厹 - 漢字私註

説文解字

禸部の文中ではを厹に作る。甶部禺字條では禸に作る。

禸部では『爾雅』を『尔疋』に作つてをり、いづれかの時點で部分的に簡略な字形を用ゐたものと想像することはできるが、論證不能。

康煕字典

部・劃數
厶部・二劃

『唐韻』巨鳩切、音裘。同叴。三隅矛。『詩・秦風』叴矛鋈錞。

又『廣韻』氣高也。

音訓

(1) キウ(漢) 〈『廣韻・下平聲・尤・𧚍』巨鳩切〉[qiú]{kau4}
(2) ジウ(漢) [róu]{jau4/jau2}

厹矛は音(1)に讀み、三稜の矛のこと。叴に同じ。

音(2)はと同樣に獸の足跡の意に用ゐる。藤堂は禸に同じく上聲有韻とする。官話では同音。粤語では聲調を異にするか。

解字

の或體と、叴の或體を、共に厹に作る。偶然の一致なのか、寧ろ必然であるのか、不詳。

白川

『字通』にの同字異體として擧げる。

藤堂

象形。獸の足が地を踏む姿を描いた字。

屬性

U+53B9

關聯字

禸と叴は別字だが、共に或體を厹に作るとされる。