屈 - 漢字私註

説文解字

あるいは𡲬に作る。
無尾也。从出聲。
尾部

康煕字典

部・劃數
尸部五劃
古文
𡕜
𡲶

『廣韻』區勿切『集韻』『韻會』『正韻』曲勿切、𠀤音詘。『說文』無㞑也。从㞑出聲。又曲也、請也。又『增韻』鬱也、軋也。『正字通』凡曲而不伸者、皆曰屈。『易・繫辭』尺蠖之屈、以求信也。『孟子』威武不能屈。

又作絀。『荀子・非相篇』緩急羸絀。《註》猶屈伸也。

又通作詘。『史記・晏嬰傳』詘於不知已、而信於知己。

又『集韻』『韻會』『正韻』𠀤渠勿切、音掘。竭也、盡也。『前漢・食貨志』賈誼曰、用之無度、則物力必屈。與詘絀𠀤通。

又與倔通。倔彊、梗戾貌。『史記・陸賈傳』乃欲以新造未集之越、屈彊於此。《師古曰》不柔服也。

又『集韻』『韻會』『正韻』𠀤九勿切、音𠜾。地名。晉公子夷吾所居、出良馬。在今河東縣。『左傳・僖二年』屈產之乗。

又姓。楚公族屈原、楚大夫屈宜申。又屈侯、複姓。

又大屈、弓名。『左傳・昭七年』楚靈王享公於新臺、好以大屈、旣而悔、公反之。

又『廣韻』九月切『集韻』『類篇』丘月切、𠀤音闕。『歐陽修・程文𥳑墓銘』不學而剛、有摧必折。毅毅程公、其剛不屈。

又與絀通。『禮・玉藻』君命屈狄。《註》狄、翟也。后夫人之服、刻雉爲五采、子男之妻、受王后之命者、刻繒不畫、故曰屈狄。『周禮』作闕翟。

又叶居詣切、音計。『曹植・王陵贊』從漢有功、少文任氣。高后封呂、直而不屈。

部・劃數
夂部八劃

『集韻』古作𡕜。註詳尸部五畫。

部・劃數
尸部十劃

『集韻』古作𡲶。註詳五畫。

部・劃數
尸部十劃

『廣韻』衢物切、音掘。短尾鳥也。『正字通』同𡲶、省。『說文』、本作𡲬。从㞑出聲。凡物之短尾者、皆可曰𡲬。必分訓𡲬爲短尾鳥、𡲗爲短尾犬、亦泥。

部・劃數
尸部九劃

『廣韻』『集韻』𠀤渠勿切、音倔。『埤蒼』短尾犬也。

『正字通』俗字。

音訓

(1) クツ(漢) 〈『廣韻・入聲・物・屈』區勿切〉
(2) クツ(漢) 〈『集韻』渠勿切、音掘〉
(1) かがむ。まがる。
(2) つよい(屈強)。つきる。

解字

白川

象形。は獸の上體の形。出の部分は、尾毛を屈してゐる形。金文及び篆文の形は、共にの形に從ふ。

『説文解字』に尾無きなり。尾に從ひ、出聲。とするが、聲も合はず、出は屈尾の形。

尾を屈することは屈服の意思表示であるので、屈服、屈從の意となる。

藤堂

(尻)と出の會意。からだを曲げて尻を後ろに突き出すことを示す。尻を出せばからだ全體は凹んで曲がることから、屈んで小さくなる、の意となる。

出を音符と考へる説もあるが、從ひがたい。

漢字多功能字庫

金文、小篆はに從ひ出聲。屈の本義は無尾あるいは短尾。音は掘。この古義は、北京で話される官話(普通話)では既に求め難いが、粵語では依然として生き生きと保留されてゐる。鉛筆を調べて鈍くなつたのを、粵人は「屈」と稱する。

「屈擂槌」は物ををすり潰すための鋭利でない槌(槌あるいは擂粉木、杵、ばちの類)のことで、言葉が粗野で向かう見ずであるの比喩。粵語の「屈尾貓」あるいは「屈尾狗」は、尻尾がないか切り落とされた貓や狗を指す。廣東順德地方には更に「屈尾龍拜山」の傳説がある。『抱朴子・仙藥』又千歲燕、其窠戶北向、其色多白而尾掘。

轉じて首尾不全をまた「屈」と稱し、粵語「屈頭巷」は、袋小路、行き止まりを指す。字はと屈に從ひ、通り拔けて對面に行けない洞穴を表し、屈は音も義も標す。「屈頭掃把」の「屈頭」は箒の穗が長きの使用で脱落することを表し、箒の頭のないことに似てをり、一説に屈を通じて𩑡となし、禿、無髮を表し、禿頭の箒の意。

屈にまた曲がるの義がある。『玉篇・出部』屈、曲也。事實が捻ぢ曲がり冤屈(不當な扱ひ)のあること、ゆゑに委屈(不當なことに遭つて辛いこと、辛い思ひをさせること)の意を派生する。粵語「屈尾十」は、すぐに考へを變へることを表す。屈はここでも曲がるの意、動物がくるりと廻れば尻尾は曲がり、くるりと廻ることは考へを變へることを表す。時間の短いことを強調する。

秦簡文字は尾に從ひ、あるいは省いてに從ひ、小篆の元となる。金文では姓に用ゐる。楚屈子赤角簠蓋楚屈子赤角朕(媵)仲嬭璜飤𠤳(簠)。『廣韻・物韻』屈、姓、楚有屈平。『通志・氏族略三』屈氏、羋姓、楚之公族也。莫敖屈瑕食邑於屈、因以為氏。三閭大夫屈平、字原、其後也。また楚國の月名に用ゐる。

屬性

U+5C48
JIS: 1-24-94
當用漢字・常用漢字
𡕜
U+2155C
𡲶
U+21CB6
𡲬
U+21CAC
𡲗
U+21C97

關聯字

屈聲の字