草 - 漢字私註

説文解字

また𦳱につくる。
草斗、櫟實也。一曰象斗子。从聲。
艸部

康煕字典

部・劃數
艸部六劃
古文

『唐韻』采老切『集韻』在早切『韻會』『正韻』采早切、𠀤音懆。『說文』作、百卉也。經典相承作草。『書・禹貢』厥草惟繇。『詩・小雅』在彼豐草。『禮・祭統』草艾則墨、未發秋政、則民弗敢草也。《註》草艾、謂艾取草也。『論衡』地性生草、山性生木。『大戴禮・易本命』食草者善走而愚。

又『史記・陳丞相世家』惡草具進。《註》草、粗也。

又『篇海』苟𥳑曰草草。『春秋・隱四年』公及宋公遇于淸。《註》遇者草次之期、二國各𥳑其禮也。《疏》草次、猶造次也。

又『詩・小雅』勞人草草。《傳》草草、勞心也。

又『易・屯卦』天造草昧。《疏》言天造萬物于草創之始。

又『前漢・淮南王傳』常召司馬相如等視草廼遣。《註》謂爲文之草藳。『百官志註』一曹有六人、主作文書起草。『後漢・𨻰寵傳』蕭何草律。

又『魏志・衞覬傳』覬好古文、隷、草無所不善。

又姓。『正字通』草中。

又『韻補』脞五切、徂上聲。『徐幹・齊都賦』焚梗林、燎圃草。

又此苟切、凑上聲。『邊讓・章華賦』攜西子之弱腕兮、援毛嬙之素肘。形便纖以嬋娟兮、若流風之靡草。

又『說文』自保切、音皁。草斗、櫟實也、一曰橡斗子。《徐鉉曰》今俗以此爲艸木之艸、別作皁字、爲黑色之皁。案櫟實可染白爲黑、故曰草、通用。今俗書或从白从十、或从白从七、皆無意義。

部・劃數
艸部九劃

『集韻』本字。『韻會』艸當作𦳱、隷省作草。

音訓・用義

サウ
くさ。あらい。はじめ。はじめる(草創)。つくる。したがき(草稿)。いやしい。

解字

白川

形聲。聲符は

説文解字に草斗、櫟の實なり。とし、また一に曰く、斗のに象る。とする。櫟の實で染めて黑色となるを皁といふが、その字と解するものであらう。

草はの俗字。また草昧、草稿、草書、草次などの意に用ゐる。

藤堂

と音符の形聲。

原義は櫟、または、はんのきの實であるが、のち、原義を皁字で表し、草字を古くからに當てて代用する。

落合

甲骨文はにつくる。

草の字體は古文で出現してをり、當初は茻に聲符のを加へた形聲字。(補註: の形。この形の古字を白川が『字通』に擧げてゐる。康煕字典が同じ形の字を採錄するも、音義未詳。) 篆文で茻がに簡略化された。

漢字多功能字庫

に從ひ聲。本義は櫟の實。艸は草本の草の本字。『玉篇・艸部』草、同艸。傳世古書には多く草を借りて艸となし、草本植物を表す。現在、艸は既に草の異體字として一緒になつてをり、それは恐らく人々が形聲字を表意字(特に會意の表意字)で代替するのを好む心理と關はりがある、といふ。

傳世典籍や簡帛文字では草本植物の義に用ゐる。『論語・陽貨』多識於鳥獸草木之名。柳宗元『段太尉逸事狀』是歲大旱、野無草。《睡虎地秦簡・日書甲種》簡78背臧(藏)於園中草下、旦啟夕閉。《馬王堆・十問》行1草木何得而長。日月何得而明。

また粗略、草率の意を派生する。先秦典籍にこの義が見える。『戰國策・齊策四』左右以君賤之、食以草具。鮑彪注草、不精也。明清の劇本にもまたこの義が見える。『桃花扇・眠香』草辦妝奩、粗陳筵席

また卑賤の義を派生する。《敦煌變文集》一生草命また起草の義を派生する。『漢書・任敖傳』草立土德時曆制度また底稿(文書の寫し)の意を派生する。杜甫〈晚出左掖〉避人焚諫草、騎馬欲難棲。

書の形式の一に草書があり、筆劃を繫げ、書くのに勝手が良いことを重視し、概して草の草率(ぞんざい)、率真(率直)の義と關係がある。

屬性

U+8349
JIS: 1-33-80
當用漢字・常用漢字