廿 - 漢字私註

説文解字

廿
幷也。古文省。
十部

説文解字注

廿
二十幷也。古文省多。省多者、省作二十㒳字爲一字也。『〔周禮〕考工記』桯長倍之。四尺者二。十分寸之一謂之枚。本於二字爲句絶。故書十與上二合爲廿。此可證周時凡言二十可作廿也。古文廿仍讀二十㒳字。秦碑小篆則維卄六年、維卄九年、卅有七年皆讀一字。以合四言。卄之讀如入。卅之讀如靸。皆自反也。至《唐石經》二十皆作卄。三十皆作卅。則仍讀爲二十、三十矣。人汁切。七部。
篆文を縱に短い形に作り、の古文の𠥻と書き分けてゐる。の籒文(𥫍)の註に廿本二十幷也。古文假爲疾字。此亦不同音之假借也。といふ。

康煕字典

部・劃數
廾部(一劃)

『唐韻』人汁切『集韻』『正韻』日執切、𠀤音入。『玉篇』二十幷也。今直爲二十字。『顏之推・稽聖賦』中山何夥、有子百廿。魏嫗何多、一孕四十。

部・劃數
十部二劃

『玉篇』如拾切。二十幷也。今直爲二十字。『廣韻』廿、人執切、音入。今作卄。『集韻』『韻會』𠀤作廿。『說文』廿、二十幷也。古文省。《徐曰》自古以來、書二十字从省、倂爲廿字也。

音訓

ジフ(漢) ニフ(呉) 〈『廣韻・入聲・緝・入』人執切〉[niàn]{jap6/jaa6/je6/nim6}

解字

白川

指示。算木に用ゐるを示す縱の木を、二つ竝べた形。卜文に三十、四十などもこの方法で示す。

『説文解字』に二十、あはせたるなりといふ。

藤堂

と十の會意、省略形。

落合

甲骨文では、二十から四十までの數字は(の)縱線の數を增やして廿、として表記してゐる。橫線は古文で附加された。

漢字多功能字庫

甲骨文の廿は二個のが相連なり構成される字で、字はあるいはの形に誤る。金文はあるいは十字の縱劃に飾點を加へ、兩點がやがて連なり橫劃となる。小篆はこの形を承ける。ほかに廿字はまた卄に作る。

甲骨文では數詞に用ゐ、二十を指す。

金文でも數詞に用ゐ、二十を指す。

戰國竹簡でも二十を指す。《郭店簡・唐虞之道》簡25古者聖人廿而冠は、古代の聖人は二十歳で冠禮を行ひ、正式の成人を象徵する、の意。

廿の讀音は「二十」二字の合音で、宋人題開業寺碑に「念五日」とあり、顧亭林は「以廿為念、始見于此。」とする。いまなほ、粤語、官話の廿に念の異讀がある。(補註: 官話では廿、念ともniànと讀む。粤語で念はnim6と讀み、廿の讀音の一つ。)

屬性

廿
U+5EFF
JIS: 1-38-91
人名用漢字
U+5344

關聯字

𠥻
別字。疾の或體。