肉 - 漢字私註

説文解字

肉

胾肉。象形。凡肉之屬皆从肉。如六切。

肉部

説文解字注

肉

胾肉。下文曰、胾、大臠也。謂鳥獸之肉。『說文』之例、先人後物。何以先言肉也、曰以爲部首。不得不首言之也。生民之初、食鳥獸之肉、故肉字冣古。而製人體之字。用肉爲偏旁。是亦假借也。人曰肌、鳥獸曰肉。此其分別也。引伸爲『爾雅〔釋器〕』肉好、『〔禮記〕樂記』廉肉字。

象形。如六切。三部。

凡肉之屬皆从肉。

康煕字典

部・劃數
部首
古文

『唐韻』如六切『集韻』『韻會』『正韻』而六切、𠀤音衄。『說文』胾肉、象形。本書作𠕎。『易・噬嗑』噬乾肉。『禮・孔子閒居』觴酒豆肉。『左傳・莊十年』肉食者鄙。『管子・水地篇』五藏已具、而後生肉。『又』心生肉。五肉已具、而後發爲九竅。

又『正字通』禽鳥謂之飛肉。『揚子・太玄經』明珠彈于飛肉、其得不復。

又肉𠛬。『史記・孝文帝紀』法有肉𠛬三。《註》黥劓二、左右趾合一、凡三。

又芝草名。『抱朴子・僊藥卷』五芝者、有石芝、有木芝、有草芝、有肉芝。

又視肉、獸名。見『山海經・郭璞註』視肉、形如牛肝、有兩目、食之無盡、尋復更生如故。又土肉、生海中。色黑、長五寸、大如小兒臂、有腹、無口耳、多足、可炙食。『本草』李時珍曰、此蟲魚之屬、與土精名封同類。『郭璞・江賦』土肉石華。

又『本草』人頂生瘡、五色、如櫻桃、破則自頂分裂、連皮剝脫至足、名曰肉人。夏子益奇疾方、常飮牛乳、卽消。

又『釋名』肉、柔也。

又『集韻』『韻會』『正韻』𠀤如又切、音輮。錢璧之體。『爾雅・釋器』肉倍好謂之璧。《註》肉、邊也。好、孔也。『釋文』肉、如字。又如授反。

又錘體爲肉。『前漢・律歷志』圜而環之、令之肉倍好者。《註》錘之形如環、體爲肉、孔爲好。

又肥滿也。『禮・樂記』使其曲直繁瘠、廉肉節奏、足以感動人之善心而已矣。《疏》肉謂肥滿。『又』寬裕肉好、順成和動之音作、而民慈愛。《註》肥也。『釋文』𠀤而救反。

又『史記・樂書』寬裕肉好。《註》肉好、言音之洪美。

又『集韻』儒遇切、音孺。肌肉也。

又『韻會』『正韻』𠀤而由切、音柔。邊也。

又『正字通』音腴。『周禮・地官・大司徒』其民豐肉而庳。劉昌宗讀。

部・劃數
肉部(零劃)

『正字通』肉字偏旁之文本作肉。石經改作月、中二畫連左右、與日月之月異。今俗作以別之。

部・劃數
宀部・四劃

『集韻』古作宍。『通雅』本作𡧢。『淮南子・原道訓』欲𡧢之心亡於中、則饑虎可㞑。《註》欲𡧢、自戀其軀也。𡧢、古肉字。○按太玄數五、五爲土、爲食、爲𡧢。『吳越春秋』載『古孝子・彈歌』𢇍竹、續竹、飛土、逐宍。从宀从六。

異體字

或體。

或體。

音訓義

ニク(呉) ジク(漢)⦅一⦆
ジウ⦅二⦆
ジュ(推)⦅三⦆
しし⦅一⦆
官話
ròu⦅一⦆
粤語
juk6⦅一⦆
jau6⦅二⦆

⦅一⦆

反切
廣韻・入聲』如六切
集韻・入聲上屋第一』而六切
『五音集韻・入聲卷第十三・屋第一・日切三肉』如六切
聲母
日(半齒音・次濁)
等呼
官話
ròu
粤語
juk
日本語音
ニク(呉)
ジク(漢)
しし
動物の肉。
身體。生身。
果物の皮や種を除いた部分。果肉。

⦅二⦆

反切
集韻・去聲下・宥第四十九・輮』如又切
『五音集韻・去聲卷第十二・宥第八・日三輮』人又切
聲母
日(半齒音・次濁)
等呼
粤語
jau6
日本語音
ジウ: KO字源に據る。
穴の開いた輪つかの身の部分。『集韻』錢璧之體。
肥える。

⦅三⦆

反切
集韻・去聲上・遇第十・孺』儒遇切
『五音集韻・去聲卷第十・遇第八・日三孺』而遇切
聲母
日(半齒音・次濁)
等呼
日本語音
ジュ(推)
『集韻』肌肉也。

解字

白川

象形。切り取つた肉塊の形に象る。

『説文解字』に胾肉なりとあり、大きな一レンの肉をいふ。

釋名・釋形體』に肉、柔也。(肉は柔なり)とあり、その古音は相近い聲であつた。

藤堂

象形。筋肉の線が見える、動物の肉の一切れを描いたもの。

と音符の形聲。六と肉の音は、江南方言で混同する。

落合

切つた肉の象形。

甲骨文での用義は次のとほり。

  1. にく。しし。《花東》113丙、入肉。
  2. 祭祀名。肉を捧げる儀禮であらう。《花東》446…叀肉、夕吉。
  3. 多の略體。

甲骨文の要素としては、主に祭祀で捧げる肉の意味で使はれてゐる。

當初の字形はに近く、西周代にはに近い形になつたため、會意字などに若干の混同が見られる。隸書以降も偏が⺼の形になつてゐる。

宍は隸書で内部の表現方法を變へたものが更に變形したもの。

漢字多功能字庫

甲骨文は獸肉の形に象り、甲骨文から小篆に至るまでの變化で、肉の中に一筆を加へ、字形は段々との形と混ざつた。本義は鳥獸の肉。

戰國文字の肉は月の字形と相近く、肉に從ふ字が少なからず月に從ふ字と混じつた。隷書、楷書では、肉を月と混同しないために、複雜な肉の形にした。このほか、肉を俗體の宍と書く方法がある。肉との古音は相近く、それで肉の俗體は六を聲符とする。

甲骨文での用義は次のとほり。

戰國竹簡でも本義に用ゐて獸肉を指す。《上博竹書二・魯邦大旱》簡6公剴(豈)不飽杒(粱)飤(食)肉才(哉)。

屬性

U+8089
JIS: 1-38-89
當用漢字・常用漢字
U+5B8D
JIS: 1-28-21
𠕎
U+2054E
𡧢
U+219E2

関聯字

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