堀 - 漢字私註

説文解字

土部堀字條

突也。『詩』曰、蜉蝣堀閱。从省聲。苦骨切。

十三土部

説文解字注

𡒈

突也。突爲犬從穴中暫出。因謂穴中可居曰突、亦曰堀。俗字作。古書中堀字多譌掘。如『秦國策』窮巷堀門、『齊策』註1「堀穴窮巷」、今皆譌爲掘。『鄒陽書』伏死堀穴。尙不誤也。『曹風』蜉蝣堀穴。此葢自來古本如是。毛云、堀閱、容閱也。《箋》云、堀地解閱。謂其始生時也。唐以後本盡改爲掘字。遂謂許所據爲異本矣。陸機云、蜉蝣陰雨時、從地中出。郭樸云、生糞土中、然則未嘗掘地也。堀閱、容閱皆聯緜字也。《箋》則云、堀於地中解閱而出矣。『〔宋玉〕風賦』堀堁揚塵。謂突起之堁。

从土𡲬聲。各本篆作堀、解作𡲬省聲。而別有𡒈篆綴於部末、解云、兔𡒈也、从土𡲬聲。此化一字爲二字。兔堀非有異義也。篆从𡲬、隷省作屈。此其常也。豈有篆文一省一不省分別其義者。今正此篆之形。而刪彼篆。

『詩』曰、蜉蝣堀閱。曹風・蜉蝣』文。堀閱、容閱也。容閱如『孟子〔盡心上〕』之容悅。

註1
『齊策』に堀穴窮巷の句は見えず、『楚策』に見える。

土部𡒈字條

𡒈

兔堀也。从土屈聲。苦骨切。

十三土部

説文解字注

刪去。上記《段注》參照のこと。

康煕字典

部・劃數
土部・八劃

『廣韻』『集韻』『正韻』𠀤苦骨切。同。孔穴也。『左傳・昭二十七年』吳公子光伏甲于堀室而享王。『前漢・鄒陽傳』伏死堀穴巖藪之中。

又『廣韻』具物切『集韻』『韻會』『正韻』渠勿切、𠀤音倔。突也。『宋玉・風賦』堀堁揚塵。○按堀對揚言、堁對塵言。諸家訓堀堁爲塵塺、誤。

異體字

或體。『康煕字典』は見出しに採らざるも、𡑣字條に見える。

音訓

(1) コツ(漢) 〈『廣韻・入聲・没・窟』苦骨切〉[kū]{fat1/gwat6}
(2) クツ(漢) 〈『廣韻・入聲・物・倔』衢物切〉[jué]{gwat6}
(1) あな
(2) ほる
(國訓) ほり

解字

白川

形聲。聲符は。屈は獸尾を屈する形。獸穴を掘り、尾を屈して穴に匿󠄀れる意。

『説文解字』に突なりとあり、《段注》に穴中より犬の突出する意とする。突の初義は恐らく竈突、地を掘り込んで竈としたものであらう。

『説文解字』はまた『詩・曹風・蜉蝣蜉蝣堀閱の句を引く。いま掘閱に作る。地中から脱皮して現れるをいふ。

藤堂

と音符の會意兼形聲。屈は、(尻)と出の會意で、尻の方へ進む、後退することを表し、凹む意を示す。堀は、土を掘つて作つた、凹んだ穴。

屬性

U+5800
JIS: 1-43-57
常用漢字
𡒈
U+21488