加 - 漢字私註

説文解字

加

語相增加也。从古牙切。

十三力部

説文解字注

加

語相譄加也。譄各本作增。今正。增者、益也。義不與此同。譄下曰、加也。誣下曰、加也。此云語相譄加也。知譄誣加三字同義矣。誣人曰譄。亦曰加。故加从力。『論語〔公冶長〕』曰、我不欲人之加諸我也。吾亦欲無加諸人。馬融曰、加、陵也。袁宏曰、加、不得理之謂也。劉知幾『史通』曰、承其誣𡚶。重以加諸。韓愈『爭臣論』曰、吾聞君子不欲加諸人。而惡訐以爲直者。皆得加字本義。引申之、凡據其上曰加。故加巢卽架巢。

从力口。謂有力之口也。會意。古牙切。十七部。

康煕字典

部・劃數
力部・三劃

『唐韻』古牙切『集韻』『韻會』『正韻』居牙切、𠀤音家。『說文』語相增加也。从力口。《徐曰》會意。『爾雅・釋詁』重也。《註》重𤴁也。『玉篇』益也。『論語』又何加焉。

又『廣韻』上也、陵也。『論語』吾亦欲無加諸人。《註》陵也。

又『增韻』施也、著也。『禮・冠義』醮於客位三加彌尊加有成也。

又『韻補』叶居何切、音哥。『東方朔・七諫』蓬艾親入御于牀第兮、馬蘭踸踔而日加。棄捐葯芷與杜衡兮、余奈世之不知芳何。

又叶居之切、音姬。『三略』柔有所設、剛有所施。弱有所用、彊有所加。

音訓義

カ(漢) ケ(呉)⦅一⦆
カ(推)⦅二⦆
カ(推)⦅三⦆
くはへる
くははる
ます
官話
jiā⦅一⦆
粤語
gaa1⦅一⦆

⦅一⦆

反切
廣韻・下平聲』古牙切
集韻・平聲三麻第九麻韻 - 集韻私註』居牙切
『五音集韻・中平聲卷第四・麻第十七・見・二嘉』古牙切
聲母
見(牙音・全清)
等呼
官話
jiā
粤語
gaa1
日本語音
カ(漢)
ケ(呉)
くはへる
くははる
ます
くはへる。增す。足す。
施す。與へる。
ますます。その上。更に。

⦅二⦆

反切
廣韻・下平聲』丘加切
『五音集韻・中平聲卷第四・麻第十七・溪・二䶗』苦加切
聲母
溪(牙音・次清)
等呼
日本語音
カ(推)
膠加、戾也。王逸說。(『集韻』)

膠加は、汉典に據れば、jiāo jiāと讀み、乖戾(たがひもとる、ひねくれてゐる、ねぢけてゐる、天邪鬼である)、絡み合つてゐて絲口がない、の意。加の讀み方は⦅一⦆と同じ。

⦅三⦆

反切
集韻・去聲下・禡第四十・駕』居迓切
『五音集韻・去聲卷第十一・禡第十七・見・二駕』古訝切
聲母
見(牙音・全清)
等呼
日本語音
カ(推)
增也。(『集韻』)

解字

白川

の會意。力は耜の象形。口は祝禱を收める器の形。

『説文解字』に語、相ひ增加するなりと語を加へる意とするが、耜を清めて、その生産力の增加を祈る儀禮を示す字であらう。

鼓聲を加へた字はも力(耜)を清める儀禮で、その收穫を以て神を祀るとき、「籩豆靜嘉」といふ。

のちすべて、附加し、增加することをいふ。

藤堂

の會意。手に口を添へて勢ひを助ける意を示す。

漢字多功能字庫

金文はに從ふ。力は力は耒耜(農具)の形に象り、耕作に勤しむことを表す。口は力を出すときの叫び聲を表す(孫常敍)。本義は力を盡くすこと、勵むこと、勤しむこと。增加の意を派生する。

説文解字は言語で以て他人を誣衊(中傷)する意とする。

金文では人名に用ゐるほか、嘉美、表彰を表し、の用法に同じ。虢季子白盤王孔加(嘉)子白義は、王が子白を嘉美することを表す。

屬性

U+52A0
JIS: 1-18-35
當用漢字・常用漢字

関聯字

加に從ふ字を漢字私註部別一覽・力部・加枝に蒐める。