説文解字私註 自部

自部

説文解字
自𦣹鼻也。象鼻形。凡自之屬皆从自。
𦣼 古文自。
康煕字典
部首
《古文》𦣹
『唐韻』『集韻』『韻會』『正韻』𠀤疾二切、音字。『玉篇』由也。『集韻』從也。『易・需卦』自我致寇、敬愼不敗也。《疏》自、由也。『書・湯誥』王歸自克夏、至于亳。『詩・召南』退食自公、委蛇委蛇。《傳》自、從也。
『玉篇』率也。
『廣韻』用也。『書・臯陶謨』天秩有禮、自我五禮、有庸哉。《傳》自、用也。『詩・周頌』自彼成康、奄有四方、斤斤其明。《傳》自彼成康、用彼成安之道也。『古義』自彼者、近數昔日之辭。
自然、無勉强也。『世說新語』絲不如竹、竹不如肉、漸近自然。
『集韻』己也。『正韻』躬親也。『易・乾卦』天行健、君子以自彊不息。
『五音集韻』古文鼻字。註詳部首。○按說文作鼻本字。
おのれ。みづから。おのづから。より。よる。したがふ。もちゐる。
解字(白川)
鼻の形を象る。鼻は自に畀を聲符として添へた形。
卜辭に「〜り〜に至る」の用法があり、「り」と同義。
金文に自他の自の意に用ゐる。
『書・皋陶謨』に自我五禮(我が五體をもちふ)とあり、その用義は、もと犧牲を用ゐるとき、その鼻血を用ゐたことからの引伸義であらう。『穀梁傳・僖十九年』に用之者、叩其鼻以衈社也。(之を用ふとは、其の鼻を叩き、以て社にちぬるなり。)と見える。
解字(藤堂)
人の鼻の描いた象形字。「私が」といふとき、鼻を指差すので、自分の意に轉用された。また出生の際、鼻を先に生まれ出るし、鼻は人體の最先端にあるので、起點を表す言葉となつた。
解字(落合)
人の鼻を象る。
甲骨文では殆どが助辭としての用法で、原義で使はれる例はごく僅か。
「みづから」の意があるのは、自分を指すときに鼻を示すからとする説が有力。
解字(漢字多功能字庫)
甲骨文、金文は、人の鼻を象る。鼻の初文、本義は鼻。後に、人が自己を指すとき、手指で己の鼻を指すことから、自己を表すのに用ゐるやうになつた。
甲骨文では、鼻の初文と、自己の自の、二つの言葉を表す。後に二字を區別するのに、自の下に聲符の畀を加へて鼻字をつくり、鼻を表すやうになつた。徐灝『說文解字箋注』に人之自謂或指其鼻、故有自己之稱。といふ。
甲骨文の底部の筆畫は不連續で、兩の鼻孔を象り、金文で初めて底部の筆畫が連なるやうになつた。
甲骨文では本義に用ゐ鼻を表す。また自己、親自(自分で)の意を表す。また從(〜から)を表す。
金文では自己を表す。また從、由を表す。また鎮靜自如、毫不拘束の意を表す。
當用漢字・常用漢字

説文解字
𦤝 宮不見也。闕。
康煕字典
自部九劃
『玉篇』眉然切、音眠。不見也。
康煕字典・𤾜
白部十一劃
『正字通』𦤝字之譌。按說文宀字重文作𦤝、武延切、讀若緜、非與緜同。字彙作古文緜字、非。
ヘン。ベン。メン。
解字(白川)
は鼻の象形。下は臺架の形。鼻のあなを上にして臺上に屍體を置く形で、首祭としての祭梟の俗を示す。いはゆる髑髏棚である。臱は架屍の象。方は人を磔する形。
解字(藤堂)
(鼻)と[冂八](兩側に分かれる)と方(兩側に張り出る)の會意、鼻の兩脇に出た鼻ぶたの端を表す。