釐 - 漢字私註

説文解字

家福也。从𠩺聲。里之切。
十三里部

説文解字注

家福也。家福者、家居獲祐也。『易〔坤・文言〕』曰、積善之家、必有餘慶。『漢・孝文帝紀』詔曰、今吾聞祠官祝釐、皆歸福於朕躬。如淳曰、釐、福也。『賈誼傳』受釐宣室、是也。如說冣合。應劭注、釐爲祭餘肉。失之。師古直謂、釐爲禧之叚借字。禧與釐雖同在古音弟一部。然義各有當。釐字从里。里者、家居也。故許釋爲家福。與禧訓禮吉不同。《春秋三經》僖公、『史記〔魯周公世家〕』作釐公。叚借字耳。有叚釐爲氂者、經解云差若毫氂、或作釐、是也。有叚釐爲者、『〔詩〕大雅〔既醉〕』釐爾女士。《傳》曰、釐、予也。『〔詩・大雅・江漢〕』釐爾圭瓚。《傳》曰、釐、賜也。有叚釐爲理者、『〔書〕堯典』允釐百工、是也。从里𠩺聲。里之切。一部。

康煕字典

部・劃數
里部・十一劃
古文
𨤺

『廣韻』『集韻』里之切『韻會』陵之切、𠀤音離。『廣韻』理也。『書・堯典』釐降二女于嬀汭。《疏》釐降、謂能以義理下之。『揚雄・劇秦美新』荷天衢、提地釐。《註》釐、理也。荷天道、提地理、言則而效之。

又『說文』家福也。『揚雄・甘泉賦』逆釐三神。《註》釐、福也。

又治也。『書・堯典』允釐百工、庶績咸煕。《傳》釐、治也。

又數名。與𨤲氂𠀤同。『前漢・東方朔傳』正其本、萬事理、失之毫釐、差以千里。『淮南子・主術訓』是故審毫釐之計者、必遺天下之大數。

又『揚子・方言』𨻰楚之閒、凡人獸乳而雙產、謂之釐孳。

又『博雅』耦也。

又『揚子・方言』釐㙁、貪也。

又賜也、予也。『詩・大雅』其僕維何、釐爾女士。《傳》釐、予也。『又』釐爾圭瓚。《傳》釐、賜也。

又山名。『山海經』釐山。《註》按『名勝志』釐山在嵩縣西。

又草名。『爾雅・釋草』釐、蔓華。本作釐。俗从牙作𨤲。

又陟釐、紙名。『正字通』海藻本名陟釐。南越以海苔爲紙、其理倒側、故名側理紙。

又姓。『山海經』大荒之中有大人之國、釐姓。《註》按『國名記』帝鴻之後也。『氏族志』南北朝有釐豔。

又人名。『山海經』大皥生咸鳥、咸鳥生乗釐。《註》乗釐、是司水土。『又』重隂之山、有人食獸、曰季釐。

又與嫠同。『韓詩外傳』鄰之釐婦。『後漢・西羌傳』納其釐嫂。

又『集韻』『正韻』𠀤虛其切、音僖。福也。『前漢・文帝紀』祠官祝釐。《註》如淳曰、福也。師古曰、本作禧、假借用。

又『倉頡篇』祭餘肉也。『前漢・賈誼傳』上方受釐宣室。《註》徐廣曰、祭祀福胙也。應劭曰、祭餘肉也。

又與僖同。『史記・魯世家』季友奉子申入立之、是爲釐公。『史記・匈奴傳』齊釐公與戰於齊郊。《註》釐音僖。

又『史記・孔子世家』汪罔氏之君守封禺之山、爲釐姓。《註》釐音僖。

又『五音集韻』土來切、音胎。地名。邰或作釐、后稷所封也。

又同䅘。『前漢・劉向傳』貽我釐麰。《註》師古曰、釐、力之反、又音來。

又『字彙補』同萊。『戰國策』齊伐釐、莒。

又『集韻』落蓋切、音賚。賜也。『詩・大雅』釐爾圭瓚。沈重讀。

又『韻補』叶力至切、音利。『曹植頌』祇肅郊廟、明德敬忌。陽精積善、鍾天之釐。

部・劃數
里部・八劃

『集韻』同

部・劃數
里部・十四劃

『金石韻府』古文字。註詳十一畫。

異體字

或體。

音訓

(1) リ(漢、呉) 〈『廣韻・上平聲』里之切〉[lí]{lei4}
(2) キ(漢) 〈『集韻』虛其切、音僖〉[xī]{hei1}
(1) をさめる。たまふ。あたへる。
(2) さいはひ

解字

白川

形聲。聲符は𠩺。𠩺は穀物をうつ形で釐治の意があり、また福釐の意がある。

『説文解字』に家の福なりといふ。

詩・大雅・既醉釐爾女士(爾に女士をたまふ)は子孫を與へられる意。

收穫が天與のものであるやうに、すべて恩惠的に與へられるものをいふ。

金文に孷、𬥦などの字形があり、みな恩賚のものをいふ。

釐は農穀を治める意であるから、釐正、釐革の意がある。

藤堂

𠩺(鋤を持つ)と音符(筋目を立てて整理した村里の畑)の會意兼形聲。もと、鋤で畑にきちんと筋目を通すこと。

落合

𠩺に意符のを加へた釐も類似の字義で、これを(𠩺あるいは𠭰の甲骨文の)釋字とすることもある。

漢字多功能字庫

釐の初文は𠩺に作る。𠩺はに從ひ聲。手に杖を持ち麥を打つ形に象り、收穫が豐かで食が足りる、つまり福有ること、引伸して福祉(幸福、利益)の意。『説文解字』釐、家福也。(後略)

金文はを聲符に加へる。釐は𠩺の後起の字。𠩺、釐の甲骨文、金文は來に從ふ。金文はあるいはに從ふ。小篆に至つて訛變して未に從ふ。

金文での用義は次のとほり。

屬性

U+91D0
JIS: 1-78-58
𨤭
U+2892D
𨤺
U+2893A
𨤲
U+28932