秀 - 漢字私註

説文解字

秀
上諱。漢光武帝名也。徐鍇曰「禾、實也。有實之象、下垂也。」息救切。
禾部

説文解字注

秂
上諱。上諱二字許書原文。秀篆許本無、後人沾之、云上諱。則不書其字宜矣。不書故義形聲皆不言。說詳一篇示部。『伏侯古今注』曰、諱秀之字曰茂。葢許空其篆。而釋之曰上諱。下文禾之秀實爲稼。則本作茂實也。許旣不言。當補之曰、不榮而實曰秀。从。「不榮而實曰秀」者『〔爾雅〕釋艸』、『毛詩』文。按『釋艸』云、木謂之榮、艸謂之華。榮華散文則一耳。榮而實謂之實。桃、李、是也。不榮而實謂之秀。禾、黍、是也。榮而不實謂之英。牡丹、勺藥、是也。凡禾黍之實皆有華。華瓣收卽爲稃而成實。不比華落而成實者。故謂之榮可。如黍稷方華是也。謂之不榮亦可。實發實秀是也。『論語〔子罕〕』曰「苗而不秀」、「秀而不實」。秀則巳實矣。又云實者、此實卽生民之堅好也。秀與𥝩義相成。𥝩下曰、禾成秀也。𥝩自其𠂹言之。秀自其挺言之。而非實不謂之秀。非秀不謂之𥝩。『〔大戴禮記〕夏小正』秀然後爲萑葦。『周禮・注』荼、茅、秀也。皆謂其𥝩而實。引伸之爲俊秀、秀傑。从禾人者。人者、米也。出於稃謂之米。結於稃內謂之人。凡果實中有人。『本艸』本皆作人。明刻皆改作仁。殊謬。禾稃內有人是曰秀。『玉篇』、『集韵』、『類篇』皆有字。欲結米也。而鄰切。本秀字也。隸書秀从。而秂別讀矣。息救切。三部。

康煕字典

部・劃數
禾部・二劃

『唐韻』『集韻』『韻會』『正韻』𠀤息救切、音繡。榮也、茂也、美也、禾吐華也。『詩・大雅』實發實秀。○按【爾雅】云、禾謂之華、草謂之榮、不榮而實者謂之秀、榮而不實者謂之英。漢儒據此釋【詩】、遂以秀爲不榮而實。李巡曰、分別異名以曉人、故以英、秀對文、其實黍、稷皆先榮後實。【詩・出車篇】云黍稷方華。【生民篇】云實發實秀、是黍、稷有華亦稱秀也。此說甚是。【論語】明言不秀不實、秀實自不容混。朱子釋【論語】秀曰吐華、釋【生民】秀曰始穟。足正漢儒之誤。

又凡草皆得言秀。『詩・豳風』四月秀葽。『禮・月令』孟夏苦菜秀。

又三秀、芝草。『楚辭・九歌』采三秀於山閒。

又秀氣。『禮・禮運』人者、五行之秀氣。『周子・太極圖說』惟人也得其秀而最靈。

又秀士、秀才。『禮・王制』命鄕論秀士、升之司徒曰選士。『史記・賈誼傳』吳廷尉爲河南守、聞其秀才、召置門下。『韻會』秀才之名始此、後光武名秀、改爲茂才。

又州名。漢屬會𥡴郡、五代晉錢元瓘奏置秀州、宋慶元改嘉興府。

又姓。

又與綉通。『石鼓文』秀弓寺射。《註》綉弓、戎弓也。

又叶思久切、音又。『詩・大雅』實發實秀、實堅實好。好叶訐口切。

音訓

シウ(漢) 〈『廣韻・去聲・宥・秀』息救切〉
ひいでる。うつくしい。はな。はなさく。

解字

白川

象形。禾穀の穗が垂れて、花が咲く形。禾頭から華を吐いてゐる形。

『説文解字』は後漢(世祖)光武帝劉秀の諱を避け説解を加へず。

『玉篇』に出なり、榮なりと訓ずる。「出なり」とは近い聲を以て訓じたものであらう。

《段注》に字をとに從ひ、人とは果穀の實をいふとするが、人の形のところは蕊のあらはれてゐる形。その落ちたものを禿といふ。

花英の意より、俊秀の意に用ゐる。

藤堂

(稻科植物)と(なよなよ)の會意。なよなよした稻の穗がすらりと伸びることを示す。

漢字多功能字庫

睡虎地秦簡ではに從ふ。石鼓文では禾とに從ふ。戰國楚系文字も同じ。何琳儀は秀は禾と引の省に從ひ、禾苗が引き出す(導き出す)の意と解く。季旭昇は稻禾の開花とする。小篆の字形は變形して禾とに從ふ。『説文解字』は漢光武帝劉秀の諱を避ける。

秀は穀物が穗を吐き開花することを表す。

また草類植物が種、實を結ぶことを表す。『爾雅・釋草』木謂之華、草謂之榮。不榮而實者謂之秀、榮而不實者謂之英。

また轉じて草木の花を表す。『玉篇・禾部』秀、榮也。

また草木の茂り盛るを表す。『廣雅・釋言』秀、茂也。

また美好、秀麗を表す。

またずば拔けてゐること、拔きん出てゐることを表す。『廣雅・釋詁一』秀、出也。

屬性

U+79C0
JIS: 1-29-8
當用漢字・常用漢字

関聯字

秀聲の字