屮︀ - 漢字私註

説文解字

屮
艸木初生也。象出形、有枝莖也。古文或以爲字。讀若徹。凡屮之屬皆从屮。尹彤說。
註に臣鉉等曰、丨、上下通也、象艸木萌芽、通徹地上也。といふ。
屮部

説文解字注

屮
艸木初生也。象丨出形有枝莖也。丨讀若𦥓。引而上行也。枝謂兩旁莖枝。柱謂丨也。過乎屮則爲𡳿。下垂根則爲木古文或㠯爲艸字。漢人所用尙爾。或之言有也。不盡爾也。凡云古文以爲某字者、此明六書之叚借。以、用也。本非某字。古文用之爲某字也。如古文以洒爲灑埽字。以疋爲『詩・大雅』字。以丂爲巧字。以臤爲賢字。以𣥐爲魯衞之魯。以哥爲歌字。以詖爲頗字。以𥆞爲靦字。籒文以爰爲車𫏺字。皆因古時字少。依聲託事。至於古文以屮爲艸字。以疋爲足字。以丂爲亐字。以𠈪爲訓字。以㚖爲澤字。此則非屬依聲。或因形近相借。無容後人效尤者也。讀若徹。上言以爲、且言或。則本非艸字。當何讀也。讀若徹。徹、通也。義存乎音。此尹彤說。尹彤見漢人艸木字多用此。俗誤謂此卽艸字。故正之。言叚借必依聲託事。屮艸音類遠隔。古文叚借尙屬偶爾。今則更不當爾也。丑列切。十五部。凡屮之屬皆从屮。尹彤說。三字當在凡屮上。轉寫者倒之。凡言某說者、所謂博采通人也。有說其義者。有說其形者。有說其音者。

康煕字典

部・劃數
部首

『廣韻』丑列切『集韻』敕列切、𠀤音徹。『說文』艸木初生也。象丨出形、有枝莖也。《徐鉉曰》屮、上下通也。象艸木萌芽、通徹地上也。

又『集韻』采早切、音艸。尹彤曰、古文或以爲字。『前漢・鼂錯傳』屮茅臣無識知。

音訓・用義

(1) テツ(漢) 〈『廣韻・入聲・薛・屮』丑列切〉[chè]{cit3}
(2) サウ 〈『集韻』采早切、音艸、上聲〉[cǎo]
(1) めばえ
(2) くさ

解字

白川

象形。若芽が僅かに現れる形に象る。このままでの字に用ゐることがある。

藤堂

象形。草の芽が地面を突き破つて出たさまを描いたもの。はこれを二つ竝べた形。

落合

象形。草を象る。上部が草の葉を表す。

甲骨文では草や農耕に關する字の要素となる。また、髮の毛の表現などに同じ形が使はれることもある。

甲骨文では祭祀名に用ゐる。(《合集》27218、下揭)

漢字多功能字庫

の象形初文の下半を省いた形で、艸の異體。艸は草木のの本字。『荀子・富國』刺屮殖穀、多糞肥田、是農夫眾庶之事也。楊倞注屮、古草字。『楚辭・九歎・遠逝』屮木搖落、時槁悴兮。洪興祖補注屮與草同。

後の用法に據るなら、屮は草類に用ゐられるが、木類には用ゐられない。しかし、甲骨文では屮、艸、の三種をあまり區別せず、三者を交替して使ふ狀況がよく現はれる。例へば、囿には屮に從ふ形があり、また木に從ふ形もある。

甲骨文では祭名に用ゐられてゐると疑はれる。 《合集》27218新鬯屮且乙。劉興隆は大意を、新たに釀造した香酒を用ゐ、祖乙に對して行ふ草祭、といふ。また《合集》19811正巫屮至𤉲(燎)隹にも屮が見えるが、その意は不詳。

金文では人名に用ゐる。屮乍從彝盉屮乍(作)從彝。

屬性

U+5C6E〔註1〕
U+FA3C (CJK互換漢字)
JIS: 1-47-66
屮︀
U+5C6E U+FE00
CJK COMPATIBILITY IDEOGRAPH-FA3C
屮󠄀
U+5C6E U+E0100
CID+16837
屮󠄃
U+5C6E U+E0103
Hanyo-Denshi JC4766
MJ030256

関聯字

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