見 - 漢字私註

説文解字

見
視也。从。凡見之屬皆从見。古甸切。
見部

説文解字注

見
視也。析言之有而不見者、而不者。渾言之則視與見、聞與聽一也。《耳部》曰、聽、聆也。聞、知聲也。此析方之。从儿目。用目之人也。會意。古甸切。十四部。凡見之屬皆从見。

康煕字典

部・劃數
部首

『唐韻』『廣韻』古甸切『集韻』『類篇』『韻會』『正韻』經電切、𠀤堅去聲。『說文』視也。从目从儿。『易・乾卦』飛龍在天、利見大人。《疏》德被天下、爲萬物所瞻覩。『書・立政』灼見三有俊心。『禮・王制』問百年者就見之。『周禮・春官』大宗伯以賔禮親邦國、春見曰朝、夏見曰宗、秋見曰覲、冬見曰遇、時見曰會、殷見曰同。《註》此六禮者、以諸侯見王爲義。『史記・五帝紀』舜擇吉月日、見四嶽、諸牧、班瑞。『前漢・東方朔傳』未得省見。《註》言不爲所拔識也。

又『通鑑』漢武帝元光五年、張湯、趙禹定律令、務在深文、作見知法。詳矢部字註。

又姓。出『姓苑』。

又『唐韻』胡甸切『集韻』『韻會』『正韻』形甸切、𠀤賢去聲。『廣韻』露也。『易・乾卦』見龍在田。《疏》陽氣發見、故曰見龍。『儀禮・士相見禮』某也、願見無由達。《註》凡𤰞于尊曰見、敵而曰見、謙敬之辭也。『史記・淮隂侯傳』情見勢屈。《師古曰》見、顯露也。

又薦達也。『左傳・昭二十年』齊豹見宗魯於公孟。《註》見、薦達也。謂爲之紹介、猶論語云、從者見之也。

又見在也。『史記・項羽紀』軍無見糧。《註》無見在之糧。『前漢・高五王傳』文帝封悼惠王子列侯見在者六人爲王。『集韻』俗作現。

又『集韻』日朝也。『詩・小雅』見睍曰消。《箋》韓詩作曣、云、見、日出也。

又『集韻』居莧切、音襇。棺衣也。『禮・雜記』實見閒、而後折入。《疏》一解云、鄭合見閒二字共爲、苦辯反。『集韻』或作梘。

又雜也。『禮・祭義』建設朝事、燔燎羶薌、見以蕭光。《註》見當爲覸、音閒厠之閒。孔穎達云、覵、謂雜也。

異體字

簡体字。

音訓・用義

(1) ケン(漢、呉) 〈『廣韻・去聲・霰・見』古電切〉[jiàn]{gin3}
(2) ゲン(呉) ケン(漢) 〈『廣韻・去聲・霰・見』胡甸切〉[xiàn]{jin6}
(1) みる。みえる。まみえる。れる。られる。
(2) あらはれる。まのあたり。

音義(2)にはまた現を用ゐる。

解字

白川

象形。目を主とした人の形に象る。卜文に耳を主とした人の形があり、それはの初文。見、聞は視聽の器官を主とする字であるが、見、聞の對象は、靈的なものに向けられてゐた。

見は『説文解字』に視るなりとあり、るとは神()を見ること。

新しい父母の位牌を拜することを親といふ。

『詩』には(見めぐらす)、『萬葉集』には見る見れど飽かぬといふ定型的な表現があつて、その對象と靈的な關係を持つことを意味する。

藤堂

の會意で、目立つものを人が目に留めること。

また目立つて見えるの意から、現れるの意ともなる。

落合

會意。から成り、人が目で見ることを表してゐる。異體字にはに從ふものがあり、別字とする説もあるが、甲骨文では明確な使ひ分けは見られない。

甲骨文での用義は次のとほり。

  1. みる。目視する。偵察する。《天理大學附屬天理參考館 甲骨文字》168貞、勿呼見𢀛方。
  2. 會ふ。接見する。謁見する。《合補》1901・貢納記錄甲寅、犬見[⿳匕凶十]、示七屯。
  3. 祭祀名。この場合は借りて字音が近い獻の意味とする説もある。《殷墟花園莊東地甲骨》427戊寅卜、翌己、子其見玉于上甲、泳、用。
  4. 地名またはその長。殷に敵對して見方と呼ばれることもある。また殷金文の圖象記號にも見える。
    • 《合集》7103・貢納記錄見入九、以。
    • 《屯南》2328翌日、王其令右旅眔左旅插見方、[屮戈]、不雉衆。

漢字多功能字庫

甲骨文、金文は、に從ふ。卩は跪坐する人の形に象り、その目を際立たせる。見ることを表す。

甲骨文、金文の見とには區別があり、中山王方壺の一字形の例外を除けば、見は目と卩に從ひ人の形を跪坐の姿勢に作り、視は目とに從ひ人の形を立つ姿勢に作るところで分別する。郭店楚簡《老子丙》視之不足見の視、見はまさにこの二形に作る。

【補註】落合は、漢字多功能字庫が見とする甲骨文、視とする甲骨文のいづれも見の甲骨文として擧げる。

甲骨文での用義は次のとほり。

金文での用義は次のとほり。

段注に析言之有視而不見者、聽而不聞者。渾言之則視與見、聞與聽一也。といふ。

屬性

U+898B
JIS: 1-24-11
當用漢字・常用漢字
U+89C1

關聯字

見に從ふ字を漢字私註部別一覽・目部・見枝に蒐める。