一 - 漢字私註

説文解字

一
惟初太始、道立於一、造分天地、化成萬物。凡一之屬皆从一。於悉切。
一部
弌
古文一。

説文解字注

一
惟初大極、道立於一、造分天地、化成萬物。漢書〔敘傳下〕』曰、元元本本、數始於一。凡一之屬皆从一。一之形、於六書爲𢫾事。凡云凡某之屬皆从某者自序所謂分別部居、不相襍廁也。『爾雅』『方言』所以發明轉注假借。『倉頡』、『訓纂』、『𣶢熹』及『凡將』、『急就』、『元尚』、『飛龍』、『聖皇』諸篇。僅以四言七言成文。皆不言字形原委。以字形爲書。俾學者因形以考音與義。實始於許。功莫大焉。於悉切。古音第十二部。○凡注言一部、二部、以至十七部者、謂古韵也。玉裁作『六書音均表』、識古韵凡十七部。自倉頡造字時至唐虞三代秦漢、以及許叔重造『說文』曰某聲、曰讀若某者、皆條理合一不紊。故旣用徐鉉切音矣。而又某字志之曰古音第幾部。又恐學者未見六書音均之書。不知其所謂。乃於『說文』十五篇之後、附『六書音均表』五篇。俾形聲相表裏。因耑推究。於古形、古音、古義可互求焉。
弌
古文一。凡言古文者、謂倉頡所作古文也。此書法後王、尊漢制。以小篆爲質。而兼錄古文、籒文。所謂今敘篆文、合以古、籒也。小篆之於古、籒。或仍之。或省改之。仍者十之八九。省改者十之一二而已。仍則小篆皆古、籒也。故不更出古、籒。省改則古、籒非小篆也。故更出之。一二三之本古文明矣。何以更出弌弍弎也。葢所謂卽古文而異者。當謂之古文奇字。

康煕字典

部・劃數
部首
古文

『唐韻』『韻會』於悉切『集韻』『正韻』益悉切、𠀤漪入聲。『說文』惟初大始、道立於一。造分天地、化成萬物。『廣韻』數之始也、物之極也。『易・繫辭』天一地二。『老子・道德經』道生一、一生二。

又『廣韻』同也。『禮・樂記』禮樂𠛬政、其極一也。『史記・儒林傳』韓生推詩之意、而爲內外傳數萬言、其語頗與齊魯閒殊、然其歸一也。

又少也。『顏延之・庭誥文』選書務一不尚煩密。『何承天・答顏永嘉書』竊願吾子舍兼而遵一也。

又『增韻』純也。『易・繫辭』天下之動貞夫一。『老子・道德經〔下・第三十九章〕』天得一以淸、地得一以寧、神得一以靈、谷得一以盈、萬物得一以生、侯王得一以爲天下正。

又均也。『唐書・薛平傳』兵鎧完礪、徭賦均一。

又誠也。『中庸』所以行之者、一也。

又正一。『唐書・司馬承楨傳』得陶隱居正一法、逮四世矣。

又一一。『韓非子・內儲篇』南郭處士請爲齊宣王吹竽。宣王悅之、廩食以數百人。湣王立、好一一聽之、處士逃。『韓愈詩』一一欲誰憐。『蘇軾詩』好語似珠穿一一。

又『星經』天一星、在紫微宮門外。太一星、在天一南半度。

又太一、山名、卽終南山。一名太乙。

又三一。『前漢・郊祀志』以太牢祀三一。《註》天一、地一、泰一。泰一者、天地未分元氣也。

又尺一、詔版也。『後漢・𨻰蕃傳』尺一選舉。《註》版長尺一、以寫詔書。

又百一、詩篇名、魏應璩著。

又姓、明一炫宗。又三字姓。北魏有一那婁氏,後改婁氏。

又一。『大學』壹是皆以修身爲本。『史記・禮書』總一海內。『前漢・霍光傳』作總壹。『六書故』今惟財用出納之簿書、用壹貳叄以防姦易。

又『韻補』叶於利切、音懿。『左思・吳都賦』藿蒳豆蔲、薑彙非一。江蘺之屬、海苔之類。

又叶弦雞切、音兮。『參同契』白者金精、黑者水基。水者道樞、其數名一。

部・劃數
弋部一劃

『說文』古文字。註詳部首。

音訓

イチ(呉) イツ(漢) 〈『廣韻・入聲・質・一』於悉切〉[yī]{jat1}
ひとつ。ひとたび。はじめ。すこし(一見)。もつぱら (專一)。

解字

指示字。橫劃一劃で1を表す。

また樣々なものを橫一劃、一の形で表す。

白川

指示。橫劃一。記號的表示。算木を竝べる計算法。

卜文、金文では、一から四までは橫劃を重ね、五は㐅、十は丨で示す。

古文の字形(弌)は卜文、金文には見えず、ただ《曶鼎》にたがの字があり、鼎に戈を加へて銘文を削り改める意であらう。後に略してにつくり、一にも弌の形が作られた。

藤堂

指示。一本の橫線で、ひとつを示す。ひとつの意のほか、全部を一纏めにする、一杯に詰めるなどの意を含む。

は壺に一杯詰めて口を括つたさま。

落合

指示。甲骨文では一から四までの數字は橫劃の本數で表した。仰韶文化の陶文に縱線を竝べたものがあり、これが數字の原型であらう。

甲骨文での用義は次のとほり。

  1. ひとつ。《合補》10639丙寅貞、侑于⿱心㔾、燎小⿱冖羊、卯牛一。
  2. 一番目。《輯佚》617叀一卜用、遘牲、侑大乙、有正。
有石一橐
卜占用語。吉兆か。
余一人
殷王專用の一人稱。單に一人とも言ふ。

甲骨文では地面や切斷などを表す指示記號として橫劃を用ゐることもある。

漢字多功能字庫

甲骨文、金文は、抽象的な一橫劃で一の概念を表す。按ずるに弌字はと一に從ひ、一の繁文。春秋以後、古人は一に聲符のを加へた。弋字の下部に飾筆を加へたものが戈と相混ざり、金文や戰國竹簡などの材料に多く戈に從ふ一の字形がある。

甲骨文での用法は次のとほり。

金文での用法は次のとほり。

中山王方壺では鼠と一に從ふ字を借用して一を表す。また《包山楚簡・五行》のやうにと能に從ふ字形を借用して一を表す。一字の筆劃は簡單で、容易に人に數を變へられるので、後の人は多く專らを假借して一の大字とした。

屬性

U+4E00
JIS: 1-16-76
當用漢字・常用漢字
U+5F0C
JIS: 1-18-1

関聯字

一に從ふ字

漢字私註部別一覽・一部に蒐める。

其の他

大字。