説文解字私註 屮部

屮 艸木初生也。象丨出形、有枝莖也。古文或以爲艸字。讀若徹。凡屮之屬皆从屮。尹彤說。
難也。象艸木之初生。屯然而難。从屮貫一。一、地也。尾曲。『易』曰:“屯、剛柔始交而難生。”
每 艸盛上出也。从屮母聲。
厚也。害人之艸、往往而生。从屮从毒。
艸初生、其香分布。从屮从分、分亦聲。
𡴆
𡴆 菌𡴆、地蕈。叢生田中。从屮六聲。
𡴫 籒文𡴆从三𡴆。
火煙上出也。从屮从黑。屮黑、熏黑也。

屮部 舊版

説文解字
難也。象艸木之初生。屯然而難。从貫一。一、地也。尾曲。『易』曰、屯、剛柔始交而難生。
康煕字典
屮部(一劃)
『集韻』『韻會』𠀤株倫切、音肫。『說文』難也。象艸木之初生、屯然而難。从屮貫一。一、地也、尾曲。『玉篇』萬物始生也。
『廣韻』厚也。『易・屯卦』屯、剛柔始交而難生。
屯邅、難行不進貌。『易・屯卦』屯如邅如。別作迍。
『增韻』吝也。『易・屯卦』屯其膏。
『廣韻』『集韻』徒渾切『正韻』徒孫切、𠀤音豚。聚也、勒兵而守曰屯。『前漢・趙充國傳』分屯要害。
兵耕曰屯田。『周禮・冬官』有屯部、今曰屯田司。
姓、三國蜀漢法部尚書屯度。
屯留、縣名、在上黨。
『集韻』徒困切、音頓。亦姓。『風俗通』混屯、太昊之良佐、子孫因以爲氏。
叶徒沿切、音田。『馬融・廣成頌』校隊案部、爲前後屯。甲乙相伍、戊己爲堅。
(1) チュン
(2) トン
(1) なやむ
(2) たむろする
解字(白川)
織物の縁飾りの象。純の初文。
解字(藤堂)
の會意、あるいは點印と屮の會意。一は字面を、點は籠もる意を示し、屯は、芽が生氣を籠めて地上に出ようとして出惱むさま。
解字(落合)
木の芽の象。
解字(漢字多功能字庫)
甲骨文や金文の構形は不明。一説に、植物の種子の萌芽の形。或は開くのを待つ花苞や葉の形。
甲骨文は讀んで春となす。また、一對を表す。また、滿つるの意を表し、屯日は、整日(=一日中、丸一日)や、甲骨文の「湄日」と同義。また、人名、地名、方國名に用ゐる。
金文は、厚、大の意を表し、典籍では純につくる。また、衣の緣を表し、典籍では純につくる。また、人名、地名に用ゐる。
常用漢字

説文解字
毒𡴛厚也。害人之艸、往往而生。从从毐。 テキストによつては从毒とあるが、恐らく誤り。段注は毐聲。とする。
𦸕 古文毒从刀、葍。
康煕字典
毋部四劃
《古文》𦸕𧉉
『唐韻』『廣韻』『集韻』『類篇』『韻會』𠀤徒沃切、音碡。『博雅』惡也。一曰害也。『書・盤庚』惟汝自生毒。『禮・緇衣』惟君子能好其正、小人毒其正。
深害曰漸毒。『莊子・胠篋篇』漸毒頡滑。
痛也、苦也。『詩・大雅』民之貪亂、寧爲荼毒。『後漢・蘇章傳』分骸斷首、以毒生者。《註》毒、苦也。
恨也。『馮衍・顯志賦』惡叢巧之亂世兮、毒縱橫之敗俗。《註》毒、恨也。『後漢・袁紹傳』令人憤毒。
藥名。『周禮・天官・醫師』掌醫之政令、聚毒藥以供醫事。『鄭註』毒藥、藥之辛苦者。藥之物恆多毒。又『瘍醫』凡療瘍、以五毒攻之。《註》今醫方有五毒之藥、作之合黃堥、置石膽、丹砂、雄黃、礜石、慈石其中、燒之三日三夜、取以注創、惡肉破骨則盡出。
魚毒、木名。見『爾雅・釋木』。『急就篇』註云、芫華、一名魚毒。漁者投之水中、魚卽死而浮出、故以爲名。芫、或作杬。
雞毒、烏頭別名。『淮南子・主術訓』天下之物、莫凶於雞毒、然良醫索而藏之、有所用也。
狗毒、繩毒、俱草名、見『爾雅・釋草』疏。
置毒於物曰毒。『左傳・襄十四年』秦人毒涇上流。
治也。『易・師卦』以此毒天下、而民從之。《註》王云、毒、役也。馬云、治也。『莊子・人閒世』無門無毒。《註》毒、亦訓治。
、亭育化育之意。『老子・道德經』亭之毒之。《註》亭以品其形、毒以成其質。毒、徒篤反。今作育。『唐代宗詔書』中孚及物、亭育爲心。『張說・撰姚崇𥓓』亭育之功成。皆以亭毒爲亭育。古毒育者義通。
『韻會』『正韻』𠀤都毒切、音篤。身毒、西域國名。在大夏東南。一名捐毒、又名天篤。師古曰、今之天竺。蓋身毒聲轉爲天篤、篤省文作竺、又轉爲竺音。『山海經』東海之內。北海之隅、有國名天毒、其人水居。『郭璞註』天毒、卽天竺國。
『集韻』待戴切『正韻』度耐切、𠀤音代。同。瑇瑁也。亦作毒冒。『前漢・地理志』多犀象毒冒。《註》師古曰、毒、音代。冒、莫內反。通作玳瑇。
叶昌石切、音尺。『曹植・思歸賦』何曾雲之沈結兮、悼太陽之潛匿。雨淋涔而絫注兮、心憤悁以悽毒。
『說文』𡴛、厚也。害人之草、往往而生。从屮从毐。『廣韻』本作𡴛。今經史𠀤省屮、从龶作毒。
解字(白川)
婦人が祭事に奉仕するとき、盛裝した姿。結髮して威儀を整へた婦人の姿は妻。髮に飾りを附ける。その側身形は、その髮に手を添へた形は敏。敏捷は婦人が祭事にいそしむ形。その髮飾りが特に繁多であることを毒といふ。厚化粧し、盛裝した姿は、簡素に反するので、毒といふ。毒厚が字の初義。
毒草の毒は恐らく𦸕、毒字をその義に用ゐるのは假借義であらう。
解字(藤堂)
と母の會意。藥草のエキスを取つて、生殖強壯劑に用ゐたもの。刺戟が強く、常用すると酷い害を及ぼす。
解字(漢字多功能字庫)
と毐に從ひ、本義は毒物。
當用漢字・常用漢字

説文解字本文
艸初生、其香分布。从、分亦聲。
芬或从艸。
康煕字典
艸部四劃
『唐韻』撫文切『集韻』『韻會』『正韻』敷文切、𠀤音紛。草初生、香分布也。
『博雅』芬芬、香也。『詩・小雅』苾芬孝祀。『大雅』燔炙芬芬。
『揚子・方言』和也。
『汲冢周書』汝無泯泯芬芬、厚顏忍醜。《註》泯芬、亂也。
『管子・地員篇』芬然若灰。《註》芬然、壤起貌。
『前漢・禮樂志』芬哉茫茫。『師古註』芬謂衆多。
『博雅』毛草也。
姓。『戰國策』晉有大夫芬質。
『韻補』孚焉切。『楊芳・合歡詩』爰有承露枝、紫榮合素芬。扶疎垂淸藻、布翹芳且鮮。
『說文』本作㞣。或从艸。『六書略』又作𡸐
フン
かをる。かうばしい。かをり。

説文解字
熏𡼡火煙上出也。从从黑。屮黑、熏黑也。
康煕字典
火部十劃
『唐韻』『集韻』『韻會』『正韻』𠀤許云切、音薰。『說文』本作𡼡。『玉篇』本作𡼡。『類篇』隷作熏。『說文』火煙上出也。从屮从黑、屮黑熏象也。『玉篇』熱也。『廣韻』火氣盛貌。同。『詩・豳風』穹窒熏䑕。又『大雅』憂心如熏。《傳》熏、灼也。『釋文』熏、本又作燻。『周禮・秋官・翦氏』以莽草熏之。
『詩・大雅』公尸來止熏熏。《傳》熏熏、和悅也。《箋》熏熏、坐不安之貌。『釋文』熏、說文作。醉也。
『蔡邕・釋誨』下獲熏胥之辜。《註》謂相熏烝得罪也。
『呂氏春秋』東南曰熏風。
『後漢・趙壹傳』陟遂與言談、至熏夕、極歡而去。
通作。『易・艮卦』厲薰心。『後漢・馬廖傳』聲薰天地。
『集韻』吁運切、音訓。灼也。
通。『齊語』三釁三沐之。《註》釁或爲熏。
叶須緣切、音宣。『黃庭經』沐浴盛潔棄肥熏、入室東向誦玉篇。
『正譌』中从𡆧。與囱同。俗从田、誤。
解字(白川)
柬と火の會意。柬は東(ふくろ)の中に物のある形。火で燻らせて燻蒸し、煤などの溜まる形。燻は熏の繁文。
解字(藤堂)
と𡆧と炎の會意。屮は芽の出るやうに少し出るの意。𡆧は煤の溜まつた窗。火を燃やして煙を燻べ、窗の中に籠もらせることを示す。
解字(漢字多功能字庫)
金文は、東と、幾つかの點に從ひ、或は下に火を加へる。東は袋の形。點は香草の象か。熏は香草を袋に包む形で、薰の初文。或は火を加へ、香草を熏べる形に象り、本義は火煙を用ゐて熏べ炙ること。東に從はず束に從ふ字もあるが、意は同じ。(補註: 束と點で柬となる。)
金文は纁の初文で、淺絳色(淺紅色)を表す。
クン
ふすべる。やく。