品 - 漢字私註

説文解字

品
眾庶也。从三。凡品之屬皆从品。
品部

康煕字典

部・劃數
口部六劃

『唐韻』丕飮切『集韻』『韻會』丕錦切、𠀤匹上聲。『說文』衆庶也。『廣韻』類也。『易・乾卦』品物流形。《疏》品類之物、流布成形。

又『書・舜典』五品不遜。《疏》品爲品秩、一家之內、尊𤰞之差、卽父母兄弟子是也。

又『增韻』物件曰品。『書・禹貢』厥貢惟金三品。《疏》鄭元以爲金三品者、銅三色也。『易・巽卦』田獲三品。《註》一曰乾豆、二曰賔客、三曰充君之庖。『禮・禮器』薦不美多品。又『少儀』問品味、曰、子亟食于某乎。《疏》品味者、殽饌也。『周禮・天官・膳夫』品嘗食。《註》品者、每物皆嘗之、道尊者也。

又『韻會』品格也。『禮・檀弓』品節斯、斯之謂禮。《疏》品、階格也、節制斷也。

又『玉篇』齊也。『周語』品其百籩。

又同也。『前漢・李尋傳』百里爲品。《註》孟康曰、品、同也、言百里內數度同也。

又『玉篇』官品。『周語』外官不過九品。《註》九卿也。

又『廣韻』式也、法也。

又『廣韻』二口則生訟、三口乃能品量。

又官名。『正字通』唐宦官曰品官。

又『廣韻』姓也。出何氏姓苑。『正字通』明有品嵒。

又地名。『左傳・文十六年』楚予乗馹、會師于臨品。

又『前漢・西域傳』戎盧國王治𤰞品城。

音訓

ヒム(漢) ホム(呉) 〈『廣韻・上聲・寑・品』丕飲切〉[pǐn]{ban2}
しな。もろもろ。たぐひ。わかち。ひとしい。

解字

白川

の會意。口は祝禱を收める器の形。多くの祝禱を合はせて行ふことをいふ。

『説文解字』に口を口耳の口と解するが、特定の祕匿のところで祝禱を行ふことをといひ、その聲を歐、謳といひ、これを呵してその呪能を促すを敺といふ。これらのことから言へば、品は祝禱に關する字。

四口を㗊といひ、囂、器、嘂なども、みな祝禱に關する字。

多く祝禱を列することから、區別、種類、品第をいふ語となる。金文の《𬊇𣪘》に臣三品を賜ふ。州人、東人、庸人なり。とあつて、三品とは三人の意ではなく、それぞれの部族の、出身を異にする徒隸をいふ。《小盂鼎》には凡そわかつに品を以てすとあり、俘虜を部族別に分かつたのであらう。

人の身分や性情について用ゐることが多く、品流、品第、品性、品格のやうにいふ。

藤堂

會意。三つを竝べて、色々の名の物を表したもの。

一説に、口ではなく、方形三つで色々な物を示したもの。

落合

會意。器物を竝べた形で、恐らく祭祀の樣子を表してゐる。(補註: 落合は四口に從ふ形(㗊の形)も同字としてゐる。)

甲骨文では祭祀名に用ゐる。《合補》11738辛酉卜貞、王賓品、亡尤。

別字

方形の物體を二つ器物に載せた形の甲骨文は、釋すると品となるが、成り立ちが異なる。貞人名に用ゐられる。

また、口の上になどを二つ竝べた形([⿱⿰玉玉口]、[[⿱⿰工工口])も同時期の貞人名。

また、甲骨文に施設名を表す似た形([⿱⿰??口]の形)の字がある。

漢字多功能字庫

に從ひ、口は器を表す。字は器に色々な祭物を滿たして神に獻じるさまを象り、故に繁庶眾多(數多い)の義を有す。

徐中舒は三口で多くの祭器を表し、殷の祭祀では、直系の先王と傍系の先王は區別され、祭品に差があり、故に後世では品字に等級の派生義がある、とする。字はまた器の中に多種の祭物を滿たして神に獻ずるさまを象り、故に數多いの義を有す。『廣雅・釋詁四』品、齊也。『漢書・匈奴傳上』給繒絮食物有品。顏師古注品、謂等差也。一説に字は三口に從ひ、三人を表し、三人を衆人の義となす。

甲骨文では祭名に用ゐる。

金文では量詞に用ゐる。

戰國竹簡では本義に用ゐ、衆多を指す。《上博竹書六・孔子見季桓子》簡3,24夫士、品勿(物)不窮、君子流亓(其)觀焉。傳世古書に屢々「品物」の語が見え、各類の物事を指す。『國語・楚語下』天子遍祀群神品物。韋昭注品物、謂若八蜡所祭貓虎昆蟲之類。簡文は、夫子は多くの物事に直面し、君子はそれらを遍く觀察すべきである、の意。

傳世文獻中の品は衆多を指す。『易經・乾卦』品物流形の「品物」は多くの物事の意。現代漢語の「物品」「作品」「食品」「產品」などの語は、阿片戰爭以後のもので、日本人が英語の語彙を飜譯したものであり、古書に所謂「品物」とは關係ない(王力)。

屬性

U+54C1
JIS: 1-41-42
當用漢字・常用漢字

関聯字

品に從ふ字

品聲の字