明 - 漢字私註

説文解字

朙
照也。从。凡朙之屬皆从朙。武兵切。
朙部
明
古文朙从

説文解字注

朙
照也。《火部》曰、、明也。小徐作。《日部》曰、昭、明也。大雅。『〔詩・大雅〕皇矣・傳』曰、照臨四方曰明。凡明之至則曰明明。明明猶昭昭也。『〔詩〕大雅・大明』、『常武』傳皆云、明明、察也。『詩』言明明者五。『〔書〕堯典』言朙朙者一。『禮記・大學篇』曰、大學之道、在明明德。鄭云、明明德、謂顯明其至德也。『〔詩・魯頌〕有駜』在公明明。鄭箋云、在於公之所但明明德也。引『禮記・大學』之道在明明德夫由微而著。由著而極。光被四表。是謂明明德於天下。自孔穎達不得其讀而經義隠矣。从月囧。从月者、月以日之光爲光也。从囧、取窗牖麗樓闓。明之意也。囧亦聲。不言者。舉會意包形聲也。武兵切。古音在十部。凡朙之屬皆从朙。
明
古文从日。云古文作明。則朙非古文也。葢籒作朙。而小篆隸从之。『干祿字書』曰、明通、朙正。顔魯公書無不作朙者。《開成石經》作明。從張參說也。《漢石經》作明。

康煕字典

部・劃數
日部・四劃
古文

『廣韻』武兵切『集韻』『韻會』『正韻』眉兵切、𠀤音鳴。『說文』照也。『易・繫辭』日月相推、而明生焉。『又』縣象著明、莫大乎日月。《疏》日月中時、徧照天下、無幽不燭、故云明。『史記・歷書』日月成、故明也。明者、孟也。

又『易・乾卦』大明終始。《疏》大明、曉乎萬物終始。

又『易・乾卦』天下文明。《疏》有文章而光明。

又『書・堯典』欽明文思安安。《疏》照臨四方謂之明。

又『書・舜典』黜陟幽明。《傳》升進其明者。

又『書・太甲』視遠惟明。《疏》謂監察是非也。又『洪範』視曰明。《傳》必淸審。

又『詩・小雅』祀事孔明。《箋》明、猶備也。

又『詩・大雅』明明在下。《傳》明明、察也。『爾雅・釋詁疏』明明、言甚明也。

又『禮・檀弓』其曰明器、神明之也。

又『禮・禮運』故君者所明也。《疏》明、猶尊也。

又『禮・樂記』作者之謂聖、述者之謂明。《疏》明者、辨說是非也。

又『韓非子・難三篇』知微之謂明。

又『廣韻』昭也、通也。

又星名。『詩・小雅』東有啓明。《傳》日旦出謂明星爲啓明。又『小雅』明發不寐。《疏》言天將明、光發動也。>又『正字通』凡厥明、質明、皆與昧爽義同。

又姓。『姓氏急就篇』『明氏・山公集』有平原明普、晉荀晞從事明預。

又與盟同。『詩・小雅』不可與明。《箋》明、當爲盟。

又與同。『周禮・夏官・職方氏註』望諸明都也。『釋文』明都【禹貢】作孟豬。今依【書】讀。

又『前漢・地理志』廣漢郡葭明。《註》師古曰、明音萌。

又『韻補』叶謨郞切。『書・益稷』元首明哉。股肱良哉。庶事康哉。『楚辭・九歌』暾將出兮東方、照吾檻兮扶桑。撫余馬兮安驅、夜皎皎兮旣明。

又叶彌延切。『道藏歌』觀見學仙客、蹊路放炎烟。陽光不復朗、隂精不復明。

部・劃數
月部・七劃

『玉篇』古文字。註詳日部四畫。

部・劃數
目部・四劃

『集韻』『正韻』𠀤眉兵切、音鳴。視瞭也。○按【正字通】云、【莊子・外物篇】目徹爲明。不借用眀、从日月、會明意。目明意、目明與明暗之明義同。田蓺衡曰、古皆从日月作明。漢乃从目作眀。【廣韻】【禮部韻略】俱不收眀字。【正韻】沿【玉篇】【集韻】之誤、分明眀爲二、非。

音訓

メイ(漢) ミャウ(呉) ミン(唐) 〈『廣韻・下平聲』武兵切〉[míng]{ming4}
あきらか。あかるい。あける。

解字

白川

正字は朙に作り、の會意。囧は窗の形。窗から月光が入り込むことを明といふ。そこは神を迎へて祀るところであるから、神明といふ。

『説文解字』に照らすなりとし、また古文の明を錄し、その字は月に從ふが、卜文、金文の字はすべて囧に從ふ。

詩・小雅・楚茨祀事孔明(祀事はなはだ明らかなり)のやうに、神明のことに用ゐるのが本義。故に『易・繫辭傳下通神明之德(神明の德に通ず)のやうにいふ。

黃土層の地帶では地下に居室を作ることが多く、中央に方坑、その四方に橫穴式の居室を作る。窗は方坑に面する一面のみで、そこから光を採る。光の入る所が神を迎へるところであつた。この方坑の亞字形が明堂や墓坑の原型をなすものであつたと考へられる。

周初の聖職者を明公、明保といひ、周公家がその職を世襲したと考へられる。

すべて神明の德に關することを明といふ。

藤堂

明・朙

(窗)との會意で、明かり取りの窗から、月光が射し込んで物が見えることを示す。明るいこと。また、人に見えないものを見分ける力を明といふ。

と月(月のやうに明るい)の會意。

はつきり見る意。また明に同じ。

落合

甲骨文では朙と明に區別があつた。後に混同していづれの字義も明朙兩形で表されるやうになつた。

陰光を表すから成る會意字で、「星月夜」を表してゐる。これが轉じて「あかるい」の意味になつた。甲骨文では「喪朙」(失明の意であらう)の語にのみ見える。囧亦聲の可能性もある。

日が出た直後にまだ月も見えてゐる樣子を表す會意字。「明け方」の意。異體にに從ふ形(眀)、に從ふ形(𤰾)、に從ふ形がある。

甲骨文での用義は次のとほり。

  1. 明け方頃の時間帶。《甲骨拼合集》57・後半驗辭丙申卜、翌丁酉、酒伐、啓。丁、明霧、大食日啓。一月。
  2. 地名。《合集》14貞、呼電耤于明。

漢字多功能字庫

甲骨文、金文は、に從ふ。太陽が昇つたばかりで月がまだ沈んでゐない意と解く(徐中舒)。夜明けの時分を指し、本義は夜明け。一説に、日月の引き立て合ふことを以て明るいことを表し、本義は明るいことといふ(沈培)。

甲骨文に四種の字形がある。

甲骨文の目に從ふ形の辭の例は不完全で、明字であるか否か未だ確定すること能はず。戰國睡虎地秦簡の明字は目に從ひ、裘錫圭はこれを囧の形が訛變したものとする。戰國竹簡にまた田と月に從ふ形がある。《郭店簡・老子甲》簡34を參照すべし。

『説文解字』朙、照也。(中略)明、古文朙。

甲骨文での用義は次のとほり。

金文での用義は次のとほり。

簡帛での用義は次のとほり。

この外、盟を借りて明を表し、次のものを指す(補註: 明日、明年などの明)。《清華簡二・繫年》簡28盟(明)歲、起師伐息、克之。は、次の年に、出兵して息國を攻め、息國に勝つことを表す。

侯馬盟書では明を通假して盟となす。《侯馬盟書》67:6明(盟)誓之言

屬性

U+660E
JIS: 1-44-32
當用漢字・常用漢字
U+6719
JIS: 2-14-27
JIS X 0212: 34-82
U+7700
JIS X 0212: 46-58