馭 - 漢字私註

説文解字

馭
の重文。

古文御从

彳部

説文解字注

馭

古文御。从又馬。惟見『周禮』。

康煕字典

部・劃數
馬部・二劃

『廣韻』牛倨切『集韻』牛據切『正韻』魚據切、𠀤語去聲。『玉篇』與同。使馬也。『說文』卸、解車馬也。或彳或卸、皆御者之職。古作馭、𢓷、御。御一曰侍也、進也。『周禮・夏官・馭夫』掌馭貳車從車使車、分公馬而駕治之。又『天官・大宰』以八柄詔王馭羣臣、以八統詔王馭萬民。又『夏官・大馭』掌馭玉路以祀及犯軷。《註》大馭、馭之最尊者。軷、祭行道之神也。通作御。又『地官・保氏』五馭。《註》一鳴和鸞、二逐水曲、三過君表、四舞交衢、五逐禽左。『正韻』詩書皆作御。御與馭、義同者不得重押、義異者非。

集韻

別條に揭出する。

異體字

或體。金文をこの形に作るといふ。

簡体字。

音訓

ギョ(漢) ゴ(呉) 〈『廣韻・去聲・御・御』牛倨切〉[yù]{jyu6}
あつかふ。をさめる。

解字

白川

の會意。又は手。

金文の字形は𩣓に作り、馬索を取る形。《令鼎》王の𩣓のやうに用ゐる。

『説文解字』はの異體として馭を錄する。

御は呪器の午を以て神を「むかへ」、厄災を「禦ぐ」儀禮を示す字で、全く別義。聲が同じであるから通用し、『周禮・天官・大宰馭群臣(群臣を馭し)馭萬民(萬民を馭す)は比喩的な用法ともいへる。

藤堂

(手)の會意。手で馬を操ることを示す。荒い性格や勝手な動作を制御して馴らすこと。と同じ。

落合

會意。甲骨文はの略體とに從ひ、手綱で馬を扱ふことを表してゐる。駇の形。

但し、甲骨文には原義での用例は無く、第一期(武丁代)の人名の用例一例が見えるのみ。《合集》15193・貢納記錄…駇…。

金文では馭者の形としてを加へた字形(𩣓)が作られた。篆文では人が省かれ、攴が手の形のに變へられた。

漢字多功能字庫

金文はと𠓠に從ふ(補註: 𩣓の形)。𠓠は鞭の古文で、人が鞭を持ち馬を驅る形に象る。本義は馬を馭すこと。

金文では馭者を表す。盂鼎人鬲自馭至于庶人。また方國名や人名に用ゐる。

金文の馭、の兩字は、馭は馬を使ふことを表し、御は治めること、禦ぐことを表す。『説文解字』は馭を御の古文として收め、後世では御もまた馭の用義を表す。『玉篇』馭、與御同。使馬也。

屬性

U+99AD
JIS: 1-81-39
𩣓
U+298D3
U+9A6D