)に從ふ。一人が呼び大勢が應ずる、あるいは大勢がともに應ずるの意であらう。本義は大勢がともに話すこと、後に皆の意を派生する。
金文は春秋戰國の劍器に見え、用ゐて鐱(後の劍字)となす。
古書では派生義に用ゐる。

説文解字
思也。从
𠎚 籒文侖。
康煕字典
人部六劃
『廣韻』力迍切『集韻』盧昆切、𠀤音論。敘也、亼𠕁而卷之侖如也。
昆侖山、與崑崙同。見『漢志』。又『山海經』有侖者之山。
神名。『山海經』槐江之山、槐鬼離侖居之。《註》離侖、神名。
凡物之圓渾者曰昆崙、圓而未剖散者曰渾淪。
本作侖。
簡体字
リン。ロン。
ついでる
解字(白川)
木簡などの編冊をまるく卷いた形を象る。相次第して一連を成し、纏まるものをいふ。
説文解字にいふ「思ふ」といふ訓義の用例はない。論には「思ふ」といふ訓があるが、侖をその義に用ゐることはない。
解字(藤堂)
(合はせる)と(文字を書いた短冊)の會意。記録を書いた短冊を合はせてきちんと揃へること。倫(きちんとした人間關係)、論(きちんと揃つた言葉)、輪(幅の揃つた車輪)などに音符として含まれる。
解字(漢字多功能字庫)
字の構形に二つの解釋がある。一つに、𠓛(三合)とに從ふといふ。卷冊を集め整理するの意と解く。もう一つに、(倒口)と冊に從ふといふ。亼は下に向いて開いた口、冊は竹簡を繩索で編んだもの、兩者を合はせてひとまとまりの條理が整然とした説話や思想の意であらう。論の初文と見るべし。
古文字の形を見ると、𠓛(三合)に從ふものも亼(倒口)に從ふものもある。しかし器の銘文に侖を用ゐて論となすものがあるので、後説に相當の支持がある。
更に重要なことは、いづれの解釋を採用するにせよ、侖字には條理が整然としてゐるといふ基本的な意を持つことである。言をつければ論(語の條ありて紊れざるもの)となり、人をつければ倫(人事の條理あるもの)となり、木をつければ棆(木の理に順ひ無疵なるもの)となり、水をつければ淪(水の紋を成して理あるもの)となり、手をつければ掄(擇ぶことの條を貫き序あるもの)となり、車をつければ輪(車の輻ありて紋に理の見えるもの; 補註: 車輪に輻があり、車輪の跡に揃つた模樣ができるの意か。輻のない車輪を輇といふ。)となる。

を參照のこと。

説文解字
市居曰舍。从、象屋也。象築也。
康煕字典
舌部二劃
『廣韻』始夜切『集韻』『韻會』『正韻』式夜切、𠀤音赦。『說文』市居曰舍。『釋名』舍、於中舍息也。『禮・曲禮』將適舍、求毋固。《註》謂行而就人館。《疏》適、猶往也。舍、主人家也。『周禮・天官・宮正』以時此宮中之官府、次舍之衆寡。《註》次謂吏直宿、若今部署諸廬者。舍、其所居寺。『前漢・高祖紀』高祖適從旁舍來。又『王莽傳』里區謁舍。《註》不宿客之舍爲里區、宿客者曰謁舍。
息也。『詩・小雅』爾之安行、亦不遑舍。《箋》女可安行乎、則何不暇舍息乎。『前漢・高祖紀』遂西入咸陽、欲止宮休舍。《註》師古曰、舍、息也、於殿中休息也。
日行有次舍。『淮南子・天文訓』日入於虞淵之汜、曙於蒙谷之浦。行九州七舍。『郭璞・遊仙詩』迴日向三舍。《註》二十八宿、一宿爲一舍。
師行一宿爲舍。『增韻』又三十五里爲一舍。『左傳・僖二十三年』晉楚治兵、遇於中原、其辟君三舍。《註》一舍三十里。
『釋典』一俱廬舍。《註》四里爲一俱廬舍。一里三百六十步、一俱廬舍計一千四百四十步。
止也。『禮・月令』仲春之月、是月也、耕者少舍。《註》舍、猶止也。『管子・四稱篇』良臣不使、讒賊是舍。《註》舍、止也、謂止讒賊於其旁、與之近也。
廢也、罷也。『易・乾卦』見龍在田、時舍也。『左傳・昭五年』舍中軍、𤰞公室也。《註》罷中軍。
厝也。『戰國策』王不如舍需於側、以稽二人者之所爲。《註》舍、猶厝也。
施也。『左傳・宣十二年』老有加惠、旅有施舍。又『昭十三年』施舍不倦。《註》施舍、猶言布恩德。
官名。『周禮・天官・掌舍』掌王之會同之舍。又『地官』舍人。《註》舍、猶宮也。主平宮中用穀者也。師古曰、舍人、親近左右之通稱、後遂爲私屬官號。
處也。『詩・鄭風』彼其之子、舍命不渝。《箋》舍、猶處也。『釋文』舍、音赭。王云、受也。又除也。『詩・小雅』舍彼有罪。《傳》舍、除也。
釋也。『詩・小雅』不失其馳、舍矢如破。又『大雅』舍矢旣均。《箋》舍之言釋也。
中也。『禮・射義』射之爲言者、繹也、或曰舍也。《疏》舍、中也。
舍匿。『前漢・淮南王傳』舍匿者、論皆有法。《註》謂容止藏隱也。
通。『前漢・朱博傳』姦以事君、常𠛬不舍。
『集韻』『韻會』『正韻』𠀤始野切、音捨。止息也、廢也、置也。『論語』不舍晝夜。『書・湯誓』舍我穡事、而割正夏。『釋文』舍、音捨、廢也。『左傳・昭四年』使杜洩舍路。《註》舍、置也。『釋文』舍、音捨。
『五音集韻』悉姐切、音寫。『揚子・方言』發挩舍車。
『集韻』始隻切『正韻』施隻切。𠀤與釋同。『周禮・春官・大胥』春入學、舍采合舞。《註》舍卽釋也。采讀爲菜。始入學、必釋菜、禮先師也。『釋文』舍音釋。『管子・五輔篇』是故上必寬裕、而有解舍。《註》解、放也。舍、免也。『釋文』舍、同釋。
『韻補』叶舂遇切、音戍。『屈原・離騷』余固知謇謇之爲患兮、忍而不能舍也。指九天以爲正兮、夫惟靈修之故也。
叶始賀切。『白居易・效淵明體詩』所以隂雨中、經旬不出舍。始悟獨住人、心安時亦過。
すてる。おく。やどる。やど。いへ。
解字(白川)
會意字。上部は把手のある掘鑿刀。これで木や土を除くことを余といふ。口は祝詞を收める器。この器を長い針で突き通すことによつて、その祝禱の機能を失はせることをいふ。故に「すてる」が字の原義、捨の初文。それより、ことを中止し、留め滯る意となる。宿舍の意は後起の義。
解字(藤堂)
の會意、余は亦た音符。口は、ある場所。余の原字は、土を伸ばすスコップのさま。舍は、手足を伸ばす場所、即ち休み所や宿舍のこと。
解字(漢字多功能字庫)
金文はの會意、余は亦た聲符。金文の從ふ余は聲を表すだけでなく、また簡易な房屋を象る。は屋根と梁で、は柱。(補註: 亼と屮で余の形となる) 口は分化の符號であるほか、房屋の土台を象つてゐるとみることもできる。本義は房舍。舍字は余字に口を加へて分化したものとみる説がある。
金文ではの通假字となし、給予、賜予を表す。派生して施發、發布を表す。また余の通假字となし、一人稱代名詞とする。また人名に用ゐる。また娛の通假字とする。
戰國竹簡では人名に用ゐる。
當用漢字・常用漢字
《漢字表字體》舎

補遺

説文解字
康煕字典
竹部六劃
《古文》畣
『廣韻』都合切『集韻』『韻會』『正韻』得合切、𠀤音溚。『篇海』竹䇱也。又當也、報也、合也。『禮・儒行』上答之、不敢以疑。上不答、不敢以諂。《註》答之、謂應用其言也。
『前漢・貨殖傳』答布、皮革千石。《註》答布、麤厚之布也。答者、厚重之貌。
水名。『水經注』婁𣵠之山、波水出于其隂、謂之百答水。
答祿、複姓。明答祿奕權、官翰林典籍、預修洪武『正韻』。
『爾雅・釋言』答、然也。
『廣韻』亦作
康煕字典・畣
田部六劃
『集韻』答、古作畣。註詳竹部六畫。
タフ
こたへる。むくいる。あたる。
解字(白川)
聲符は。合、畣が答の初文であつた。文獻になほその字を用ゐる例がある。合は祝禱、盟誓の器に蓋する形で、神明に答揚する意であり、古く荅、答の聲があつたものと思はれる。
解字(藤堂)
會意。竹とで、竹の器にぴたりと蓋を被せること。身と蓋とが合ふことから應答の意となつた。
解字(漢字多功能字庫)
簡帛文獻中では常に字を借用する。