哭 - 漢字私註

説文解字

哭
哀聲也。从省聲。凡哭之屬皆从哭。苦屋切。
哭部

説文解字注

哭
哀聲也。从吅、从獄省聲。苦屋切。三部。按許書言省聲、多有可疑者。取一偏旁、不載全字、指爲某字之省、若家之爲豭省、哭之从獄省。皆不可信。獄固从、非从。而取㹜之半、然則何不取㺉獨倏𤞞之省乎。竊謂从犬之字、如狡獪狂默猝猥𡜜狠獷狀獳狎狃犯猜猛犺㹤狟戾獨狩臭獘獻類猶卅字皆从犬、而移以言人。安見非哭本謂犬噑、而移以言人也。凡造字之本意有不可得者、如秃之从。用字之本義亦有不可知者、如家之从、哭之从犬。愚以爲家入《豕部》从豕宀、哭入《犬部》从犬吅。皆會意、而移以言人。庶可正省聲之勉強皮傅乎。《哭部》當廁《犬部》之後。凡哭之屬皆从哭。

康煕字典

部・劃數
口部・七劃

『廣韻』『集韻』『韻會』𠀤空谷切、音㲄。『說文』哀聲也。从吅、獄省聲。《徐鍇曰》哭聲繁、故从二口。大聲曰哭、細聲有涕曰泣。『玉篇』哀之發聲。『禮・檀弓』歌于斯、哭于斯。

音訓

コク(漢、呉) 〈『廣韻・入聲』空谷切〉[kū]{huk1}
なく

解字

白川

の會意。は祝禱を收める器の形。犬は犬牲。㗊と犬とに從ふものは器で明器。喪葬に用ゐる。哭は葬に臨んで哭泣することをいふ。

『説文解字』に哀しむ聲なり。吅に從ひ、獄の省聲なり。とするが、一犬を以ての省とすることはできない。また《段注》に、家がに從ふやうに、哭聲も犬に從ふとするが、犬は清めに用ゐる犧牲。

家も卜文は犬に從ひ、犬牲を以て清めて奠基とする建物で、卜辭に「上甲の家」といふやうに、もと祀廟をいふ語であつた。

哭の聲は、恐らくその哭泣の聲をとるものであらう。

藤堂

二つとの會意。大聲でなくこと。犬は大聲でなくものの代表で、口二つは、喧しい意を示す。

落合

會意。二から成る甲骨文が恐らく初文。配偶を亡くした老人の慟哭を表した字であらう。あるいは口は祭祀を象徵するかも知れない。甲骨文の異體字にはの異體である老女の象形に從ふ形もある。

甲骨文での用義は次のとほり。

  1. 祭祀名。《甲骨綴合集》169貞、在商哭。
  2. 地名。《合集》36946癸未王卜貞、旬亡禍。王占曰、引吉。在哭。

字形は古文で老がに置換されてをり、『説文解字』は獄の省聲とするが、字源から考へて鳴く動物の意味で用ゐられたものであらう。

漢字多功能字庫

に從ひ省聲。本義は、悲しみ、苦痛、あるいは氣持ちが昂ぶつて淚を流し、聲を發すること。『說文』哀聲也。(後略)『論語・述而』子於是日哭則不歌。

吊唁(弔問する、弔意を表す)を表す。『淮南子・說林訓』桀辜諫者、湯使人哭之。高誘注哭、猶弔也。

また悲しみ歌ふことを指す。『淮南子・覽冥訓』昔雍門子以哭見於孟嘗君。高誘注哭、猶歌也。見、猶感也。

屬性

U+54ED
JIS: 1-51-13