語 - 漢字私註

説文解字

語
論也。从聲。
言部

説文解字注

語
論也。此卽毛鄭說也。語者、禦也。如毛說、一人辯論是非謂之語。如鄭說、與人相荅問辯難謂之語。从言吾聲。魚舉切。五部。

康煕字典

部・劃數
言部七劃

『唐韻』魚舉切『集韻』偶舉切『韻會』魚許切『正韻』偶許切、𠀤魚上聲。『說文』論也。《徐曰》論難曰語。語者、午也。言交午也。吾言爲語、吾、語辭也。言者直言、語者相應答。『釋名』敘也。敘己所欲說也。『易・頤卦』君子以愼言語、節飮食。『詩・大雅』于時言言、于時語語。《疏》直言曰言、謂一人自言。答難曰語、謂二人相對。『禮・雜記〔下〕』三年之喪、言而不語。《註》言、自言己事也。語、爲人論說也。『家語』孔子之郯、遭程子于塗、傾蓋而語終日。

又國名。『別國洞冥記』勒畢國人長三寸、有翼、善言語戲笑、因名善語國。

又『廣韻』牛倨切『集韻』牛據切『韻會』『正韻』魚據切、𠀤魚去聲。『廣韻』告也。『增韻』以言告人也。『左傳・隱元年』公語之故。『論語』居、吾語女。

又敎戒也。『魯語』主亦有以語肥也。

又地名。『前漢・閩粵王傳』錢唐榬終古斬徇北將軍爲語兒侯。《孟康註》語兒、越中地也。今吳南亭是。《師古曰》語、或作

集韻

語

四聲・韻・小韻
上聲・語第八・語
反切
偶舉切

偶舉切。

『說文』論也。

古作語

文二十三。

異體字

簡体字。

音訓

(1) ゴ(呉) ギョ(漢) 〈『廣韻・上聲・語・語』魚巨切〉[yǔ]{jyu5}
(2) ギョ(漢) ゴ(呉) 〈『廣韻・去聲・御・御』牛倨切〉[yù]{jyu6}
(1) かたる。かたらふ。ことば。
(2) つげる

解字

白川

形聲。聲符は。吾にの意がある。言語と連稱し、は立誓による攻撃的な言語、語は防禦的な言語。

『説文解字』に論なりとあり、是非を論ずる意とし、また『禮記・雜記下』(上揭)言ひて語らずとは、人と論説しない意。

詩・大雅・公劉』は都城の經營を歌ふ詩であるが、その地を定めて旅寢をし、于時言言、于時語語。(ここいて言言し、時に于いて語語す。)といふ句がある。これは『周禮・地官・土訓』や『同・地官・誦訓』などの傳へる呪誦を以て、地を祓ふことに當たるものであらう。このやうな呪誦は、本邦の「風俗くにぶりの諺」に類するもので、地靈に呼び掛けるものであつた。

言語はもと呪的な應對の語であつたが、のち一般の語をいふ。

藤堂

と音符の會意兼形聲。吾はと音符(交叉する)から成り、甲と乙が交叉して話し合ふこと。のち、吾が我とともに一人稱代名詞に轉用されたので、語がその原義を表すこととなつた。

落合

東周代に初出。を意符、を重ねたものやを聲符とする形聲字。「かたる」や「ことば」の意味であり、東周代に增加した思想家との關聯が深い字。

吾は互に通じ、交互に發言する意の亦聲字とする説があるが、吾字それ自體には「たがひ」の意はなく、亦聲とは認め難い。

藤堂は吾を語の初文とするが、殷〜西周代には吾字を「かたる」意に用ゐる例はなく、これも認め難い。

白川はに通じて「防禦的な言語」とし、言を「攻擊的な言語」とするが、そのやうな明確な使ひ分けは見られない。

漢字多功能字庫

金文はに從ひ。吾はあるいはに從はず、二つのに從ふ形。上古、五、吾、語は同音で、五、吾いづれも語の聲符。本義は言語。

金文での用義は次のとほり。

屬性

U+8A9E
JIS: 1-24-76
當用漢字・常用漢字
U+8BED