説文解字私註 不部

不部

説文解字
鳥飛上翔不下來也。从一、一猶天也。象形。凡不之屬皆从不。 段注に『詩』卾不𩏬𩏬。箋云。不當作柎。柎、卾足也。古聲不柎同。と註記せらる。
康煕字典
一部三劃
《古文》𠀚𠙐
『韻會』『正韻』𡘋逋沒切、補入聲。不然也、不可也、未也。『禮・曾子問』葬引至于堩、日有食之、則有變乎、且不乎。
『周禮・夏官』服不氏、掌養猛獸而敎擾之。《註》服不服之獸者。
『廣韻』『韻會』𡘋分物切。與同。今吳音皆然。
『韻會』俯九切、音缶。與可否之否通。『說文』鳥飛上翔、不下來也。从一、一猶天也。象形。
『玉篇』甫負切『廣韻』甫救切、𡘋缶去聲。義同。
『廣韻』甫鳩切『集韻』『韻會』『正韻』方鳩切、𡘋音浮。夫不、䳡也。亦作鳺鴀。『爾雅・釋鳥』䳡其鳺鴀。『郉疏』陸璣云、今小鳩也。一名䳕鳩、幽州人或謂鷱鴡、梁宋閒謂之隹、揚州人亦然。
未定之辭也。『陶潛詩』未知從今去、當復如此不。
姓。『晉書』汲郡人不準。○按『正字通』云、不姓之不、轉注古音、音彪。
『正韻』芳無切。與通。花萼跗也。『詩・小雅〔常棣〕』鄂不韡韡。『鄭箋』承華者、鄂也。不當作柎。鄭樵曰、不象萼蔕形。與通。『陸璣詩疏』柎作跗。『束皙・補亡詩』白華絳趺。『唐詩』紅萼靑趺皆因之。
華不注、山名、在濟南城東北。『左傳・成二年』晉卻克戰于鞌、齊師敗績。逐之、三周華不注。『伏琛齊記』引摯虞畿服經、不、與詩鄂不之不同。李白詩、兹山何峻秀、彩翠如芙蓉。蓋因華跗而比擬之。胡傳讀不如卜、非。又『古詩・日出東南隅行』使君謝羅敷、還可共載不。羅敷前致辭、使君亦何愚。使君自有婦、羅敷自有夫。〇按愚當讀若吾、疑模切、與敷不夫叶。敷不夫本同模韻、『正字通』不改音符、叶夫愚、非是。
同。『書・大誥』爾丕克遠省。馬融作不。『秦・詛楚文』不顯大神巫咸。『秦·和鐘銘』不顯皇祖。𠀤與詩周頌不顯不承同。不顯不承、猶書云丕顯丕承也。
『韻補』叶補美切、音彼。『荀子・賦篇』𥳑然易知、而致有理者與。君子所敬、而小人所不者與。所不謂小人所鄙也。
『正字通』不字在入聲者、方音各殊、或讀逋入聲、或讀杯入聲。司馬光切韻圖定爲逋骨切、今北方讀如幫鋪切、雖入聲轉平、其義則一也。
フ。フツ。
しからず。いなや。
解字(白川)
否定、打ち消しに假借する。
字はもと象形。花の萼柎の形。その義に用ゐることは殆どない。『詩經・小雅・常棣』が本義に用ゐる例で、萼不は萼柎、花のつけ根のところ。
金文に「不顯」とあるのは「丕顯」、おほいに顯かなるの意。萼柎に實がつき始めてとなり、となり、割けて剖判となる。
解字(藤堂)
芣や菩などの原字で、ふつくらと膨れた花の萼を象る。
(膨れて大きい)、胚(膨れた胚芽)、杯(膨れた形のさかづき)の音符。
不の音を借り、口をつけて否定詞のがつくられたが、不もまた否定詞に轉用された。意嚮や判定を打ち消すのに用ゐる。また、弗とも通じる。
解字(落合)
『詩經・小雅・常棣』より、花萼とする説が有力だが、甲骨文に原義での用例がなく、斷定できない。
他に、花が萎れて垂れ下がつた形とする説、草の根の象とする説がある。
解字(漢字多功能字庫)
甲骨文、金文の構形については二説ある。
一説に、一は地面を象り、下部は植物の根鬚の形を象るといふ。本義は根鬚で、茇の初文。茇は不の後起の形聲字で、草の根を表す。
もう一説に、花萼の柎の形を象り、柎の本字といふ。
甲骨文では否定の副詞に用ゐる。また、地名、人名、國名などに用ゐる。
金文での用義は五つある。一つに、大きなることを表し、典籍ではにつくる。二つに、否定の副詞で、後世のに相當する。三つに、否定の副詞で、弗、毋と同樣。四つに、國名、典籍では邳につくる。五つに、人名や氏族徽號に用ゐる。
當用漢字・常用漢字

説文解字
第二篇口部に重出。註記は同部に施す。
不也。从、不亦聲。