荷 - 漢字私註

説文解字

荷
芙蕖葉。从聲。
艸部

説文解字注

荷
扶渠葉。今『爾雅〔釋草〕』曰、其葉蕸。《音義》云、衆家無此句。惟郭有。就郭本中或復無此句。亦竝闕讀。玉裁按、無者是也。高注『淮南』云、荷、夫渠也。其莖曰茄、其本曰蔤、其根曰藕、其華曰夫容、其秀曰䓿萏、其實蓮、蓮之藏者菂、菂之中心曰薏。大致與『爾雅』同。亦無其葉蕸三字、葢大葉駭人。故謂之荷。大葉扶搖而起。渠央寬大。故曰夫渠。『爾雅』假葉名其通體。故分別莖華實根各名而冠以荷夫渠三字。則不必更言其葉也。荷夫渠之華爲䓿萏。䓿萏之葉爲荷夫渠。省文互見之法也。或疑闕葉而補之。亦必當曰其葉荷。不嫌重複。無庸肊造蕸字。又案屈原、宋玉、楊雄皆以芙蓉與芰荷對文。然則芰者蔆之葉。蔆者芰之實。蔆之言棱角也。芰之言支起也。从艸何聲。胡哥切。十七部。

康煕字典

部・劃數
艸部・七劃

『唐韻』胡歌切『集韻』『韻會』『正韻』寒歌切、𠀤音何。『爾雅・釋草』荷、芙渠。《註》別名芙蓉、江東人呼荷。『詩・鄭風』隰有荷華。《傳》荷華、扶渠也。又『陳風』有蒲與荷。《箋》芙渠之莖也。『埤雅』荷、總名也、華葉等名具衆義、故以不知爲問、謂之荷也。

又『本草』薄荷、莖、葉似荏而長。

又地名。『吳志・裴松之傳』吳圍成陽都尉張喬于揚荷橋。又『集韻』居何切、音歌。水名、與菏同。註詳菏字。

又『廣韻』胡可切。『左傳・昭七年』其子弗克負荷。《註》荷、擔也。『論語』有荷蕢而過孔氏之門者。《疏》荷、擔揭也。『晉書・輿服志』八座尚書荷紫、以生紫爲袷囊、綴之服外。

又通。『詩・小雅』何蓑何笠。《傳》揭也。『釋文』河可反。

又『國語補音』負荷之荷亦音河。『嵆康詩』昔蒙父兄祚、少得離負荷。因疏遂成嬾、寢跡此山阿。『潘岳・詩』位同單父邑、愧無子賤歌、豈能陋微官、但恐沗所荷。

又通。『前漢・酈食其傳』握齱好荷禮。『師古註』荷與苛同、苛細也。

又怨怒聲。『通鑑』梁武帝口苦、索蜜不得、再曰荷荷。

音訓

(1) カ(漢) 〈『廣韻・下平聲・歌・何』胡歌切〉[hé]{ho4}
(2) カ(漢) 〈『廣韻・上聲・哿・荷』胡可切〉[hè]{ho6}
(1) はす
(2) になふ。に。

薄荷は音(1)に讀む。

解字

に從ひ聲。蓮、蓮の葉を指す。

また、儋何の何の繁文に用ゐる。

白川

形聲。聲符は

『説文解字』に芙蕖の葉なりと見える。

藤堂

と音符(人が直角に荷物を載せたさま)の會意兼形聲。莖の先端に直角に乘つたやうな形をしてゐる蓮の葉のこと。

になふの意はもと何と書かれたが、何が疑問詞に使はれたため、荷がになふ意に用ゐられるやうになつた。

落合

の甲骨文はを背負ふ形で、字義は荷に當たる。

荷は篆文で作られた字形で、を意符とし、原義は蓮の葉。これを假借して何の原義の「になふ」の意味に用ゐる。白川は『論語』に據り、「になふ」が原義で、蓮の葉を轉用とするが、東周代の出土資料には荷の字形が確認できないので、當初は「何」だつたものが後代の版本で「荷」に改められたものであらう。

漢字多功能字庫

に從ひ聲。本義は蓮、多年生の水生宿根草本植物。『詩・陳風・澤陂』彼澤之陂、有蒲與荷。

また肩に擔ぐことを表す。『逸周書・克殷』及期、百夫荷素質之旗于王前。

また(仕事などを)擔ふことを表す。漢・張衡〈東京賦〉荷天下之重任。

屬性

U+8377
JIS: 1-18-57
當用漢字・常用漢字