力 - 漢字私註

説文解字

力
筋也。象人筋之形。治功曰力、能圉大災。凡力之屬皆从力。
十三力部

康煕字典

部・劃數
部首
古文
𠠲

『唐韻』『集韻』『韻會』𠀤林直切、陵入聲。『說文』筋也。象人筋之形。『徐曰』象人筋竦、其身作力、勁健之形。『增韻』筋、力氣所任也。『禮・聘義』日幾中而後禮成、非强有力者不能行也。又『曲禮』老者不以筋力爲禮。

又『韻會』凡精神所及處、皆曰力。『孟子』聖人旣竭目力焉、旣竭耳力焉。

又『韻會』物所勝亦曰力。『家語』善御馬者均馬力。『杜甫・張旭草書詩』溟漲與筆力。

又勤也。『書・盤庚〔上〕』若農服田力穡、乃亦有秋。『前漢・司馬遷傳』力誦聖德。《註》師古曰、力、勤也。

又『禮・坊記』食時不力珍。《註》力、猶務也。

又『後漢・銚期傳』身被三創、而戰方力。《註》力、苦戰也。

又病甚曰力。『唐書・汲黯傳』臣犬馬病力。

又爲人役者曰力。『晉・陶潛・與子書』遣此力、助汝薪水之勞。

又姓。『韻會』黃帝佐力牧之後。

又『韻補』叶力蘖切、苓入聲。『蘇軾・香積寺詩』此峯獨蒼然、感荷祖佛力。幽光發中夜、見者惟木客。

部・劃數
力部(零劃)

『字彙補』古文字。註見部首。

音訓

リョク(漢) リキ(呉) 〈『廣韻・入聲・職・力』林直切〉[lì]{lik6}
ちから。つとめる。

解字

白川

象形。すきの形に象る。

耒はすきを持つ形。はみなすきを清める儀禮をいふ。耤の卜文は、すきを踏む形に、昔聲を加へた字。

書・盤庚上』(上揭)穡につと、金文の《叔夷鎛》(下揭)に靈力あること虎のごととあり、農耕は殊に力を要することであつた。

藤堂

象形。手の筋肉を筋張らせて頑張るさまを描いたもの。

落合

字源に諸説あるが、甲骨文では男や樹の初文に用ゐられてをり、農具の耜の象形と推定されてゐる。當時は未だ牛耕が發明されてをらず、耜を使つて人力で耕作してゐたため、その象形が「ちから」を象徵する字として使はれたのであらう。

甲骨文での用義は次のとほり。

  1. 女性が出産すること。女性が最も力を入れる行爲として用ゐた派生義であらう。の初文は力にを加へる形につくり、甲骨文では男兒誕生の意に用ゐる。
    • 《合補》6558丁丑卜、婦𡚿力。八月。
  2. 祭祀名。
  3. 人名。第一期(武丁代)。

漢字多功能字庫

甲骨文は古代の農耕の道具を象る。原始の農業で植物を掘り起こしあるいは點播するための先の尖つた木の棒から發展した土を掘る道具である。字形の中の短い劃は脚で踏む橫木を象る(裘錫圭)。農具を使用して耕作するには力が必要で、力の意を派生する。

後の耜は力の形の農具が發展して出來たもので、力形の農具を改め狹く尖つた先を幅廣の刃にし、木耜となつた。また、耒と力(後の耜を包括する)は違ふ種類の農具で、耒の先は分かれてをり、耜の先は一刃で、耒は木の枝のやうな農具、耜は木の棒のやうな農具である(裘錫圭)。

甲骨文では動詞に用ゐ、耒や耜を用ゐて土を掘り返し耕作することを表すと疑はれる。

金文での用義に二つある。

  1. 力、力量を表す。弔夷鐘靈力若虎、堇(勤)勞其政事。『詩・邶風・簡兮』有力如虎、執轡如組。
  2. 功勞を表す。中山王鼎寡人庸其德、嘉其力。

屬性

U+529B
JIS: 1-46-47
當用漢字・常用漢字
𠠲
U+20832

関聯字

力に從ふ字を漢字私註部別一覽・力部に蒐める。