虞 - 漢字私註

説文解字

虞
騶虞也。白虎黑文、尾長於身。仁獸、食自死之肉。从聲。『詩』曰、于嗟乎、騶虞。
虍部

康煕字典

部・劃數
虍部七劃
古文
𠈌

『唐韻』遇俱切『集韻』『韻會』元俱切、𠀤音愚。『說文』騶虞也。白虎黑文、尾長于身、仁獸、食自死之肉。『詩・周南〔騶虞〕』吁嗟乎騶虞。

又度也。『書・大禹謨』儆戒無虞。『左傳・桓十七年』疆埸之事、愼守其一、而備其不虞。

又安也。『儀禮・士虞禮註』士旣葬其父母、迎精而返、日中而祭之于𣩵宮以安之。

又誤也。『詩・魯頌』無貳無虞、上帝臨女。《疏》言天下歸周、無有貳心、無有疑誤。

又備也。『晉語』衞文公有郉翟之虞。

又樂也。『孟子』霸者之民、驩虞如也。《趙岐註》霸者行善䘏民、恩澤暴見易知、故民驩虞樂之也。

又『博雅』助也、望也、擇也。

又『玉篇』有也、專也。

又『正韻』慮也、測也。

又官名。『易・屯卦』卽鹿無虞。《註》謂虞官。『周禮・天官・大宰』虞衡、作山澤之材。《疏》掌山澤者謂之虞。

又國名。『詩・大雅』虞芮質厥成。『左傳註』虞國、在河東大陽縣。

又縣名。『晉書・地理志』虞縣屬梁國。

又姓。『潛夫論』帝舜姓虞。『左傳・昭三年』箕伯、直柄、虞遂、伯戲。《註》四人皆舜後。『通志・氏族略』禹封商均之子于虞城爲諸侯、後以國爲氏。

又虞淵、地名。『淮南子・天文訓』日至于虞淵、是爲高舂。

又『韻會』元具切、音遇。『揚雄・長楊賦』奉太尊之烈、遵文武之度、復三王之田、反五帝之虞。

又與㕦同。『史記・孝武帝紀』不虞不驁。索隱讀話。

又通。吾丘壽王。『水經注』作虞丘壽王。『王應麟・詩攷』鄒虞、或作騶吾。見【劉芳・詩義疏】。

『直音』俗作虞。

部・劃數
人部六劃

『六書統』古文字。騶虞也。象白虎黑文。『同文備考』𠈌者、守山澤之吏。𠈌象山澤險隘。

音訓

グ(漢、呉) 〈『廣韻・上平聲・虞・虞』遇俱切〉[yú]{jyu4}
はかる。おもんぱかる。おそれる。おそれ。

解字

白川

形聲。聲符は。吳は祝禱の器を捧げて舞ひ祈る形。神を樂しませ、神意をやはらげることを言ふ。

『説文解字』に騶虞なり。白虎黑文、尾は身より長し。仁獸なり。自ら死せるの肉を食す。とあり、『詩・周南・騶虞』(上揭)にその德を歌ふが、想像上の聖獸である。

『周禮・地官』に山虞澤虞の職があり、山澤の狩獵を掌る。

國語・晉語四』に及其即位也、詢于『八虞』。((周の文王)其の位に即くに及び、八虞にはかる)とあつて、軍事を諮問するを言ふ。

字が虎頭の形に從ふのは、劇、戲が軍戲から出た字であるやうに、虞も軍禮や狩獵と關係があるのであらう。その豫備儀禮として、神を樂しませる祝禱の儀禮が行はれた。

藤堂

(虎)と音符の形聲。もと、虎のやうにすばしこい動物のこと。但し普通は逆(あらかじめ)、迓(あらかじめ迎へる)の意に當て、あらかじめ心を配るの意に用ゐる。

漢字多功能字庫

に從ひ聲。虍とは同じで、虞が虎類の動物の名稱であることを説明する。『尚書大傳・西伯戡黎』之於陵氏、取怪獸、大。不辟虎狼、閒尾倍其身、名曰虞。舊注虞、蓋騶虞也。一説に、虍は亦聲符であり虞は雙聲符の字(袁家麟)といふ。

金文での用義は次のとほり。

秦簡では虞はの誤りで、虡は金を掛ける木架を指す。《睡虎地秦簡・秦律十八種》簡125縣、都官用貞(楨)、栽為傰(棚)牏、及載縣(懸)鐘虞〈虡〉用𨍮(膈)、皆不勝任而折。縣、都官が、木の棍棒や、牆(壁、塀)を築くのに用ゐる型枠を構成する木の板を、鐘を掛ける木架の橫木に用ゐたところ、すべて受ける力に堪へられず折れてしまつた、の意。

漢帛書では戒備(警戒する、警備する)を指す。《馬王堆・戰國縱橫家書》第171行是以晉國之慮、奉秦、以重虞秦。

傳世古籍では吳、虞の二字は、『孟子・盡心上』驩虞のやうに多く通用される。後の人は虞を假借して「預計」(豫め見積もる、事前に見込む、豫め推測する、見通す、推定する)、「揣度」(推測する、推し量る)などの黃土に抽象的な意味を表す。『爾雅・釋言』虞、度也。『孫子・攻謀』以虞待不虞者勝(補註: 金谷治の譯註では虞を「はかる」とする。)。『左傳・宣公十五年』我無爾詐、爾無我虞の虞は猜疑と解すべし。字はまた戒備の義を派生する。『國語・晉語四』過衛、衛文公有邢、翟之虞、不能禮焉。韋昭注虞、備也。また憂患の意を派生する。『左傳・昭公四年』君若茍無四方之虞。王引之『經義述聞』虞、憂也。『周易』に述べられる「憂虞」は未來の見込みを心配すること。

屬性

U+865E
JIS: 1-22-83
當用漢字・常用漢字
虞󠄁
U+865E U+E0101
CID+13734
虞󠄃
U+865E U+E0103
MJ023296
𠈌
U+2020C

關聯字

虞聲の字