百 - 漢字私註

説文解字

百
十十也。从。數、十百爲一貫。相章也。
𪞶部
百
古文百从

説文解字注

百
十十也。从一白。博陌切。五部。數。句。十十爲一百。百、白也。白、告白也。此說从白之意。數長於百。可以䛐言白人也。各本脫此八字。依『韵會』補。十百爲一貫。貫章也。此類舉之。百白㬪韵。貫章雙聲。章、明也。數大於千。盈貫章明也。各本下貫譌相。依『韵會』正。
百
古文百。自白同。

康煕字典

部・劃數
白部(一劃)
古文
𦣻

『唐韻』『集韻』『韻會』『正韻』𠀤博陌切、音伯。『說文』十十也。从一白。數十十爲一百。百、白也。十百爲一貫。貫、章也。《徐曰》章、以詩言之一章也。百亦成數。會意字。『前漢・律歷志』紀于一、協于十、長于百、大于千、衍于萬。

又眾多也。『易・繫辭』百官以治。『書・堯典』平章百姓。『後漢・明帝紀』百蠻貢職。

又百里、劒名。百錬、刀名。見『古今注』。

又百鷯。鳥名。見『大戴禮』。

又百足、蟲名。『博物志』百足、一名馬蚿。

又百合、草名。『譚子化書』山蚯化爲百合。

又地名。隋百泉縣、唐百文縣。

又國名。『北史・百濟傳』百濟國、馬韓之屬、在遼東之東。

又姓。百豐、列子弟子。又複姓。『風俗通』秦百里奚之後、其先虞人、家于百里、因氏焉。

又『韻會』『正韻』𠀤莫白切、音陌。勵也。『左傳・僖二十八年』距躍三百、曲踴三百。《註》言每跳皆勉力爲之。

又唐謂行杖人曰五百。『後漢・曹節傳註』五百字、本爲伍佰。伍、當也。佰、道也。使之導引、當道陌中、以驅除也。『續志』五百赤幘絳褠、卽今行鞭杖者、亦作伍佰。

又叶伯各切、音博。『前漢・季布傳』得黃金百、不如得季布諾。『易林』營城洛邑、周公所作。世建三十、歷年八百。

又叶畢吉切、音必。『歐陽修・潭園詩』一華聊一醉、盡醉猶須百。而我病不㱃、對花空嘆息。

首字條に揭出する。

音訓

(1) ヒャク(呉) ハク(漢) 〈『廣韻・入聲・陌・伯』博陌切〉[bǎi/​bó]{baak3}
(2) バク 〈『韻會』『正韻』莫白切、音陌、入聲陌韻〉{mak6}
(1) もも。ももたび。おほい。
(2) はげむ

解字

白川

指示。聲符であるの上に、一橫線を加へて、數の百を示す。卜文では白の上にを加へて二百、を加へて三百とする。

卜文の字形には、白の中央に鼻竅を示すらしい△を加へてゐる。白が頭頂を示すのと、幾らか異なる。説文解字が古文の形を擧げ、古文百はに從ふとするのは、その古い形を誤り傳へたものであらう。

百は單位の成數(補註: 端數のない數)であるから、全體や多數を意味することが多い。

藤堂

形聲。と音符の合文で、もと一百のこと。白は單なる音符で、白い意とは關係ない。

落合

殷代にはと發音が同じであつたため、字を假借し、かつ數字のを加へた合文で、一百の意を表した字。甲骨文には一を加へない異體も見られる。

甲骨文では二百以上についても加へる數を增して、⿱二白、⿱三白、⿱五白のやうに表す。

甲骨文での用義は次のとほり。

  1. 100。十の十倍。《天理大學附屬天理參考館 甲骨文字》76甲子卜㱿貞、勿改羌百。十三月。
三百射 (⿱三白射)
三百人の射擊部隊。射三百(⿱三白)とも稱される。

東周代の齊、晉などに別系統、由來不明の、の略體に近い字形が見えるが、後代には遺らず。

漢字多功能字庫

甲骨文、金文は、に從ひ聲、一と白の合文。古代、白を借りて數詞の百を表し、白に一を加へて一百を表した。後に古人の一百と讀む習慣の一字を省略したことで、一百の合文を單字の百とした。本義は千百の百。

百字の中にまたを加へ、白と百を區分する。商代後期、白字の上にを加へて二百の合文とし、を加へて三百の合文とした。于省吾、季旭昇は、白の上に加へた一は飾筆で、合文ではないとする。

また、戰國文字では百の字形が二種類ある。一つは兩周の文字を承け、一に從ひ白聲の形、あるいは字の上に一劃飾筆を加へる形。もう一つは、百の倒文あるいは白が變化した形。《古璽彙編》4743、4745、4746の字形。この字は後に變化して《古璽彙編》3280の形となつた。

甲骨文、金文での用義は次のとほり。

璽印では多く吉語の中に見える。「百年」、「百金」など。

郭店竹簡〈窮達以時〉簡7白(百)里轉鬻五羊は、百里奚の事を述べる。『說苑・雜言』百里奚自賣取五羊皮。簡文の「白」は讀んで百となす。

屬性

U+767E
JIS: 1-41-20
當用漢字・常用漢字
𦣻
U+268FB

関聯字

百に從ふ字を漢字私註部別一覽・白部・百枝に蒐める。