酒 - 漢字私註

説文解字

酒
就也、所以就人性之善惡。从、酉亦聲。一曰造也、吉凶所造也。古者儀狄作酒醪、禹嘗之而美、遂䟽儀狄。杜康作秫酒。
十四酉部

康煕字典

部・劃數
酉部三劃

『唐韻』子酉切、愀上聲。『說文』就也、所以就人性之善惡。一曰造也。吉凶所造也。『釋名』酒、酉也、釀之米麴、酉澤久而味美也。亦言踧也、能否皆彊相踧持飮之也。又入口咽之、皆踧其面也。『周禮・天官・酒正』辨三酒之物、一曰事酒、二曰昔酒、三曰淸酒。《註》事酒、有事而飮也。昔酒、無事而飮也。淸酒、祭祀之酒。『前漢・食貨志』酒、百藥之長。『東方朔傳』銷憂者莫若酒。『江純・酒誥』酒之所興、肇自上皇、成之帝女、一曰杜康。

又玄酒、明水也。『禮・明堂位』夏后氏尚明水、殷尚醴、周尚酒。

又天酒、甘露也。『瑞應圖』王者施德惠、則甘露降、一名天酒。

又官名。『周禮・天官』酒正。《註》酒官之長。『又』女酒。《註》女奴曉酒者。

又祭酒、尊稱之號。『前漢・伍被傳』號爲劉氏祭酒。《註》祭時惟尊長酹酒也。

又酒旗、星名。『曹植・酒賦』仰漢旗之景曜、協嘉號於天辰。

又地名。『左傳・莊二十二年』王與虢公酒泉之邑。《註》邑在河南。又『前漢・武帝紀』以其地爲武威酒泉郡。《註》酒泉、今肅州。

又姓。明有酒好德。

又人名。『史記・晉世家』靜公俱酒。

又『韻補』叶子小切、音剿。『詩・鄭風』叔于狩、巷無飮酒。豈無飮酒、不如叔也、洵美且好。『易林』白茅醴酒、靈巫拜禱。神嘻飮食、使人壽老。

又叶子與切、音苴。『張超・誚靑衣賦』東向長跪、接狎歡酒。悉請諸靈、邪僻無主。

音訓

シュ(呉) 〈『廣韻・上聲・有・酒』子酉切〉
さけ。さかもり。

解字

白川

形聲。聲符はの省文。酉は酒樽の形。酒樽より酒氣の發することを酋といひ、酋を持つことを尊(樽)といふ。

説文解字にすなり。人性の善惡を就す所以なり。とし、また一に曰く、はじまるなり。吉凶の造まる所なり。といふ。就、造はともに聲の近い字であるが、語源的に關係があるとはし難い。

禹のとき、儀狄が酒を作り、また杜康が酒を作つたといふ起源説話がある。

殷、周期には酒器に精美なものが多く、當時の祭祀や儀禮に酒を用ゐることが多かつた。祭祀には鬱鬯(香草)で香りをつけたものを用ゐた。

藤堂

は、酒壺から醱酵した香りの出るさまを描いた象形字で、酒の原字。

酒は(酒壺)の會意で、もと、搾り出した液體の意を含む。

落合

𫹉

酒の甲骨文は𫹉に作り、酒樽の形のの會意。彡は酒滴であり、樽から酒を注ぐ樣子を表すとされる。或は酒の香りを表してゐるかも知れない。

甲骨文には酉だけで酒を意味する用例もある。

甲骨文では祭祀名を表す。酒を捧げる儀禮。《合集補編》10639丙寅貞、叀丁卯、𫹉(酒)于[⿱心㔾]。

金文では酉のみで酒を意味する用法が多く、篆文で意符としてを加へた繁文が作られた。

甲骨文には、𫹉とは別に、水を意符、酉を聲符とする形聲字があり、河川名を表す。《合集》28231在酒、盂田受禾。

漢字多功能字庫

に從ひ、亦聲。酉は酒甁を象り、本義は美酒。

酉は聲符であるだけでなく意符でもある。古文字の酉は酒樽を象り、水に從ふのは酒甁の中に美酒の佳く釀されてゐるさまを表す。

甲骨文では、本義に用ゐて酒を表し、また地名に用ゐる。

金文では、酒字を酉に作る。

古今を通じて、飲酒は人々の重要な消遣(樂しみ、氣晴らし)で、酒を酌んで樂しく飲み、客を宴に招き賓を樂しませるさまは、古書に多く載る。白居易〈北亭招客〉「「踈散郡丞同野客、幽閑官舍抵山家。春風北戶千莖竹、晩日東園一樹花。小盞吹醅嘗冷酒、深爐敲火炙新茶。能來盡日宮棊否? 太守知慵放晚衙。」

説文解字は就を以て酒を釋するが、聲訓に屬す。

屬性

U+9152
JIS: 1-28-82
當用漢字・常用漢字