畀 - 漢字私註

説文解字

相付與之。約在閣上也。从甶聲。
丌部

康煕字典

部・劃數
田部三劃
古文

『集韻』必至切『正韻』浦至切、𠀤音比。『爾雅・釋詁』畀、賜也。『書・洪範』不畀洪範九疇。《傳》畀、與也。『詩・衞風』彼姝者子、何以畀之。《傳》畀、予也。

又人名。楚昭王妹季芉、字畀我。見『左傳・定四年』。

『正韻』从田从丌。或从廾、誤。

部・劃數
田部三劃

『集韻』古作畁。註詳上。

音訓

たまふ。あたへる。

解字

古い字形は鏃の大きな矢の象形。田あるいは甶に作る部分が鏃、丌に作る部分が矢羽に當たる。

白川

象形。金文の字形は鏑矢の形に作り、鳴鏑の象形かと思はれる。

説文解字の説くやうに形聲の字とはし難い。

金文の《中方鼎》に土をおくあた、《班𣪘》におほいに純陟をあたへられたりのやうに用ゐる。また『書・多方』に大降顯休命于成湯、刑殄有夏、惟天、不畀純。(大いに顯休の命を成湯に降し、有夏を刑殄し、維れ天、純を畀へず。)とあるのも同じ。

金文の字形が畀の初形。これを賜與の義とするのは、賜與のときに鏑矢をそのしるしとして與へることがあつたのであらう。矢は矢誓のときにも用ゐるものであつた。賜の初形は易で、これは盃酒を賜ふ意。易は盃に酒を注ぐ形。

藤堂

田(丸い物)と兩手の會意で、物を手から手へ渡すことを表す。

落合

象形。甲骨文は矢の尖端が大きくなつた形。鏑矢の象形であらう。

甲骨文での用義は次のとほり。

  1. 恩惠を與へること。人による賜與の意味にも、神が惠みを齎す意味にも用ゐられる。假借の用法か。《合集》63・末尾驗辭貞、翌辛卯[⿻矢口]、求雨夒。畀雨。(補註: [⿻矢口]は矢が口を貫く形の亡失字。)
  2. 祭祀名。《屯南》2562勿祀畀伊。

漢字多功能字庫

矢に從ひ、矢の上に扁平で長く廣い(大きい)鏃のある形を象る。本義は扁平な鏃。漢以降、錍と稱する。後にあたへるの意に假借する。

甲骨文では、附與を表し、また祭品を鬼神に獻ずることを表す。『詩・周頌・豐年』為酒為醴、烝畀祖妣。

金文では附與を表す。永盂易(賜)畀師永氒(厥)田。賜畀は賜與、附與を表し、同義の連用。

漢帛書では通じて痹となす。《馬王堆・足臂十一脈灸經》疾畀(痹)は、麻痹を表す。

屬性

U+7540
JIS: 2-81-24
U+7541

関聯字

畀聲の字