知 - 漢字私註

説文解字

知
詞也。从陟离切。
矢部

説文解字注

知
䛐也。《白部》曰、𥏼、識䛐也。从白从亏从知。按此䛐也之上亦當有識字。知𭧝義同。故𭧝作知。从口矢。識敏、故出於口者疾如矢也。陟离切。十六部。

康煕字典

部・劃數
矢部・三劃
古文
𢇻
𥎿

『唐韻』陟离切『集韻』『韻會』珍離切『正韻』珍而切、𠀤智平聲。『說文』詞也。从口从矢。《徐曰》知理之速、如矢之疾也。

又『玉篇』識也、覺也。『增韻』喩也。『易・繫辭』百姓日用而不知。『書・臯陶謨』知人則哲、能官人。

又漢有見知法。『史記・酷吏傳』趙禹與張湯論定諸律令、作見知法。《註》吏見知不舉劾爲故縱。

又相交曰知。『左傳・昭四年』公孫明知叔孫于齊。《註》相親知也。又『昭二十八年』魏子曰:昔叔向適鄭、鬷蔑一言而善、執手遂如故知。『楚辭・九歌』樂莫樂兮新相知。

又『爾雅・釋詁』匹也。『詩・檜風』樂子之無知。《註》匹也。

又『廣韻』欲也。『禮・樂記』好惡無節於內、知誘於外。

又猶記憶也。『論語』父母之年、不可不知也。

又猶主也。『易・繫辭』乾知大始。『左傳・襄二十六年』公孫揮曰、子產其將知政矣。『魏了翁・讀書雜抄』後世官制上知字始此。

又『揚子・方言』愈也。南楚病愈者、或謂之知。『黃帝素問』二刺則知。《註》上古以小便利腹中和爲知。

又藥名。『日華志』預知子、取綴衣領上、遇有蠱毒、則聞其有聲。

又地名。『左傳・昭二十七年』公徒敗于且知。

又『集韻』『韻會』知義切。『正韻』知意切。𠀤與同。『易・臨卦』知臨大君之宜。『荀子・修身篇』是是非非謂之知。

又姓。『左傳』晉有知季、卽荀首也。別食知邑、又爲知氏。

又『諡法』官人應實曰知。

部・劃數
广部・五劃

『海篇』古文字。註詳矢部三畫。

部・劃數
矢部・六劃

『類篇』古文字。註詳三畫。

音訓

(1) チ(漢、呉) 〈『廣韻・上平聲』陟離切〉[zhī]{zi1}
(2) チ(漢、呉) 〈『集韻』知義切、與智同〉[zhì]{zi3}
(1) しる。さとる(知覺)。つかさどる(知事)。

音(2)はに通ず。

解字

管見の限り出現はに遲れる。恐らく智の省略形で、用法により用字を區別したものであらう。

白川

の會意。矢には矢誓の意があり、誓約のときに用ゐた。口は祝詞を收める器。神掛けて誓ふことで、これによつて相互の意思を確認する意。

『説文解字』に詞なり、また字條に識る詞なりとあり、《段注》に知と智は同訓たるべしといふ。智は知に更にその誓書を加へた字。

『玉篇』に識るなり、覺るなりと訓ずるのは、動詞とする意であらう。

左傳・襄二十六年子產其將知政矣(子產、其れ將に政を知らんとす)は司る意。知事、知縣のやうに用ゐる。

藤堂

の會意。矢のやうに眞つ直ぐに物事の本質を言ひ當てることを表す。

は知の語尾がŋに轉じた言葉で、もと耳も口も正しく、物事を當てる智慧者のこと。また是(眞つ直ぐ)と近緣。

落合

知は、東周代のの略體(矢と口をのみ殘した形)が起源で、秦代に配置が(上下から左右に)變化した。

漢字多功能字庫

金文の上部は、下部はに從ふ。矢は聲符。構形初義に二説ある。一説には知理之速、如矢之疾也(徐鍇)、矢のやうに速やかに事理を掌握することを表す、といふ。もう一説には、口と矢に從ふのは、事情を速やかに理解し、一矢で要點を射拔くやうに話すことを表すといふ。《段注》識敏、故出於口者疾如矢也。

按ずるに古文字の構成要素の口は飾筆に屬し、實質の意義はない。などのやうに、知字も同じかも知れない。

金文では知曉(知つてゐる、分つてゐる)、懂得(分かる、理解する)を表す。䣄殽尹鼎以知卹(洫)𬢾(耨)は、百姓に水利や耕作を理解させるの意。

『韻會』の引く『說文』に从口、矢聲。とする。

このほか、金文ではを多く知の通假字とする。

屬性

U+77E5
JIS: 1-35-46
當用漢字・常用漢字
𢇻
U+221FB
𥎿
U+253BF

關聯字

知や智に從ふ字を漢字私註部別一覽・口部・知枝に蒐める。