稽 - 漢字私註

説文解字

稽部稽字條

畱止也。从𥝌从尤、旨聲。凡稽之屬皆从稽。
稽部

説文解字注

畱止也。玄應書引畱止曰𥠻。高注『戰國策』曰、畱其日、𥠻畱其日也。凡𥠻畱則有審愼求詳之意。故爲𥠻攷。禹會諸矦於會𥠻。𥠻、計也。稽攷則求其同異。故說『尙書』稽古爲同天。𥠻、同也。如流求也之例。从𥝌从尤。取乙欲出而見閡之意。㫖聲。古兮切。十五部。凡𥠻之屬皆从𥠻。

首部䭬字條

あるいはに作る。
下首也。从𩠐旨聲。
首部

説文解字注

䭬首也。三字句。各本作、下首也。亦由妄人不知三字句之例而改之。今正。頓首䭫首爲『周禮〔春官〕』九拜之二大耑。在漢末時、上書言事者必分別其辭。則二者形狀之不同。所用行禮之分別。許時人人知之。故『小雅〔楚茨〕』、『大雅〔江漢〕』稽首、毛皆無傳。許亦但曰此篆謂䭫首、此篆謂頓首而巳。『周禮』䭫首、本又作稽。許沖〔許愼の子〕上書、前作稽首、後作䭫首。恐今之經典轉寫譌亂者多矣。鄭曰、䭫首、句拜頭至地也。頓首、拜頭叩地也。葢䭫首者、拱手至地。頭亦至於地。而顙不必觸地。與頓首之必以顙叩地異矣。䭫首者、稽遲其首也。頓首亦曰䭫顙。䭫顙者、稽遲其顙也。此吉凶之大辨也。今人作名刺必曰頓首拜。是以凶禮施於賓禮、嘉禮。且頓首而拜、非卽䘮禮之稽顙而後拜乎。亦議禮者所當知矣。詳見『𩑋部』『手部』。古者吉、賓、嘉皆䭫首。無言頓首者。䘮則䭫顙。無言䭫首者。以是知䭫顙卽頓首也。諸侯於天子䭫首。大夫、士於諸侯䭫首。大夫、士於鄰國之君䭫首。家臣於大夫不䭫首。以避君也。君之於臣拜手。君於臣䭫首者、重其臣也。洛誥云、成王拜手稽首是也。从𩠐旨聲。康禮切。十五部。按此下不云𩑋古文䭫者、巳別出之爲部首矣。

康煕字典

部・劃數
禾部十劃
古文
𩠜

『廣韻』古奚切『集韻』『韻會』堅奚切『正韻』堅溪切、𠀤音雞。考也、計也、議也、合也、治也。『書・堯典』曰若稽古帝堯。『易・繫辭』於稽其類。《註》考也。『禮・緇衣』行必稽其所敝。《註》猶考也、議也。又『儒行』古人與稽。《註》稽猶合也。古人與合、則不合於今人也。『周禮・天官・小宰』聽師田以𥳑稽。《註》𥳑、閱也。稽、計也。合也。合計其士之卒伍、閱其兵器、爲之要簿也。『前漢・賈誼傳』婦姑不相說、則反脣而相稽。《註》相與計較也。

又留止也。『說文・徐註』禾之曲止也、尤者異也。有所異處、必稽考之、卽遲留也。『前漢・食貨志』蓄積餘贏、以稽市物。《註》稽、貯滯也。『後漢・馬援傳』何足久稽天下士。

又至也。『莊子・逍遙遊』大浸稽天而不溺。

又滑稽。『史記・樗里子傳』滑稽多智。《註》滑、亂也。稽、同也。辯捷之人、言非若是、言是若非、能亂同異也。一云酒器、可轉注、吐酒不已、俳優之人、詞不窮竭、如滑稽之吐酒不已。

又『吳語』𢹬鐸拱稽。《註》𢹬、抱也。拱、執也。稽、棨戟也。

又山名。『周禮・夏官・職方氏』揚州山鎭曰會稽。

又姓。『呂氏春秋』秦有賢者稽黃。

又『廣韻』康禮切『集韻』『韻會』遣禮切『正韻』祛禮切、𠀤音啓。下拜首至地。『書・舜典』禹拜稽首。《傳》首至地、臣事君之禮。『周禮・春官・大祝』辨九拜、一曰稽首。『禮・檀弓』拜稽顙、哀戚之至隱也。《註》稽顙者、觸地無容。

『說文』稽从𥝌从尤、旨聲、自爲部。

部・劃數
首部六劃

『集韻』古作𩠜。『前漢・諸侯王表』厥角𩠜首。『玉篇』亦書作。『周禮・春官・大祝』辨九𢷎、一曰䭬首。《註》䭫音啟、本又作稽。

部・劃數
首部六劃

『玉篇』同𩠜

廣韻

首至地也。

異體字

或體。

音訓・用義

(1) ケイ(漢) 〈『廣韻・上平聲・齊・雞』古奚切〉[jī]{kai1}
(2) ケイ(漢) 〈『廣韻・上聲・薺・啓』康禮切〉[qǐ]{kai2}
(1) とどめる。とどまる(稽留)。かんがへる(稽疑、稽古)。くらべる。

音(2)は「稽首」「稽顙」など、ぬかづく意に用ゐる。䭬、䭫、𩠜はこの音義にのみ用ゐる。

解字

白川

𥝌と尤と旨(𩒨の省文)の會意。

『説文解字』に留止するなりと訓じ、稽留の意とする。また字を𥝌、尤に從ふとするが、その形義を説く所がない。

𥝌形は軍門の表木、いはゆる兩禾軍門の象で、陣營の前に、上部に橫木をつけた木を立てた。古く「和表」「桓表」といひ、のちの華表の原型をなすもの。聖所を守る榜示の木であるから、犬牲を加へた。尤は死したる犬の形。旨は詣、𩒨の初文。旨は祝禱して神靈の降下する形。神のいたるをいふ。それを迎へ拜するのは𩒨。參詣の詣の初文。

金文には稽首の字を𩒨首に作る。のち稽首、稽顙のやうに稽を用ゐる。神を迎へて神意にはかるので稽考の意となり、また稽古のやうに用ゐる。

𩒨

旨との會意。

『説文解字』に䭫に作り、下首なりと訓じ、旨聲とする。

金文は𩒨に作り、𩒨首のやうに用ゐる。

旨は祝禱の器を示すに從ひ、その上に靈の下降する意で、(招)、(格)と同じ意象の字。頁は禮容を整へた人で、その靈を拜する意。故に䭫よりも𩒨が字義に合ふ。

𩒨は稽の初文。稽は形聲の字。

『玉篇』に周禮(春官)大祝、九拜を辨ず。一に曰く、䭫首。(鄭)玄曰く、首、地に至ると。今、稽に作る。と見える。九拜の二に頓首があり、《注》に頭、地を叩くなり、また五に吉拜があり、拜して稽顙するをいふ。

藤堂

もと(作物)と音符(長く蓄へる)の會意兼形聲で、久しく留め置いた收穫物。

のち計(合はせて計る)に當て、次々と考へ合はせること。

と音符詣(いたる)の略體の會意兼形聲。

漢字多功能字庫

稽の金文を𩒨に作り、に從ひ旨聲。頁は人の形に象り、頭部を強調してゐる。義符となし、あるいは省いて形となす。あるいは頁や首ではなくに從ひ(羌白簋)、頭を手につけるのと關はりがある。本義は叩頭。

金文に多く「𩒨(稽)首」の語が見える。上古の叩頭して地に至るの禮のこと。師酉簋師酉拜𩒨(稽)首。具體的な情況に二説ある。一説に、先に地に跪き、兩手を胸の前で拱き、その後に手に額づき、再び身を俯せて地に額づく、といふ(張光裕)。一説に、兩手を拱きて地につけ、手に額づき、地には觸れない、といふ。『荀子・大略』平衡曰拜、下衡曰稽首、至地曰稽顙。楊倞注稽首、亦頭至手、而手至地、故曰下衡。稽顙、則頭觸地。

屬性

U+7A3D
JIS: 1-23-46
常用漢字(平成22年追加)
𩠜
U+2981C
U+4B6B
U+4B6C
𥠻
U+2583B

關聯字

稽に從ふ字

稽聲の字