冬 - 漢字私註

説文解字

冬
四時盡也。从从夂。夂、古文字。
説文解字注は夂を𠔾に作り、會意。𠔾亦聲。都宗切。九部。と註する。
十一仌部
𣆼
𣆼𠔙、あるいは𣅈に作る。
古文冬从

康煕字典

部・劃數
冫部三劃
古文
𣆼
𣅈
𠘀
𠔙
𠘗

『唐韻』『集韻』『韻會』𠀤都宗切、篤平聲。『說文』四時盡也。『禮・月令』天氣上騰、地氣下降。天地不通、閉塞而成冬。『樂記』冬、藏也。『前漢・律歷志』冬、終也。『白虎通』冰霜、冬之𠋫也。『鶡冠子・環流篇』斗柄北指、天下皆冬。

又姓。『韻會』前燕有司馬冬壽。

部・劃數
日部七劃

『玉篇』古文字。註詳冫部三畫。

部・劃數
日部三劃

『玉篇』古文字。註詳冫部三畫。

部・劃數
冫部十一劃

『集韻』古作𠘀。註見三畫。

部・劃數
八部八劃

『字彙補』古文字。見【說文長箋】。註詳冫部三畫。

部・劃數
冫部十五劃

『字彙補』古字。註詳三畫。

音訓

トウ(漢、呉) 〈『廣韻・上平聲・冬・冬』都宗切〉
ふゆ

解字

白川

象形。絲を結び留めた形に象る。末端を終結する形で、の初文。金文に「萬年霝冬(靈冬)」のやうに終の意に用ゐる。《馬王堆帛書・老子》《銀雀山漢墓竹簡・孫子兵法・勢》などにも、終を冬に作る。

『説文解字』に四時盡くるなりとし、下部はの初形を添へた形とするが、卜文、金文は絲を結び留めた形。

藤堂

象形。もと、食物をぶら下げて貯藏したさまを描いたもの。のち印(冰)を加へて、冰結する季節の意を加へた。物を收藏する時節のこと。

落合

の初文(補註: 冬字の上部の夂に當たるが、字とは別。)を、後に一年の終はりに當たる冬期の意味で使ふやうになり、篆文で冰の象形のを加へた。

古くは冬は終と同音で、柊や螽の聲符にも用ゐられてゐる。

漢字多功能字庫

甲骨文、金文の冬はの本字。絲や繩の兩端を結ぶ形に象り(徐中舒)、本義は末端、終結するところ。

葉玉林は敗葉、碩果(大きく實つた果實)の形に象るとする。郭沫若は二つの榛の實が繫がり下に垂れる形に象るとする。按ずるに徐の説が勝る。古く冬と終は同字で、先に終結の終の義があり、後に引伸して四季の終端の冬の義となす。ゆゑに意符のを加へて專ら終結の終を表す。戰國金文の冬字は意符のを加へ、冬季の專字に用ゐる。甲骨文、金文の冬はみな兩點(補註: 冫)がなく、睡虎地秦簡が初めて冬の下に兩點を加へる。

甲骨文、金文では讀んで終となす。

戰國金文ではあるいは日旁を加へ、冬を表す。

屬性

U+51AC
JIS: 1-37-63
當用漢字・常用漢字
𣆼
U+231BC
𣅈
U+23148
𠘀
U+20600
𠔙
U+20519
𠘗
U+20617

關聯字

冬聲の字