魚 - 漢字私註

説文解字

魚
𤉯あるいは𤋳に作る。
水蟲也。象形。魚尾與燕尾相似。凡魚之屬皆从魚。
第三句の後の段注に其尾皆枝。故象枝形。非从火也。といふ。
十一魚部

康煕字典

部・劃數
部首
古文
𤉯

『唐韻』語居切『集韻』『韻會』『正韻』牛居切、𠀤御平聲。『說文』本作𤋳、水蟲也。象形、與燕尾相似。《註》徐鍇曰、下火象尾而已、非水火之火。『韻會』隷省作魚。『易・中孚』豚魚吉。《註》魚者、蟲之隱者也。『儀禮・有司徹』魚𠤎。《註》魚無足翼。『史記・周本紀』白魚躍入王舟中。《註》馬融曰、魚者介鱗之物、兵象也。

又蠹魚、亦名衣魚、本草生、久藏衣帛及書紙中。

又『詩・小雅』象弭魚服。《傳》魚服、魚皮。『陸璣疏』魚服、魚獸之皮也。似猪、東海有之。一名魚貍、其皮背上斑文、腹下純靑、今以爲弓鞬步叉者也。

又『唐書・車服志』初罷龜袋、復給以魚。『遼史・興宗記』試進士於廷、賜馮立等緋衣銀魚。『金史・輿服志』親王佩玉魚、一品至四品佩金魚、以下佩銀魚。

又『左傳・閔二年』歸夫人魚軒。《註》以魚皮爲飾。

又馬名。『爾雅・釋畜』二目白、魚。《註》似魚目也。『詩・魯頌』有驔有魚。

又地名。『左傳・僖二年』齊寺人貂漏師于多魚。又『文十六年』惟裨儵魚、人實逐之。《註》魚、魚復縣、今巴東永安縣。

又『晉語』夷鼓、彤魚氏之甥也。《註》彤魚、國名。

又姓。『左傳・成十五年』魚石爲左師。『史記・秦本紀』秦之先爲嬴姓、其後分封、以國爲姓、有修魚氏。

又與同。『列子・黃帝篇』姬、魚語女。《註》姬讀居、魚讀吾。

又叶魚羈切、音宜。『徐幹・七喩』大宛之犧、三江之魚。雲鶬水鵠、禽蹯豹胎。胎音怡。

又叶語鳩切、音牛。『庾闡詩』煉形去人俗、飄忽乗雲遊。暫憩扶桑隂、忽見東岳魚。

部・劃數
火部八劃

『集韻』古作𤉯。註詳部首。

部・劃數
備考・魚部

『字彙補』同。○按『集韻』古文魚字作𤉯。𤋳卽𤉯字之譌。

異體字

簡体字。

音訓

ギョ(漢) ゴ(呉) 〈『廣韻・上平聲・魚・魚』語居切〉
うを。さかな。われ。

解字

白川

象形。魚の形に象る。

説文解字に水蟲なり。象形。魚尾と燕尾と相似たり。といふ。

金文に魚を圖象とするものが多く、王室の祭祀に、魚を供薦する部族があつたのであらう。

春秋・隱五年公矢魚于棠。(公、魚を棠につらぬ)といふ儀禮のことが記されてゐる。

『詩』に見える結婚の祝頌詩に、魚を象徵として歌ふものが多い。

藤堂

象形。骨組みの張つた魚の全體を描いたもの。芯にある硬い骨が張つてゐる魚のこと。

落合

象形。魚の姿を字にしたもので、鱗や鰭が表現されてゐる。特定の魚種を表したものではなく、魚類の一般形。

甲骨文での用義は次のとほり。

  1. さかな。《殷墟花園莊東地甲骨》326己卜、家其侑魚、其逆丁、泳。
  2. 動詞。魚を捕ること。《殷墟小屯中村南甲骨》581今日乙、王其省盂、乃魚、禽。
  3. 祭祀名。魚を捧げることか。《合集》14688…卜、叀魚𣌧[⿱目口]。
  4. 地名。殷金文の圖象記號にも見える。《合集》21693…卜[⿰帚帚]貞、叹魚人。
圃魚
地名。圃魯ともいふ。圃や魚と同一地かどうかは不明。《合集》7894貞、其雨。十月、在圃魚。

甲骨文の要素としては、魚や漁撈に關する字に使はれてゐる。

背鰭と胸鰭は古文以降に省略されていつた。甲骨文にも略體が既に見える。

漢字多功能字庫

古人は動物を蟲と通稱し、説文解字のいふ「水蟲」は水中の動物を指す。

甲骨文、金文の形は象形の程度が高く、後に書寫の便利のため比較的平らで眞つ直ぐな線が元々の書き方に取つて代はつた。春秋戰國以後、魚尾が段々との形に變形した(羅振玉、季旭昇)。

甲骨文での用義は次のとほり。

金文での用義は次のとほり。

屬性

U+9B5A
JIS: 1-21-91
當用漢字・常用漢字
𤉯
U+2426F
𤋳
U+242F3
U+9C7C

關聯字

魚に從ふ字

説文解字・魚部のほか、以下の字など。

魚聲の字