説文解字私註 箕部

箕部

説文解字
簸也。从竹、𠀠象形、下其也。凡箕之屬皆从箕。
𠀠 古文箕省。
𠷛 亦古文箕。
𠔋 亦古文箕。
𠔝 籒文箕。
𠥩 籒文箕。
康煕字典
竹部八劃
《古文》𠀠𠴩䇧𦋊𥫶𠷛𠔋𥫚𠔛𡿸
『廣韻』『集韻』『韻會』居之切『正韻』堅溪切、𠀤音姬。宿名。『詩・小雅』成是南箕。《傳》南箕、箕星也。正義曰、箕、四星、二爲踵、二爲舌、踵在上、舌在下、踵狹而舌廣。『韻會』箕者、萬物根基、東方之宿、考星者多驗於南方、故曰南箕。『爾雅・釋天』析木之津、箕斗之閒、漢津也。《疏》天漢在箕斗二星之閒、箕在東方木位、斗在北方水位。分析水木、以箕星爲隔。隔河須津梁以渡、故此次爲析木之津。『史記・天官書』箕爲敖客、曰口舌。《註》敖、調弄也。箕以簸揚調弄爲象。又受物有去來。去來、客之象。箕爲天口、主出氣、是箕有舌、象讒言。『石氏星經』箕四宿、主後宮別府二十七世婦八十一御妻、爲相天子后也。『書・洪範註』好風者箕星、好雨者畢星。『春秋緯』月麗于畢、雨滂沱。月麗于箕、風揚沙。『天官書』箕、燕之分野。
『篇海』箕、簸箕、揚米去糠之具。
『廣韻』箕、箕帚。『禮・曲禮』凡爲長者糞之禮必加帚於箕上。『世本』古者少康作箕帚。
國名。『書・洪範』王訪于箕子。《註》箕、國名。子爵也。
地名。『山海經』釐山西二百里曰箕尾之山。『春秋・僖三十三年』晉人敗狄于箕。《註》太原陽邑縣南有箕城。『孟子』益避禹之子於箕山之隂。《疏》箕山、嵩高之北是也。『前漢・地理志』琅琊有箕縣。『水經注』濰水出箕屋山。
姓、晉有大夫箕鄭。
斯螽別名。『周禮・考工記疏』幽州人謂斯螽爲舂箕。
木名。『鄭語』檿弧箕服。『韋註』箕、木名。服、矢房也。
『張衡・思𤣥賦』屬箕伯以函風兮。《註》箕伯、風師。
解字(白川)
聲符は。其は箕の初文でその象形、箕はその形聲字。
金文の字形には、箕を簸揚する形、また女を加へるものなどがある。
解字(藤堂)
會意兼形聲。は四角い箕の形を描いた象形字。箕は更に竹を添へたもの。
解字(漢字多功能字庫)
甲骨文、早期金文は𠀠につくり、即ち字、簸箕の形を象る。甲骨文には兩手を𠀠の下に加へ、手で箕を捧げる形のものがある。後に竹を義符に加へる。しかし、甲骨文、金文で既に虛詞に用ゐ、箕の義には用ゐない。
人名用漢字

説文解字
揚米去糠也。从皮聲。
康煕字典
竹部十三劃
『廣韻』『集韻』補火切『韻會』杜果切『正韻』烏果切、𠀤音駊。『說文』揚米去糠也。『詩・大雅』或簸或蹂。
『廣韻』『集韻』『韻會』『正韻』𠀤補過切、音播。義同。
ひる。あふる。あふりあげる。
解字(白川)
聲符は皮。
『詩・小雅・大東』に維南有箕、不可以簸揚。(維れ南に箕(星)有るも、以て簸揚すべからず)とは、箕星は箕の名を持つが、簸揚の役に立たぬことを歎く意。箕を動詞化した字とみてよい。
解字(藤堂)
と皮の會意、皮は亦た音符。皮は、波のやうに傾く、傾ける意。
解字(漢字多功能字庫)
に從ひ皮聲。『詩・大雅・生民』或舂或揄、或簸或蹂。『論衡・量知』穀之始熟曰粟、舂之於臼、簸其粃糠、蒸之於甑、爨之以火、成熟為飯、乃甘可食。
簸箕は揚げて去るときに使ふ道具を指し、一般に竹ひごや柳の枝で編んでつくる。『齊民要術・種槐柳楸梓梧柞』至秋、任為簸箕。唐代・鄭嵎『津陽門詩』大開內府恣供給、玉缶金筐銀簸箕。
轉じて顛動(まはり動くこと、轉がし動かすこと、狼狽へること)、搖蕩(搖れ動くこと、搖り動かすこと、たゆたふこと)を表す。『文選・張平子・西京賦』蕩川瀆、簸林薄。鳥畢駭、獸咸作。唐代・劉禹錫『浪淘沙』九曲黃河萬里沙、浪淘幾簸自天涯。

箕で米を揚げて糠や塵を去ること。

補遺

説文解字
の重文
康煕字典
八部六劃
《古文》
『唐韻』『集韻』『韻會』渠之切『正韻』渠宜切、𠀤音碁。『韻會』指物之辭。『易・繫辭』其旨遠、其辭文。『詩・大雅』其在于今。
助語辭。『書・西伯戡黎』今王其如台。『詩・周南』灼灼其華。『玉篇』辭也。
姓。『韻會』漢陽阿侯其石。
『唐韻』『集韻』『韻會』𠀤居之切、音姬。『韻會』語辭。『書・微子』若之何其。『詩・小雅』夜如何其。
人名。『史記・酈生傳』酈生食其者、𨻰留高陽人也。《註》正義曰、酈食其、三字三音、讀曆異幾。『前漢・楚元王傳』高祖使審食其留侍太上皇。《註》師古曰、食音異、其音基。
山名。『前漢・武帝紀』四月、幸不其。《註》其音基、山名。『廣韻』在琅邪。
地名。『韻會』祝其、卽夾谷也。
『集韻』『韻會』居吏切。『正韻』吉器切、𠀤音寄。『韻會』語已辭。『詩・檜風』彼其之子。通作。『禮・表記』引『詩』彼記之子。又通。『左傳・襄二十七年』引『詩』彼己之子。 補註: 『詩・檜風』とあるが『詩・鄭風』の誤りか。いづれにも『羔裘』があり、彼其之子の句は『詩・鄭風・羔裘』に見える。また、「通己」は、中國哲學書電子化計劃のテキストでは「通已」とするが、左傳の引用と合はない。
『韻會』或作。『詩・鄭風』叔善射忌。
それ。その。
解字(白川)
箕の形を象り、の初文。其を代名詞、副詞に用ゐるに及んで、のち箕がつくられた。金文には箕を簸揚する形、また女に從ふ形がある。
終助詞として、、忌と通用する。
解字(藤堂)
甲骨文字は、穀物を載せる四角い箕の形の象。金文は、その下に臺の形を加へた。其は字の原字だが、その音を借りて指示詞に當てた。
解字(落合)
箕の象。甲骨文で發語の助辭に用ゐる。
解字(漢字多功能字庫)
甲骨文は𠀠につくり、簸箕の形を象り、の初文。甲骨文では虛詞に用ゐ、應該(〜すべき、〜の筈)、假設(假定)などを表す。
金文は甲骨文を承け、簸箕の形を象る。後に𠀠の下に一劃を加へ、一劃の下にまた二つの小さい横劃を加へ、小横劃はまた縱劃に變はり、丌の形となり、簸箕を卓上に置くを象る。丌は其の聲符である。
金文の異體に、丮や女を加へるものがある。
金文では副詞に用ゐ、命令、希望を表す。仲父鬲子子孫孫其萬年永寶用。また代詞に用ゐる。中山王壺天子不忘其有勛。また人名に用ゐる。また、音の近い期、忌などの通假字とする。乙簋沬壽無其(期)配兒鈎鑃余邲(必)龏威(畏)其(忌)
人名用漢字