寺 - 漢字私註

説文解字

寺
廷也。有法度者也。从聲。祥吏切。
寸部

説文解字注

寺
廷也。《廴部》曰、、朝中也。『漢書・注』曰、凡府庭所在皆謂之寺。『釋名』寺、嗣也。治事者相嗣續於其內。『廣韵』寺者、司也。官之所止有九寺。按經典假寺爲侍。『詩〔大雅〕瞻卬・傳』曰、寺、近也。『周禮・注』曰、寺之言侍也。凡『禮』『詩』『左傳』言寺人皆同。若漢西域白馬駝經來。初止於鴻臚寺。遂取寺名。初置白馬寺。此名之不正者也。有法度者也。从寸。『考工記』曰、市朝一夫。《注》云、方各百步。知天子三朝各方百步。其諸侯大夫之制未詳。步必積寸爲之。言法度字多從寸。《又部》曰、度、法制也。𡳿聲。祥吏切。一部。

康煕字典

部・劃數
寸部・三劃

『廣韻』『集韻』『韻會』𠀤祥吏切、音嗣。『說文』廷也、有法度者也。从寸㞢聲。『徐曰』寸、法度也、守也。『釋名』寺、嗣也、官治事者相嗣續於其內也。『唐書・百官表』漢以太常、光祿、勳衛尉、太僕、廷尉、大鴻臚、宗正、司農、少府爲九卿。後魏以來、卿名雖仍舊、而所蒞之局謂之寺、因名九寺。又『漢書・註』凡府廷所在、皆謂之寺。

又漢明帝時、攝摩騰自西域白馬駝經來、初止鴻臚寺、遂取寺名、爲創立白馬寺。後名浮屠所居皆曰寺。

又宦寺。『詩・秦風』寺人之令。《傳》內小臣也。令、使也。又『周禮・天官』掌王之內人及女宮之戒今。鄭註寺之言侍也。○按註疏蓋以侍釋寺義、非。轉音時吏切、讀若侍、『正譌』合寺、侍爲一、非。

『集韻』或作

部・劃數
門部・六劃

『集韻』『正韻』𠀤時吏切、音侍。寺人、奄官、或从門。

又『集韻』祥吏切、音飼。『說文』廷也。有法度者也。本作寺。『五音集韻』寺者、司也。官之所止有九司。【釋名】曰、寺、嗣也。治事者相嗣續于其內。又漢西域白馬䭾經來、初止于鴻臚寺、遂取寺名、剏置白馬寺。

音訓・用義

ジ(呉) 〈『廣韻・去聲・志・寺』样吏切〉[sì]{zi6/zi2}
てら

九寺など、官署を指す。

佛寺の意は、外交を扱ふ役所である鴻臚寺に浮屠を居らせたことに端を發す。

解字

白川

形聲。聲符はは手にものを持つ形。寺はの初文。

金文の《邾公牼鐘》に萬年に至るまで、分器を是れたもとあり、また《石鼓文・田車石》に秀弓寺射すとあるのは待つて射つ意であるらしい。いづれもその狀態をしばらく持續することをいふ。

『説文解字』に廷なり。法度有る者なり。と官府の意を以て解するのは、漢以後の用義。

詩・大雅・瞻卬時維婦寺(れ婦寺)の寺は寺人、近侍の宦官をいふ。

外交の役所であつた鴻臚寺を、のち浮屠(僧)の居舍としたので、のち佛寺の意となつた。

藤堂

と音符(足で進む)の會意兼形聲。手足を動かして働くこと。侍や待の原字。

轉じて雜用を掌る役所のこと。

漢代に西域から來た鴻臚寺といふ接待所に泊めたため、のち寺を佛寺の意に用ゐるやうになつた。

落合

形聲。初出(西周代)の字形は、手の形のを意符、を聲符とする。

金文では持つの意味で使用されてをり、の初文。東周代に官僚制が普及し、役所の意味に轉用され、更に後に佛教が流入して僧侶がゐる寺院の意味に用ゐられた。

字形については、東周代に、又を肘を表すに入れ替へた異體が作られた。寸は、字形、字義の類似から、しばしば又と通用する。

原義については、東周代に意符として手に持つ物體を意味してを加へた繁文が作られ、更に篆文で意符がに置換された。初文の部分も又が寸に變化してゐる。

漢字多功能字庫

金文はに從ひ聲。又は手の形形に象る。本義は握持。の初文。

後にを加へて持字を作る。手を表す旁が重複してゐる。戰國早期に又の下に飾筆を加へ、に作り、小篆のもととなる。

古文字では寺は音の近い之、恃、邿、詩、時などの字の通假字となる。

金文での用義は次のとほり。

郭店楚簡では寺は通じて詩となす。「寺員」は「詩云」のこと。簡帛ではまた多く待と通ず。《馬王堆・老子甲本卷後古佚書》所寺(待)者時也

之、恃、邿、詩、時、待、侍、𠱾などを參照のこと。

屬性

U+5BFA
JIS: 1-27-91
當用漢字・常用漢字
U+4999