習 - 漢字私註

説文解字

習
數飛也。从。凡習之屬皆从習。
習部

説文解字注

習
數飛也。數所角切。『〔禮記〕月令』鷹乃學習。引伸之義爲習孰。从羽白聲。按此合韵也。《又部》、古文作習。亦是从習聲、合韵。似入切。七部。凡習之屬皆从習。

康煕字典

部・劃數
羽部・五劃

『廣韻』似入切『集韻』『韻會』『正韻』席入切、𠀤音襲。『說文』數飛也。『禮・月令』鷹乃學習。

又『易・坤卦』不習、无不利。《註》不假修爲、而功自成。『論語』學而時習之。《何晏註》學者以時湧習之。

又『易・坎卦』習坎。《註》習謂便習之。『釋文』習、重也。

又『書・大禹謨』士不習吉。《傳》習、因也。

又『詩・邶風』習習谷風。《傳》習習、和舒貌。

又姓。『廣韻』出襄陽。晉有習鑿齒。

○按【說文】習自爲部。今從【正字通】倂入。字从羽从白。俗作𮊸、非。

異體字

或體。

簡体字。

音訓

シフ(漢) 〈『廣韻・入聲・緝・習』似入切〉[xí]{zaap6}
ならふ。ならはし。ならひ。

解字

白川

の會意。

『説文解字』に數々しばしば飛ぶなりとし、聲とするが、聲が合はない。

金文の字形は曰に從ひ、曰は祝禱を收めた器。これを羽で摺つて繰り返し、その呪能を發することを促す行爲を習といふ。これは神意を弄ぶ行爲であるから、あまりしばしばすると褻翫の意となり、狎習の意となる。羽は呪飾に用ゐ、また呪儀に用ゐる。

曰に對して呪儀的に行爲することを示す字に⿱⿰又又曰(兩手を加へて、すすたすける)、(替。簪笄を加へる。)、朁(譖。簪を加へて譖する。)などがあり、この種の呪儀のあつたことが知られる。

習は祝禱に對して、褻翫の意をもつ行爲。

藤堂

の變形の白の會意。羽を重ねること、または鳥が繰り返し羽を動かすことを示す。白はの下部と同じく動詞の記號。

落合

甲骨文はを組み合はせた形。『説文解字』は鳥が飛ぶ練習をしてゐると解釋する。また日に從ふことから、太陽に向かつて飛ぶ練習とする説や晴天時に飛ぶ練習とする説がある。しかし、羽は羽毛の象形であり、翼の象形(翌、翼の初文)ではない。また太陽に向かふ樣子とすると、日が下部にあることが説明できない。甲骨文には原義を明らかにできる記述はなく、字源は明らかではない。

甲骨文での用義は次のとほり。

  1. 複數回の占卜のうち、いづれかを採用すること。《合集》32672・選擇形式癸未卜、習一卜。習二卜。
習⿱雨龜
複數回の占卜のうち⿱雨龜(龜甲の種類を指す)を用ゐたものを選擇すること。《合集》31669…卜、習⿱雨龜一卜、五…。

字形は、金文に日をに替へたものがあり、篆文ではに替へてゐる。各時代で字源について異説があつたやうで、東周代にはに從ふ形、秦代にはに從ふ形があつた。

漢字多功能字庫

甲骨文はに從ひ、彗は聲符。唐蘭の研究に據れば、甲骨文の彗の字形は後の字と相近いが、羽ではなく彗である。甲骨文には羽字はない。『説文解字』に雪字の小篆を彗聲に從ひ䨮に作るが、それと比べると、甲骨文の雪字のの下の羽の形は、實は彗である。

彗は習の聲符で、日は意符。本義は暴曬(強烈な陽光の下に久しく晒すこと)。後に習字の暴曬の意義を、彗に從ふ熭字に保留する。『漢書・賈誼傳』日中必熭。『説文解字』熭、暴乾也。そして、習字を、鳥の子が何度も飛ぶのを試みること、習熟、習慣、學習などの義に假借する。

小篆に至り、習の從ふ所の彗を誤つて羽となし、日を誤つて白となす。

甲骨文では重複、因襲を表す。《合集》31672習一卜。《合集》31673習二卜。《合集》31674習三卜。「習一卜」は重複する最初の占卜を表し、「習二卜」、「習三卜」は重複する二度目、三度目の占卜を分別して表す。郭沫若は、この習卜は、一度の占卜に三個の龜甲あるいは三片の牛の肩甲骨を用ゐ、三龜あるいは三骨を一習とする、とする。

戰國竹簡では學習を表す。

習は後にまた姓氏に用ゐる。『漢印文字徵』習封之印

屬性

U+7FD2
JIS: 1-29-12
當用漢字・常用漢字
習󠄁
U+7FD2 U+E0101
CID+13817
習󠄃
U+7FD2 U+E0103
MJ020682
𮊸
U+2E2B8
U+4E60

關聯字

習に從ふ字を漢字私註部別一覽・羽部・習枝に蒐める。