從 - 漢字私註

説文解字

从部从字條

从
相聽也。从二。凡从之屬皆从从。
从部

从部從字條

從
あるいは𨑢につくる。
隨行也。从、从、从亦聲。
从部

康煕字典

部・劃數
人部二劃

『說文』本字。《陸佃曰》二人向陽爲从、向隂爲比。士之趨嚮、不可不愼。

部・劃數
彳部八劃

『廣韻』疾容切『集韻』『韻會』『正韻』牆容切、𠀤俗平聲。『說文』本作。相聽也。『書・益稷』汝無面從。『說命』后從諫則聖。

又『廣韻』就也。『易・乾卦』雲從龍、風從虎。『禮・曲禮』謀于長者、必操几杖以從之。

又『爾雅・釋詁』自也。『詩・小雅』伊誰云從。《箋》言譖我者、是言從誰生乎。『晉書・明帝紀』不聞人從日邊來。

又姓。『廣韻』漢有將軍從公。『何氏姓苑』今東筦人。

又『廣韻』『集韻』𠀤七恭切、促平聲。『廣韻』從容也。『正韻』從容、舒緩貌。『書・君𨻰』從容以和。『禮・中庸』從容中道。

又『集韻』書容切、音舂。從容、久意。『禮・學記』待其從容、然後盡其聲。

又『集韻』將容切、音蹤。東西曰衡、南北曰從。『詩・齊風』衡從其畝。『史記・蘇秦傳』從合則楚王、衡成則秦帝。

又與蹤通。『史記・聶政傳』重自𠛬以絕從。『前漢・張湯傳』從迹安起。

又『集韻』祖動切、音總。太高貌。『韻會』髻高也。『禮・檀弓』尔無從從爾。

又『集韻』鋤江切、浞平聲。義同。

又『唐韻』慈用切『集韻』『類篇』『韻會』才用切、𠀤俗去聲。『說文』本作𨑢。隨行也。『詩・齊風』其從如雲。『論語』從我者、其由與。

又『韻會』從天子曰法從、侍從。『書・囧命』其侍御僕從。『前漢・揚雄傳』趙昭儀、每上甘泉常法從。《註》師古曰、以法言當從耳。一曰從、法駕也。『後漢・百官志』羽林郞掌宿衞侍從。

又『集韻』『類篇』𠀤似用切、音頌。同宗也。『爾雅・釋親』父之世父、叔父爲從祖、祖父。父之世母、叔母爲從祖、祖母。『釋名』從祖父母、言從己親祖別而下也、亦言隨從己祖以爲名也。

又『集韻』子用切。與縱同。『禮・曲禮』欲不可從。『論語』從之純如也。

部・劃數
辵部四劃

『正字通』同

異體字

いはゆる新字体。

音訓・用義

(1) ジュ(呉) ジュウ(呉) ショウ(漢) 〈『廣韻・上平聲・鍾・樅』七恭切〉
(2) ジュ(呉) ジュウ(呉) ショウ(漢) 〈『廣韻・去聲・用・從』疾用切、又才容切〉
(1) したがふ。ききいれる。より。から。ゆるやか(從容)。たて。あと。
(2) したがひゆく(隨從)。つきそひ(從者)。ほしいまま。はなつ。

官位の正從(從一位など)は音(2)に讀む。

藤堂は親族の稱(從兄など)を音(2)に讀むとする。

解字

初文は从、が人に從ふ形。從はその繁文。

白川

从は二人相前後する形で、從の初文。從は从聲。

卜文、金文に从に作り、從はその繁文。服從、從事の意に用ゐる。

藤堂

从は、前の人の後に後ろの人が附き隨ふさま。

從は、(あし)と(ゆく)と音符从の會意兼形聲で、附き隨ふこと。

甲の後に乙が從へば長い縱列となるので、長く縱に伸びる意となつた。

落合

甲骨文は从につくり、會意。が人を從へてゐる、あるいは人が人に從ふ樣子を表す。

甲骨文での用義は次のとほり。

  1. したがへる。引き連れる。《合集補編》1885貞、王從望乘、伐下危。
  2. したがふ。隨行する。《合集補編》4152貞、叀多子族令、從廩、蜀戴王使。
  3. より。よりす。起點を示す助辭。假借か派生義かは不明。《屯南》1094乙丑卜、王往田、從東、禽。
從雨
神が雨を齎すこと。《合集》9177貞、今丙戌、烄[⿰女才]、有從雨。

金文で進行を象徵するを加へて繁文の從になつた。甲骨文にも例數は少ないが彳や止を加へた字形がある。

からなる異體字はに當たり、後に分化したが、甲骨文では從と區別がなく、同じ意で使はれてゐる。

漢字多功能字庫

甲骨文、金文は、二に從ひ、二人が前後に相從ふ形を象り、從の初文。本義は附き隨ふこと。二人は大多數が左を向き、右を向く例は只一例であるが、古文字に左右の區別はない。小篆は左向きに統一された。今日では从は從の簡略化するときの形とされるが、从は古くから既にあり、從は从に(+)を加へたものに他ならない。

甲骨文での用義は次のとほり。

金文での用義は次のとほり。

甲骨文、金文は、と从に從ひ、金文はあるいはに從ふ。从は從の初文。从の本義は附き隨ふこと。從は路途(道、道程)の上で隨ふことを強調し、故に辵に從ふ。

甲骨文での用義は不詳。

金文での用義は次のとほり。

屬性

U+4ECE
JIS: 1-48-26
U+5F9E
JIS: 1-55-47
人名用漢字
𨑢
U+28462
U+5F93
JIS: 1-29-30
當用漢字・常用漢字

関聯字

从に從ふ字

從聲の字