夗 - 漢字私註

説文解字

夗
あるいはに作る。
轉臥也。从。臥有卪也。
夕部

説文解字注

夗
轉臥也。謂轉身臥也。『詩』曰、展轉反側。凡夗聲、宛聲字皆取委曲意。从夕卪。會意。臥有卪也。釋从卪之意。卪古今字。於阮切。十四部。

康煕字典

部・劃數
夕部二劃

『廣韻』『集韻』𠀤於阮切、音苑。臥轉貌。

又『集韻』烏勉切、音宛。『揚子・方言』夗專、簙也。

『說文』作夗。从夕从卪、臥有卪也。

第三項「作夗」の夗字は、嚴密には㔾中に丶を入れる形。

部・劃數
夕部二劃

『正字通』同。【字彙】作古文外字、失考。

方言・第五

簙謂之蔽、或謂之箘、秦晉之間謂之簙、吳楚之間或謂之蔽、或謂之箭裏、或謂之簙毒、或謂之夗專、或謂之𠥙璇、或謂之棊。所以投簙謂之枰、或謂之廣平。所以行棊謂之局、或謂之曲道。

音訓・用義

(1) ヱン(漢) 〈『廣韻・上聲・阮・婉』於阮切〉[yuàn]
(2) ヱン(漢) 〈『集韻』烏勉切、音宛、上聲獮韻〉[wǎn]

夗專ヱンテンとは、雙六の賽のこと(『方言・第五』上揭)。音(2)に讀む。

解字

落合の示すの甲骨文の構成要素の形や、漢字多功能字庫の示す甲骨文の形は、に從ふやうに見える。漢字多功能字庫の示す金文の形は、人あるいはに從ふやうに見える。

白川

象形。人が坐して、その膝のふくよかな形に象る。

藤堂

會意。二人が身體をしなやかに曲げて、丸く屈んださま。の原字。

落合

甲骨文では單獨での使用例がない。と夗に從ひ、夗は人が頭を垂れる形。

漢字多功能字庫

構形初義不明。徐在國は甲骨文をに從ふが、意圖不明とする。季旭昇は肉に從ひ、動物がまさに死なんとして寢轉がり橫たはる形を象るとする。按ずるに甲骨文、金文とも動物の形に象らず、肉とに從つてゐるやうに見える。あるいはを增すが、無意義の羨符(羨は餘剩の意)。

【補註】漢字多功能字庫の擧げる夗の甲骨文のひとつは、漢字多功能字庫が眢とする甲骨文の旁にも見える。落合はその字を亡失字とし、夗に當たる旁をの變形とする。いづれを採るべきか判斷不能。

甲骨文では北方の風名に用ゐる(陳邦懷、劉釗)。金文では㘱盨に迺乍(作)余一人夗。と見えるが、釋義に定論がない。怨と讀み、怨恨を表す(徐在國)とも、故と讀み、災害を表す(馬承源)とも、咎と讀む(《殷周金文集成修訂增補本》)ともいふ。また人名に用ゐる。

小篆の字形は變形の結果、に從ふ。

屬性

U+5917
U+5918
JIS: 1-50-41

關聯字

夗に從ふ字を漢字私註部別一覽・夗部に蒐める。