乳 - 漢字私註

説文解字

乳
人及鳥生子曰乳、獸曰產。从孚从𠃉。𠃉者、玄鳥也。『明堂月令』玄鳥至之日、祠于高禖、以請子。故乳从𠃉。請子必以𠃉至之日者、𠃉、春分來、秋分去、開生之候鳥、帝少昊司分之官也。
十二𠃉部

康煕字典

部・劃數
乙部七劃

『唐韻』而主切『集韻』『韻會』蘂主切、𠀤音擩。『廣韻』柔也。

又湩也。『白虎通』文王四乳、是謂至仁。又『禮・月令・註』燕以施生時來巢人堂宇孚乳。

又天乳、星名。在氐宿北。『列星圖』天乳明、則甘露降。

又馬乳、蒲萄子別名。『本草圖經』子似馬乳。

又石鐘乳。『桂海虞衡志』桂林宜融山洞穴中、凡石脈涌處爲乳牀、融結下垂、其端輕薄中空、水乳且滴且凝、紋如蟬翼者勝。

又竹乳。『開寶本草』竹乳者、其山洞徧生小竹、以竹津相滋、乳如竹狀、其性平。

又鐘四帶有乳。『周禮・冬官考工記註』篆閒之枚也。聲之震動在此、以其乳可數、故曰枚。

又『溪蠻叢笑』麻陽有銅鼓、江水中掘得、如大鐘、長筩三十六、乳重百餘觔。

又『韻補』叶如又切、柔去聲。『易林』胎卵胞乳、長大成就、君子萬年、動有福佑。

『說文』从孚从乙。乙者玄鳥。人及鳥生子曰乳、獸曰產。○按『荀子・榮辱篇』乳彘觸虎、乳狗不遠遊、則獸亦稱乳矣。

音訓

ニウ(呉) ジュ(漢) 〈『廣韻・上聲・麌・乳』而主切〉
ちち

解字

白川

(手指)と孔の會意。孔は乳子の象。それに手を加へて愛撫してゐる形。卜文の字形は女子が授乳してゐることを示す象形字で、爪の部分は恐らくもとその毛髮の形であらう。

説文解字に人及び鳥の子を生むを乳と曰ひ、獸には產と曰ふ。とし、字形について孚に從ひ、𠃉に從ふ。𠃉なる者は玄鳥(燕)なり。『明堂月令』に玄鳥至るの日、高禖に祠りて以て子を請く。故に乳は𠃉に從ふ。〜𠃉は春分に來り、秋分に去る。生を開くの候鳥なり。とあり、その俗は『禮記・月令・仲春之月』に記されてゐる。説文解字の字説はその俗に附會したものであるが、字は𠃉に從ふ形ではない。

説文解字は字條にやしなふなり。女に從ひ、子をいだく形に象る。一に曰く、子に乳するに象るなり。とあり、その一曰の義は、乳字の解に施すべきもの。

藤堂

孚と𠃉の會意。孚は子供を手で覆つて庇ふさまで、孵(卵を抱いて育てる)の原字。𠃉は燕。支那では燕は子授けの使ひだと信じられた。乳は、子を育てるの意を示し、柔らかくねつとりしたの意を含む。

落合

會意。甲骨文はに近い形を用ゐてをり、口を開けた子供に女性が授乳する形。

甲骨文では、授乳する意に用ゐる。《合集》22246辛丑卜、呼爰姼乳。

この字は金文、古文には見えず、篆文に至り、女をに簡略化した字形が出現する。は手の形。

漢字多功能字庫

甲骨文は、婦人が手を伸ばして口を開けた子供を抱き寄せ懷に入れて授乳する形に象る。本義は哺乳、餵哺。

金文は婦人の形が(身を俯せ手を伸ばす人の形の象)に簡略化され、勹の下にあるいは形を加へる。口形は手の形の變形したもので、考、老、孝の從ふところの手の形を口に變形したものがある(趙平安、陳劍、吳振武、郭永秉)。

甲骨文では本義に用ゐる。《合集》22246姼乳の「姼」は人名で、姼が乳をやることをいふ。

金文での用義は次のとほり。

戰國竹簡でも孺の通假字とする。《清華簡一・楚居》簡11乳(孺)子

屬性

U+4E73
JIS: 1-38-93
當用漢字・常用漢字

關聯字

乳聲の字